おしゃべりな花畑
 鏡を抜けたアリスは、花畑にどすん。見慣れた花ばっかりだけど、なんだか大きい。
 「寝ている間に、またクッキーでも食べたのかしら。」
 倒れたまま考え込むスカートが引っ張られ、アリスはそのまま吊り上げられる。
 「おしゃべりする花なんて初めて見たわ。」
 なんとか会話しようとするアリスだが、オニユリは顔を合わせてくれない。なんだかずっと、アリスの腰の辺りばかり見てる。
 「お花は性器だって先生が言っていたけど、剥き出しではずかしくないのかしら。」
 「あら、こっちがしゃべるんだね。」
 オニユリはやっとアリスの顔に向かって話しかける。
 「挨拶をしよう。うちらの挨拶はこうだ。」
 オニユリは、よだれを垂らしためしべと、いきりたったおしべをアリスに押しつけてこう言った。
 オニユリのしつこいキスからやっとのことで逃れたアリス、ふとみるとここは丘の上。
 「なんだかすごろくみたいだわ。」
 花畑も含め、ここの世界は色んな「ます」で仕切られているらしい。よく見ると、太陽はサイコロの形をしている。それが突然回りだし、2の目が出た。
 「2つ進めばいいのね。」
つづく
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