濡桜〜真夏の白昼夢〜



昔々の城跡。誰が話し出したのかは知らないが、この城跡には、ある怪談話がある。怪談話な
んて言っても、それを見た人に被害は一切ない。多分、それ系が好きな人はそれを怪談だと
認めたくもないと思う。事実は良く知られていない。・・・夜中の三時頃、その城跡の周辺の竹
林を歩いていると、・・・その城跡の持ち主の霊が、何かを探すようにうろついているという。
 「・・・あちー・・・」
深夜のレギュラー番組での企画。実際その霊は現れるのか、検証してみよう。・・・まぁよくあ
る企画だ。二人で行ってこい、そうディレクターに言われ、俺と亮は懐中電灯、これは亮だけ
だけどビデオカメラを持たされた。・・・こーいうの、若手の仕事じゃないの?そこそこ長い
事頑張ってきたんだけどなぁ、俺達。亮は基本大人しい性格だから、文句言わなかったけど。
 「・・・何か・・・全っ然怖くないねんけど」
・・・あ、さすがに文句を言い出した。
 「・・・ほんとにね。逆に、何か心地いい感じ」
蝉の声、川のせせらぎ、鳥の声。ここは場所こそ鬱蒼としてるけど、風も気持ちいいし、嫌な
感じもしない。民家だってすぐ近くにある。・・・まーいっか、何もなかったーって言えば。
 「・・・デートやなぁ。軽い」
亮が笑う。・・・冗談じゃないのがまた面白いよなぁ。
 「・・・うん」
 「あ、ちょっと小便してくるわ。ここで待ってて?」
・・・呑気だねぇ。
 「うん」
亮も完璧、何も起きないと思っているのか、カメラを持っていったまま、山の近くのコンビ
ニへ。・・・十五分くらい、かかるだろう。・・・大きな古ぼけた木。・・・寄りかかるのに丁度いい。
 「・・・ふ――――・・・」
・・・ちょっと、後ろを見てみる。・・・金色の髪。・・・亮?・・・随分・・・早くない??
 「亮―?・・・どーしたんだよ、こんな早く・・・
亮は、思いっきり江戸時代って感じの着物を着て、こっちに歩いてきていた。
 「あはははは!!何それ、冗談?何何、そーいう仕込みぃ!?もう、何だよ・・・
 『敦・・・・・・か・・・?』
・・・その声は明らかに、亮の声とは違っていた。
 「・・・・・・あんた・・・誰だ・・・??」
透き通った、ガラスみたいな声。この近くで、・・・何か撮ってんのか?亮のそっくりさんが。
 『やっと、会えた・・・』
・・・その目には、涙が。
 「・・・近づくなっ!・・・あんた、誰だって言ってんのっ!!」
 『・・・もう・・・離さない・・・』
 「・・・うわっ!?」
身体ががくっと倒れて、目の前が真っ暗になった。

・・・蝉の声・・・ここ・・・どこだ・・・?
 『・・・目が、覚めたか』
さっと飛び起きる。物凄く広い、畳張りの部屋。それは、日本史の教科書でよく見た、城の内
部の写真によく似ていた。廊下に簾がかかっていて、外の様子はよく見えない。俺はいやに
肌触りがいい、本当に殿様が使ってそうな白い布団の上に眠っていた。金字に、白や赤、黄色
や橙なんかの色で絵みたいなのが描かれてる。側に、さっきの亮のそっくりさんがいた。
 「・・・ここ、どこ?」
 『・・・今度は、私の話をしっかり聞いてくれるのだな』
くすっと笑われる。くそー、何かむかつく。
 『・・・ここは、場所はさっきの所と変わらないよ。ただ・・・私が、幻影の城を作ったのだが』
幻影の城・・・!?・・・まさか!!
 「あんた、もしかして・・・!」
 『ああ、その通り。私は桜庭城、最後の城主、桜庭亮成だよ』
・・・何か・・・微妙だなぁ。全然、怖くないんだもん。
 『先刻は、驚かせてすまなかった。ただ、お前があまりにも、・・・敦にそっくりだったから』
桜庭城は、小さな城だったが、名の通り桜の庭が美しく、その時代時代の最大権力者達に好
まれていて、貧しくなるような事はなかった。しかし、最後の城主が原因不明の自殺をして
から、様々な危機に襲われ、城は、潰されてしまった。奇妙な事に、最後の城主の遺体だけが、
見つからなかったんだそうだ。・・・って聞いたけど、・・・まさかなー、亮そっくりだとは。
 「・・・何か、あんた変だねぇ。そんな事言うんだったら、気絶させる事なかったじゃん?」
 『・・・そう。それだけ・・・ならな』
・・・え?
 『・・・私には、恋人がいた。名前は、敦といった』
・・・ひー。ここまでそっくりなの?
 「・・・男だったんだ」
 『・・・ああ。しかも、相手は小姓。・・・何の問題もなく、結ばれる訳がなかった』
まー、そうだろなぁ。
 『・・・が、まぁ、何とかなるもんでな。無事両思いになり、性交も何度も重ねた』
・・・ふーん。
 『長続きは、しなかったが。敦は持病の喘息が急激に酷くなって、出会って三年で死んだ』
・・・へー。
 「そんであんたは、・・・その後を追った」
 『・・・ああ。が、よく分からないが、それからずっと、成仏できなくてな・・・
 「・・・大変だ」
 『ずっと長い間、退屈な時間を過ごしたよ。・・・そして、お前の姿を見つけた』
・・・だから、俺を気絶させた?
 『・・・ずっと前から知っていたが、まさかやってくるとはな。驚いたよ』
 「で?・・・何を、望んでんの?」
早く帰らせてよ。
 『・・・私と、性交をして欲しい』
・・・・・・は?
 「・・・あんた、何考えてんの!?もう死んでんだろ?」
 『ああ。・・・が、性欲は消えてはいない』
・・・そういう問題じゃ、ないだろー・・・
 「帰せ。そんなふざけた事、聞いてられるかっ」
 『・・・帰さないよ。・・・それに、お前の実体の息はもう止めてある』
・・・・・・そーいう事かっ・・・
 「大体、俺はあんたの恋人じゃない。それでもいい訳?」
 『ああ。・・・それより、否定しないんだな、・・・男同士で性交を交わす事を』
・・・あっ・・・!
 『・・・大丈夫だ、お前が私の言う事を聞けば、無事に帰してやろう』
 「・・・・・・」
 『嘘は吐かないよ。・・・が、逆らったら・・・実体ごと、・・・消す』
こいつ、・・・顔は亮そっくりだけど、性格は全然似てない。超自己中だ。
 「・・・分かったよ。・・・で?・・・脱げばいいの?・・・分かんないでしょ、脱がし方?」
もーいいや、こうなったらどうにでもなれ。亮には・・・あいつだって、結婚して子供いるくせ
に未だにやりたいって来るもんな。浮気されてんだもん、し返したって、文句は言えない。
 『・・・ああ』
立ち上がって、大人しく服を脱いでいく。あー、悪代官に身体捧げる生娘の気分。
 「・・・細いでしょ?」
じろじろ見られるのは正直あんまり気分よくないけど、開き直るしかない。
 『ああ。・・・敦とよく似ている。・・・そんなに、跡はついていなかったがな』
そう言われて、身体中に薄く残ったキスマークに気がついた。さっと隠す。
 『・・・気にしないから、隠さなくていい。・・・他の男の跡が点いている方が、燃える』
・・・・・・あ―――――・・・今目が覚めて、夢でした〜ってなったらなぁ。
 『相手は、・・・お前の相方か』
 「・・・・・・・・・そうだよ。悪い?」
普段は大人しくて人当たりのいい性格で、・・・やってる時は変に男っぽい。隠れサドの変態。
だけど、嫌にはならない。普段が本当に優しいから、どんな事をされても、許してしまう。
 『・・・いや?』
後輩とかにサドって言うと、驚かれるけどね。
 「・・・脱いだよ、全部」
太ももを触られて、ゆっくり上へ。くそー・・・気色悪い。すっと、布団の上に押し倒される。
 『敦・・・
キスを迫られる。思わず拒否する。
 『・・・どうして』
 「・・・唇は、嫌だ」
・・・赤の他人にされるのだけは、絶対に。
 『・・・・・・』
急に手が動かなくなり、床に貼り付けられる。
 「何してっ・・・んっ・・・嫌だっ、んんんっっ、んぅうんっ、んっ、ん・・・!」
くそっ・・・手が、動かないっ・・・
 『・・・いい顔だ。・・・言っただろう?逆らうな、と』
・・・・・・。
 「・・・分かったよ。分かったから、手を・・・
 『・・・何時、逆らうか分からないからな。手はしばらく、そのままだ』
逆らったら、殺される。・・・俺も約束したから、和姦になるかもしれないけど。
 『ついでに、こっちも開いておいてやろう』
 「あっ・・・
足を広げられ、M字になるように固定される。そしてまた、動かせない。
 『・・・厭らしい身体だ。こんな所に、跡をつけて・・・
胸のキスマークに親指を当てられながら、揉まれる。
 「んっ・・・」
 『気持ちいいのか?こうされると・・・』
両胸に手を当てられ、揉まれる。
 「んっ、あっ、んんっ・・・」
 『・・・何時もこうして、舐められているのか?』
乳首を、舐められる。舌の上で転がされ、潰される。
 『・・・随分、目が厭らしくなってきたな・・・・・・ここも、何時も弄られているのだろう?』
突起物を、握られる。
 「はううぅぅっ・・・!」
笑われる。殴ってやりたい・・・!!
 『そう睨むな。・・・お、固くなってきたな・・・感じているのか?』
・・・そう、言われると・・・
 『どうした?・・・そんなに、厭らしい事をされたいのか?』
 「・・・・・・」
 『・・・まあいい。すぐに、自ら欲しがるようにしてやるよ』
亮そっくりの目つき。・・・いや、亮よりサディストぶりが酷い。それに、亮は俺を脅してまで
して、俺を抱こうとはしない。こいつだってしょうがないかもしれないけど、・・・異常だ。
 「んっ・・・あ、そこっ・・・はっ・・・」
ペニスを握られ、中心の穴にぐっと指を入れられる。
 『・・・懐かしいな。・・・淫乱な身体だ、・・・接吻はあんなに嫌がっていたと言うのに』
う・・・。
 「あっ!あっ、嫌だっ、そんなっ・・・奥はぁっ・・・!」
ぐりぐりと押し込まれ、身体はすっと喰いついてしまう。数回、尿道にピンクローターを押
し込まれた事はある。大体途中で輪ゴムかなんかで止められてしまい、従う事を強制される。
亮とのSMプレイは、嫌じゃない。道具・・・は使うけど、本当に嫌な事はして来ないもん。
 『・・・嫌なのか?本当に?・・・こんなに締め付けているのにか?』
 「・・・それっ・・・はっ・・・」
 『・・・もっと厭らしい事を、して欲しいんだろう?・・・こんな、淫乱な身体をして』
抜き差しされて、俺の身体は奥へ奥へと、その指を求めてしまう。・・・嫌なのに、本当はこの
まま殴って帰ってしまいたいくらい嫌なのに、感じてしまう。亮君に、・・・そっくりだから?
 『淫乱な・・・ここにも跡が残っているよ?何時も、口をつけられているんだろう?』
 「はっ・・・うぅっ・・・、嫌っ、嫌だぁっ・・・!」
尿道に指を差し込まれたまま、アナルにも指を。
 『・・・いい顔だ。先刻の生意気な顔も可愛かったが、・・・今の方が綺麗で魅力的だ』
・・・そっくりじゃない。でも、感じてしまう。亮君とは違うのに、こいつは赤の他人なのに。
 『・・・悔しいか?・・・好いてもいない奴に、こんなに濡れている自分が?』
・・・こんな事絶対言わない。・・・のに、どうしてこんなに気持ちいいなんて思うんだ?
 『・・・お前は淫乱なんだよ。結局誰だろうが、気持ちいい事をされれば濡れてしまう』
違う。絶対に違う。俺は、そんなんじゃない。
 『・・・首を振っても同じだよ、敦?まぁ認めなくてもいい、そっちの方が苛め甲斐がある』
・・・・・・亮君、・・・助けて。






continue・・・