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 裸の祐樹がひざまづき、俺の頭をかかえるようにして強く抱きつく。タバコを押しつけた火傷の瘢痕、手加減なく殴りつけたであろう大小の痣。縄の条痕・・・。継父の暴力が、施設から帰って以来、祐樹の肉体と精神を激しく苛み続けたのだ。今にして思い出す。彼と出会った日々の断片的な風景。足を引きずっていた日、ひどく不安定だった日、家に帰りたがらなかった日。無神経な俺の質問に祐樹は答えた。「新しいお父さんはどう?」「うん、いい人だよ」・・・
 「誰にも言わなかったのか?」
 「うん」
 「どうして?」
 祐樹が俺を見た。
 「お母ちゃんがかわいそうだったから。あの人がいなくなったら、お母ちゃんが悲しむと思ったから」
 祐樹の顔を俺の胸にしまい込むように、俺は祐樹を抱きしめた。俺の胸が、祐樹の涙で濡れた。
 俺は祐樹の両耳をつかむようにして彼の目を見つめると、やにわに唇を奪い、激しく吸った。祐樹も素直に反応し、舌をからめてくる。
 ブリーフをずらし、祐樹の性器に手を伸ばす。彼はもう勃起して、つぼみの先端はじっとりとしめっていた。俺はブリーフを抜き取ると、立ち上がり、自らの着衣を一枚一枚かなぐり捨てた。
 「お兄ちゃん、僕うれしいよ」
 「祐樹・・・」
 「僕の体、きれいだって言ってくれて」
 俺は祐樹を立ち上がらせて抱きしめる。
 「本当にきれいだよ。天使みたいだ。俺のもんだよ、祐樹」
 ゆっくりと覆い被さるように、俺は祐樹を押し倒す。膝から崩れ落ちるようにして、祐樹は俺に組み敷かれる。俺は祐樹の右の乳首を吸い、一方の手で左の乳首をやや乱暴に撫でさする。歯を立ててみる。初めての経験、それも激しい愛撫に、祐樹は唇を噛んで、あえぎを漏らす。暴力的な愛撫が、彼にふさわしい気がした。それが俺の、残酷な愛情だった。
 性器を握り、睾丸の下に指を這わせ、後ろの口をくすぐるように指を使った。唇と舌は、変わらず激しく乳首を愛撫する。乳首も勃起しているのがわかる。肛門に忍ばせた中指を、ぐいとつっこんでみた。「あうぅ」祐樹は歯を食いしばって、眉をひそめている。
 「きついか」
 祐樹はそのままの表情で、首を左右に振った。涙ぐんだ目をかたく閉じて。
 いったん抜いた中指を、唾で濡らして根本まで沈め、指を曲げ、かきまわす。祐樹は、苦痛と快感の入り交じった熱い息を吐き、身をよじった。
 中指を差したまま俺は体をずらし、祐樹のものを口に含む。未体験の快感の渦に、祐樹は腰を浮かせ、唇を歪めた。皮をずらして亀頭を露出させると、舌先を固くして鈴口を刺激した。祐樹の体は電撃が走ったようにけいれんする。舌を左右に揺さぶりながら、かわいらしい竿をしごく。唾液で濡れてなめらかなそれを、次第に激しくしごく。
 果てるまでにそうは時間はかからない。体をびくびくと震わせ、祐樹は俺の口内に射精した。汗じみた味覚のする祐樹のスペルマを、俺は残らず舐めとった。
 事後の陶酔と脱力の中にある祐樹の両足を、俺はかかえて高くあげる。赤みがかってすぼまった肛門が露わになる。俺は二本の指を舐めては自分の性器と祐樹の肛門になすりつけ、湿らせた。腰を進め、亀頭を肛門にあてがう。何をされるのかをある程度悟ったか、首をもたげて俺の行為を見ていた祐樹は、何か言いかけたが、やがてがっくりと力を抜くと、目を閉じて床に頭を投げ出した。
 亀頭の先が肛門を押し広げると、「あ、おぉ・・・」と祐樹の口から苦痛のあえぎが漏れる。
 「痛いかい?・・・ちょっと力抜いて我慢して。これなら大丈夫、気持ちよくなれる」
 アナルの触感で最後までいけるかどうかは見当がつく。亀頭が入り口を過ぎれば、そうひどい苦痛はあるまい。俺は、半ば強引にペニスを押し込んだ。「あッ」祐樹がのけぞる。しかし彼の体は、俺のペニスを受け入れた。ペニスを包み込む祐樹のアナルの暖かく柔らかな抱擁。腰を使う。快感がこみ上げる。激しく、さらに激しく。祐樹のあえぎが遠くで聞こえる。膝の上で身をよじる祐樹を感じる。
 俺は、腰にひねりをくわえながらひどく激しく祐樹のアナルの内奥をついた。祐樹を襲うのは苦しみと痛みだろうか。だがこの苦痛は、彼の義父が彼に与えた苦痛とは違う。歪んではいるが、まごうかたなき俺の愛情。祐樹はそれを全身で受け止めて、狂ったように身をよじっている。
 二人の獣を、幾条かの月光が鋭く射抜いている。月の傾くまで、俺達の欲望と愛の宴は続く。

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