2.【海へ行こう】 (シスプリメリンク『渚のストーリー』)

「うっわーい♪ 海だー♪」

 今日はにぃにと海に来たの♪ 美虎音、にぃにと一緒に海に来るのずーっと楽しみにしてたんだよ。一緒に海に行こう、って言ってからずーっと天気がよくなくって、「もうお日様のイジワルー!」って思わず叫んじゃったこともあったし、お日様だっていっつも光ってたら疲れちゃうからワガママ言っちゃダメだよね、って思って早く元気になってね! ってお願いしたり、てるてる坊主をにぃにと一緒にいーっぱい作ったり――このときクロベとシマタが邪魔していくつか破っちゃったの……もう……――して、もう待ちすぎちゃって石になっちゃうかと思ったのっ! でも楽しかったからいいの♪

 でね、海に来たらやっぱり泳がないとなの♪ 美虎音、泳ぐのすっごく上手なんだだよ。イルカさんとかシャチさんみたいにビューって泳いじゃうの。だからにぃにと競争しても負けない……かな? うーん、でもやっぱりにぃにも泳ぐの上手だもんね。……え、何? にぃに?

「水着、よく似合ってるね」

 え、この水着似合ってる? うわーい♪ ありがとう、にぃに♪ 今日のために新しい水着を買ってよかったの♪ やっぱりこのネコさんのワンポイントが決め手だと思わない? このネコさんがすっごく可愛くて、美虎音に「買って」って言ってるみたいだったの♪
 あ、にぃにも水着似合ってるよ♪ そしたらにぃにがね、ありがとうって言って頭を撫でてくれたの♪ えへへ……♪ にぃにに頭を撫でられるとなんだかほわーんってなって、すっごく嬉しくなっちゃうから大好きなのっ♪

 結局にぃにと競争するのはやめて普通に遊泳することにしました。海の中にはお魚さんだけじゃなくって色々な動物さんが住んでいて、美虎音も初めて見る動物さんがほとんどだったの♪ なんだか紫色のブヨブヨとか、うねうねした手がいっぱい生えてるのとか、あとカニさんやエビさんもいたよ!

「にぃに、すっごいね! 海ってこんなに沢山の動物さん達が住んでるんだね!」
「そうだね。地球は海のほうが陸より多いし、なにより水の星って言われるくらいだから、海に住んでいる動物の方がずーっと多いと思うよ」

 うわー! それってとってもすっごいの! 美虎音ね、今までイヌさんとかネコさんとかとお友達になることが多かったんだけど、海に住んでいる動物さんともお友達になれたら、もっといっぱい楽しくなれるのっ♪
 よーし、もっといっぱい潜っていっぱいお友達作るの! それ! 

 ぷはーっ……。
 そろそろお日様も沈んできたから今日はもう帰るよ、ってにぃにが言いました。なんだか今日はいっぱい泳いじゃった気がするの。だけどその分、色んなお友達ができたの。紫色のブヨブヨさんも、うねうねの手がいっぱい生えてるのも、もうみんなお友達だよ。キレイなお魚さんもいっぱいいたし、美虎音とっても楽しかったー♪ これだけ沢山のお友達がいたら次に海に来た時は全然淋しくなんかないよね、にぃに♪
 あ、でも美虎音、海に来たら一つだけやりたいことがあったの……。それはね、イルカさんの背中に乗ってみたかったの! イルカさんって泳ぐのすっごく速いし、頭もよくってお話もできるんだって! だから、イルカさんに背中に乗せてください、ってお願いしようと思ってたの。でも、イルカさんはもっと深い所に行かないといないんだって。ちょっと残念……。
 そんな時でした。にぃにが海の向こうの方を指しながら美虎音を呼んだのは。

「美虎音、ほら、あれ見てごらん」
「え? ……あ、うわー!」

 美虎音の目に映ったのは2匹のイルカさんが泳いでる姿でした。時々ジャンプしたり、もぐったりしてすごく楽しそうだったの♪ あの2頭も美虎音とにぃにみたいに兄妹なのかもしれないの。だって、とっても仲がよさそうなんだもん♪

「きっと美虎音の声が聞こえたから、出てきてくれたんだよ」

 うわー、そうなのかな? にぃにがそう言うんだから、きっとそうなの♪ だから美虎音、遠くにいるイルカさんによく聞こえるように大きな声で呼びかけました。

「イルカさーん! 今度来たときは、お友達になってくださーい! そして背中に乗せて欲しいのー!」