伏義「普賢、息災か?」
普賢「はじめまして、望ちゃん! 僕は元気だよ」
伏義「……。それは、良かった」
普賢「ところで、今日はなんの用なのかな? こんな辺鄙なところへ」
伏義「おぬしに会いに来たのだ、普賢」
普賢「ふふ、ありがとう。やっぱり寂しいから……うれしいよ」
伏義「……」
普賢「ああ、でも、毎週誰かは来てくれるんだよ。
先週は望ちゃんが来てくれたし、
そのまえは望ちゃんが来てくれたんだ。
陸の孤島みたいな所なのにね」
伏義「……」
普賢「二度とは、来てくれないんだけどね……。
あ、でも!今日は望ちゃんが来てくれたから」
伏義「……普賢、もうやめてくれ」
普賢「え?」
伏義「すまなかった。何度でも謝る、だからもうわしを覚えていないふりはやめてくれ」
普賢「……?」
伏義「おぬしがそんなに傷つくとは、思ってもいなかったのだ。
わしは傲慢であった。おぬしが去ってから、思い知らされたのだ……。
やりなおそう、普賢。帰ってきてくれ」
普賢「……ええと、望ちゃんとは初めて会うんだよ?」
伏義「なぜそのようなことを言う?
わしの名前を呼んでくれるし、毎週来ていることを
覚えてくれているのに」
普賢「……」
普賢「はじめまして! ……あなたは誰ですか?」