塀の上のたまご紳士
 アリスはやがて、道の左右にレンガの塀が立つ路地に出た。すると向こうの方から、何だか変な声が聞こえてくる。
 「ぅおっ おぉおおぅっ」
 近づいていくと、路地の一番広くなった、一番目立つところで、塀の上にたまごの格好をしたジェントルマン(あるいはジェントルマンの格好をしたたまご?)が座っている。たまご紳士は恍惚とした表情をして、塀の上で絶妙なバランスで腰を振っている。見ると、殻の一部がひび割れて、何かが生まれそう。
 「おおうっっ 生まれたっ」
 たまご紳士がひときわ気持ちの悪い声を上げると、殻を破って一物が飛び出した。
 「おお、すっきりした。お嬢さん、一部始終を見ていてくれたかね?」
 たまご紳士はいやらしい目つきでアリスを見ると、ここまで登ってくるように促した。
 「しかしまあ、君は僕の趣味から少し外れているな。」
 今度は値踏みするような目でアリスを見ると、たまご紳士は続けた。
 「成長しすぎだよ。7歳で止めるくらいがベストだね。」
 「そんなの、ロリコンってやつだわ。」
 あきれて言い返そうとするアリスを遮り、たまご紳士は丈の小さな服一式と、かかとに名前の書かれた運動靴、そしてご丁寧にリコーダーと安全カバーまでついたランドセルを手渡した。
 「こいつを着てみるといい。多少、僕の好みに合うかもしれない。」
 着替えたアリスを見ると、たまご紳士は途端に元気になって、狭い塀の上へアリスを押し倒した。
 しばらく値踏みするようにスカートの中を弄んでいたたまご紳士だが、今度はアリスのおしりを持ち上げた。バランスを取るだけで必死なアリスの無防備なおしりに、リコーダーを差し入れる。
 しばらくそうして楽しんだあと、今度はリコーダーをひっくり返し、吹き口を丹念に舐めながら、今度はアリスのアソコに向かってなにやら曲を吹き始めた。
 しばらくそうしていると、どこからともなくチャイムの音が。
 「おっと、音楽の時間は終わりだ。次は算数にしようか。」
 「今度は算数ですって?」
 着替え直したアリスが聞き返すと、たまご紳士は「365−1=364」と書かれたメモを誇らしげに振りかざす。
 「これが何の計算だかわかるかい?」
 「いいえ、ちっとも。」
 「やっぱりな。実際に教えて上げよう。」
そう言うが早いか、さっき生まれた一物がアリスの中へ挿入される。そして腰を振りながら、さっきのメモを指し示し、たまご紳士は歌うように解説をしだした。
 そうして当然のように中出し。
 「明日もここへ来てみるがいい。私の計算の正しさを証明してあげるよ。」
 たまご紳士はいつの間にか塀のいっそう高いところへ移って、ニヤニヤ笑っている。
 アリスはその計算に納得できないまま、しかし今はその計算が当たっていることを祈りつつ、チャイムを背に次のますへと歩き始めた。
つづく
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