ひつじのお店
 次の「ます」にも、やはりちっちゃな建物。字の意味は分からないけど、ピンクや緑の派手な電飾がついてて、なんだかいかがわしい感じ。
 中にはいると、真っ赤なショールを巻いたおばあさんのひつじが店番。店の中は棚と言わず壁と言わず、所狭しと様々な張り型が展示してある。
 「うちは専門店だからね。世界中のどんなものでも揃ってるよ。」
と、アリスに売り込み。
 「お好みで選んどくれ!どれでも!これでも!」
 ひつじのばあさんがアリスに勧める。でも別にアリスはどれも欲しくない。どれも欲しくないからテキトーに見るだけ見て暇つぶし。
 「なんなら見繕ったげるよ。」
 ひつじのばあさんはシビレを切らしたのか、いくつかの張り型をブーケみたいにまとめて、アリスの鼻先に押しつけた。
 困ったアリスは、まじめに選び始める。といっても、欲しくもないものは選びようもない。
 「欲しくもないのに店に入ったのかい。」
 「入りたくもないのに入ったんだわ。」
 アリスは言い返そうとしたけれど、またあんなブーケを押しつけられても面倒なので我慢した。新たなブーケを作りながら、ひつじのばあさんはボッソリ言う。
 「ここにゃ、張り型か、カニしかないよ!」
 「カニさん? だったら、カニさんが見たいわ。」
 これでやっと話題が変わるとアリスはそっちの話にのろうとする。と、カウンターの下から声がした。
 「呼んだかい?」
 「おいらはシオマネキだから、潮を呼び寄せるのさ。」
 シオマネキは信じられない力でアリスをひっくり返すと、下着をずらしてアソコを露わにし、でかくてヒワイなハサミを突っ込んだ。
 ハサミのせいかナニカのテクニックか、際限なく潮吹きさせられるアリス。吹き出すお汁はどんどん溜まって、水たまりになり、やがて店の床中が水びだし。するとカニとひつじは大あわて!
 「洪水だ!」
 「高潮が来るぞ!」
 ふたりは荷物をまとめると、一目散に逃げ出した!
 あとに残ったのは、何度もイカされてぐったりしたアリスだけ。ぐっしょり濡れた服を絞りつつ、アリスはよろよろ、次の「ます」へと歩き出した。
つづく
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