王宮のますの女王
 やがて見えてくるゴールのます。しかしその前にはチェック柄の王宮がそびえ、道をふさいでいる。
 「あそこをこえないとゴールには行けないみたいだわ。でも、誰でもが通れるんじゃなそうだけど。」
 とそのとき、アリスは以前にふたごから貰った首輪が王冠に変わっているのに気が付いた。
 「これが有れば大丈夫なんじゃないかしら。」
 「女王のお着きだ!!」
 アリスが王宮に入ると、中では赤や白のチェスの駒の形をした兵士やらなにやらが大騒ぎ。そのうち本当にキングの形をした白の王様が迎えに来る。
 「女王!やっときたか。女王の仕事が待っているぞよ!」
 「よいか、みなのもの。旅人は最大の敬意を払って女王に「御拝顔」願うこと!」
 王様はなんだか特別の玉座にアリスを座らせると、下着を引っぺがし、大事なところを言い訳程度に隠した看板をぽんぽんと杖でこづいて言った。
 「そして! 武勲を上げた兵士には女王の「口づけ」が、その指揮官には「一刺し」が許される!」
 今度は、赤や白のポーンやらナイトやらが下半身をむき出して迫ってきた。
 「じょうだんじゃないわ!もうがまんできないっ!」
 しばらくは我慢していたけれど、閲覧の列が尽きそうにないのを見て、アリスは玉座のいましめをひきちぎり、立ち上がった。周りにいた駒たちが乾いた音を立てて吹っ飛ぶ。
 同時に、アリスの体は以前に薬を飲んだ時みたいに大きくなり始めた。
 「これはなんたること!おやめ、王妃!」
 慌てるキングを手に取ると、アリスはぶんぶん振り回しながら言った。
 「こんなの女王の仕事じゃないわ!あんたたちだって!こうしてやる!」
 アリスはぐんぐん背を伸ばしながら、キングを投げ飛ばし、ビショップやルークをけっ飛ばし、クイーンをぶんぶん振り回してた。アリスの大暴れでお城は積み木みたいに崩れていく。

 やがて大きくなったアリスは、お城の天井も突き破って、そのままゴールの「ます」に倒れ込んだ!
つづく
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