【サンタクロースとレインディア】
今日の図工の時間は紙粘土細工でした。
「クリスマスも近いので、今日は紙粘土でクリスマスのお飾りを作ってみましょう」って先生が言ったのを聞いて、美虎音はすぐに作りたいものが思いついちゃったの♪
それはね、ルドルフなのっ♪ ルドルフはね、真っ赤なお鼻のトナカイさんのことなの。昔にぃにが読んでくれた絵本に出てきた、ちょっぴりみんなと違うトナカイさん。美虎音はルドルフのことがとっても大好きなのっ♪
だから美虎音、一生懸命ルドルフの姿を思い出しながら、丸太みたいに大きな胴体を作ったり、とっても強そうで立派な角を作ったり、そして忘れちゃいけないのがピカピカのお鼻♪ 絵の具で赤く塗れば……うん、完成!
「うわぁ、美虎音ちゃんのトナカイさん、すっごく上手♪」
隣の席のかりなちゃんが、ルドルフのこと褒めてくれたの♪ えへへ♪ そうかな? だったらにぃににプレゼント、してみようかな? にぃに、喜んでくれるかなぁ♪ 「美虎音すごく上手にできてるよ」って褒めてくれちゃったりして♪
あ、かりなちゃんのお人形さんもとっても可愛くて上手だよ♪
でもその時男子が近づいてきて、「ふん、赤鼻のトナカイなんてダメトナカイじゃないか」ってバカにするの! 「違うもん! ルドルフはダメトナカイさんじゃないもん!」って、少し泣きそうだったけれどぐっと我慢して言い返したの。それでも「ルドルフなんて名前付けるなんて、お前も変だぞ!」って……。ルドルフをバカにするなんて許さないもん……。だってだって、ルドルフはピカピカのお鼻がとっても役に立ったからサンタさんに褒められたんだもん……。みんなと違ったって、いいんだもん……! そう、にぃにが教えてくれたから、美虎音はルドルフのことが大好きなんだもん!
「ルドルフは……とってもとっても立派で……みんなの大切な仲間なんだもん! 全然ダメなんかじゃないもん!」
そんな美虎音の叫びを聞いた男子たちは「わ、悪かったよ……」って言って、自分の席へ戻っていきました。その様子を横で見ていたかりなちゃんが「大丈夫?」って声をかけてくれて。うん、美虎音は大丈夫だよ。ただ、ルドルフを悪く言われたからちょっと我慢できなくなっちゃって……。でもどうしてあんなこと言っちゃったのかな?
そんなことがあったけど、美虎音はクリスマスに向けて頑張ってにぃにのためにルドルフたちを作るの♪ 最初はこのルドルフだけでもいいかな? って思ったけど、にぃにはいっつも美虎音にたくさんのものをくれるからその今までのお返しもこめて、他のトナカイさんも作ることにしたの♪
紙粘土をいーっぱい買ってきて、テーブルの上に新聞紙をひいたり、汚れてもいいように帽子も脱いでエプロンをして、うん! 準備OK!
「ダッシャー、ダンサー、プランサー、そしてヴィクセン、コメット♪
そしてキューピッド、ドンダー、ブリッツェンは知っているでしょう〜♪」
うーん……ダッシャーとコメットは一番先頭だから大きくてたくましい体なのかな? ヴィクセンはメスらしいから、ちょっと小柄だったりするのかな? そうやって8頭のトナカイさんの姿を思い浮かべながら、そしてなによりにぃにが喜んでくれるように、喜んでくれるようにって思いながら一生懸命粘土で形を作っていったの♪
その甲斐あって、にぃににプレゼントする9頭のトナカイさんはとっても立派で、小さいころにぃにに読んでもらった絵本の中に出てくるような……美虎音が頭で思い描いていたトナカイさんたちを作ることができたの♪ これならにぃにも「とっても上手だよ」って褒めてくれちゃうに違いないの♪ ふふふ♪ 今からクリスマスが楽しみだなぁ……♪
そしてクリスマス当日。今日は美虎音の家でクリスマスパーティーをすることになってるの♪
クリスマスらしくトナカイさんの帽子をかぶって、シマタ、クロベと一緒ににぃにを待ちます。このトナカイさんの帽子は角が大きくてちょっと重たいから、ちょっぴりだけ大変だったりするの♪ それから赤いお鼻をつければ、美虎音がルドルフになったみたい♪ シマタとクロベにも角をつけたんだけど……二匹ともなんだか邪魔そうみたい。んもう! せっかくのクリスマスなんだからにぃにに見せるまでは我慢するの!
ピンポーン……
あっ、きっとにぃにが来たの!
急いで玄関の扉を開けると、やっぱりにぃにだったの♪ えへへ、にぃに早く早く♪ にぃにに見せたいものがあるの♪
「おいおいそんなに引っ張らなくても大丈夫だって」ってにぃには言うんだけど、だってだって美虎音ってばどうしても早く、あのトナカイさんをにぃにに見せたかったんだもーん♪
「じゃーん! いっつも美虎音にたくさんのものをくれるにぃにに、美虎音サンタからプレゼントなの♪」
「でも、今日の美虎音はトナカイじゃないか」ってにぃにに言われちゃった……。ありゃ、そういえばそうだったの。あはは♪
それよりもこれ! このトナカイさん! どう? にぃに気に入ってくれたかな?
「すっごくよくできてるじゃないか! すごいな美虎音♪」
そう言ってにぃには、美虎音の頭をポンポンって叩いてくれたのっ♪ えへへ♪ 本当はナデナデってしてもらいたかったけど、ちょっとこの角が邪魔だったのかな?
そうやって満足顔のにぃにだったんだけど、「でもどうしてトナカイだけなんだい? サンタクロースはいないのかい?」って不思議そうな顔をして聞いてきたの。えへへー♪ それはね、にぃに……
「だってだって、にぃにが美虎音のサンタさんなんだもん♪」