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 相手が男の子でもなんでも、あれだけ入れ替わりたちかわり相手して、やることやってたら、誰か一人好きになるなんてあり得ないじゃん。好きになったら他の子としないでしょ普通」
 こうは言ってみたけど、自分だけ好きになってほしいという思いは、本当は僕には少しはあった。その気持ちに気づいたから、‘あいつ’の部屋から足が遠のいたんだ。健介君は、どうなんだろう。
 ちょっとの間のあと、健介君は言った。
 「やっぱり、俺らみたいな子どもの誰かが、刺したのかな?」
 「決まってんじゃん」
 「強盗とか……」
 「あいつ大人の男だよ。リビングで起きてる時、強盗に入るのって、度胸いると思うよ。普通、女の人か年寄りの一人暮らし狙うでしょ。しかも背中でしょ。あいつが何の警戒もしない状態で、後ろに忍び寄るんでしょ。顔見知りに決まってる。普通に家族とかが訪ねてくる部屋なら、男の子何人もに、合鍵渡さないし」
 「お前、頭いいな……」
 健介君は本気で感心しているみたいだった。
 「僕は健ちゃんみたいに、死体なんて見てないから落ち着いてるだけ。……でも惜しいよね、いいたまり場が消えて、小遣いももうもらえないし」
 「でもなんか、ほっとした気もするよ。やばいことも一緒に終わりかなって」
 やばいこと、か。
 「そんなさびしいこと言わないでよ」
 「え……」
 「あんなところで知り合っても、僕は健ちゃんのこと大事な友達だと思ってるよ」
 すっごく、クサいセリフ。
 「それは、俺だって……やっとの思いで電話したのが、お前だったんだし」
 よかった。
 「じゃさ、ちょっと遊んで帰りなよ。ね」
 「え……お前、それって……」
 僕は健介君のベルトのバックルに手をかけた。
 「あ、ちょっと……」
 腕力は健介君の方が上だ。それで僕が、パンツの中に、手を入れること、できたってことは、OKってことだよね。
 「今そんな、とてもそういう気分じゃ……」
 「大丈夫。勃ってきてるからできるって。寝てるだけでいいからさ」
 僕は健介の手を払いのけてズボンとパンツを引き抜いてしまった。健介君は赤らんだ頬をして目をそらして、仕方ないという様子で立ち上がると、ベッドにどんと尻をついて横になってくれた。

 健介君の体は、‘あいつ’の部屋で裸を見た何ヶ月か前より、大きくなっていた。僕は成長が遅くて、まだ毛も生えてこない。
 僕はベッドに横になって、膝をちょっと曲げて足を広げる健介君の股の間に、顔を埋めた。健介君の、‘半勃ち’くらいのちんちんの付け根には、ちょろちょろっと毛が生えていて、前見た時より、遠目にも黒く見えるくらいに増えてた。僕はしわしわの玉の袋を下から握って、皮の中からのぞいてるちょっと赤い先っぽを、指でいじった。いい感じだ。健介君は、両腕で顔を覆っていた。あの日、‘あいつ’の部屋で、まるでいつもの、何でもないことみたいに淡々と、入れっこしてみた時は、眠そうで、投げやりだった健介君なのに、どうして今日はこんなに、恥ずかしがるのかな。そして、僕はなんで、こんなに興奮してるんだろう。
 僕は着てるものを全部脱いだ。そして、健介君のを、ぱくっと咥えた。健介君は、一瞬、手を伸ばして僕の頭を押したけど、すぐその手の力はゆるんだ。一度、線を越えると、あとは辛抱しないで、健介君はうーん、とか、あ、とか、や、とか、声を出して体をねじった。しゃぶられるの、こんなに好きなら、あの時もすればよかった。
 「ふ、あっ……」
 僕の口の中で、健介君が射精した。あったかい、ねばっこい、しょっぱいのが、にゅるっと口の中に広がった。僕はそれを、飲んでしまった。
 ‘あいつ’との時だって、口の中に出されたことも、飲んだこともほとんどない。そんなにうまく、舌だけで射精って、なかなかしないもの。
 健介君は何にも言わず、のぼせたような顔で、僕が自分の口と健介君のちんちんを拭くのを見ていた。僕はそれから、だらんとした健介君に抱きついた。

 僕は帰り際の健介君に、また遊ぼうねって言った。健介君も「うん」ってうなずいた。でも僕は、健介君はもう来ないかもしれないって感じていた。
 駅裏まで、僕は健介君を送っていき、二人してドブ川に、もう二度と使うことのない合鍵を投げ捨てた。

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