【友達以上、恋人未満】 第二章より
えっと……改札を出てすぐの辺りだから、ここで待っていれば友美も見つけやすいかしら〜?
見慣れない駅の改札で一人待つ私。
電話で友美と会おうと話しているうちに、友美の新居が見てみたい、ってちょっとだけ私のわがままを押し通して、今日は友美の家で会うことになったの。ほら……やっぱり気になるじゃない? 新婚生活ってどういうものなのかしら、って。
「あずさ、お待たせ。ちゃんと迷わず来られたのね? えらいえらい♪」
なんて失礼なことを言いながら友美が私を迎えに来ました。
「もう、友美ったら。いくら私だからって、駅を間違えたりなんかしないわ」
「どうだか。あずさのことだから、間違って新幹線に乗って名古屋あたりまで行っちゃうんじゃないか、なんて思ってたわよ。そうじゃなくたって、ここから私の家まで来られるかどうかも怪しいのに」
「うぅ……。そ、そんなことは、ない……わよ、絶対」
「絶対〜?」
「……多分」
「ふふっ♪ もう、絶対なのか多分なのか、どっちなのよー」
あ、これだ。そう思ったの。
ちょっと呆れながらも笑い飛ばす友美、それは私のことを解った上での丁々発止。私が友美にやりこめられたり、友美が私にいなされたり、電話越しでの会話と同じように見えて、心に吸い込まれてくるものが全然違う。表情だけでもこんなにも豊かに感情を放ってくる。目は口ほどに物を言う、っていうのはきっとこういうことなのね〜♪
「おじゃましま〜す」
他愛もない話に花を咲かせながら、友美の横を歩いて着いたのがこの新居。そこかしこに旦那さんとの生活臭が見えて……なんだかちょっと妬けてきちゃうわ。
「ところで友美、旦那さんは?」
「ああ、あの人なら追い出したわよ」
「お、追い出したの!?」
「追い出した、って言ってもちょっと出かけてもらっただけだってば。そんなに驚いた顔しないの」
あんなに仲が良さそうだったのに、まさか! なんて、ついつい思ってしまったのだけれど……すぐに勘違いだって分かって、ちょっと恥ずかしいわ。……昼ドラの見過ぎかしら?
「大体あの人ったら、『僕も三浦あずさに会いたいなー』なんて鼻の下のばしちゃってさ。どれだけミーハーなのよって感じ。私の友達は見せ物じゃないのよ!」
「なあに、友美ったら。私に妬いてるの?」
「妬いてません」
うう、友美ったらノリが悪いわあ……。