〜イングラムの愛〜
「・・・・ん?」
目を開けると、見たことあるような景色が映った。
しかしどこで見たのかは思い出せない。
「(・・お腹ズキズキする)」
腹部に痛みを覚えクォヴレーは完全に覚醒する。
古びたかび臭いベッドの上に寝かされていた。
「・・・?」
起き上がろうと両手を使おうとするが、
どうやら後に縛られているらしく使うことが出来ない。
しかたなく腹筋に力をこめ、起き上がろうとするが、
腹部に力をこめると痛くてそれも出来なかった。
「(オレ??・・ここはどこだろう?見たことある景色だ・・
それにどうしておなかが痛いんだろう??)」
「目が覚めたようだな?」
「!!?」
突如かかってきた声に驚き、声がする方向へ視線を向わせる。
そこには銀髪の・・長身の男が冷たく笑いながら立っていた。
「(昨日?つけてきた人だ・・・どうして?
オレは・・ヴィレッタとイングラムと出かけて・・
アラドに会って・・話をしていて・・それで・・・あ!)」
クォヴレーは全てを思い出した。
「(そうだ、あの男に殴られて・・気絶したのか??アラドは・・??)」
「・・お嬢さん、俺のことを思い出したかな?」
「・・・・オレは・・男だ」
『お嬢さん』という言葉に少しだけムッとしながら訂正した。
すると男は驚いたように目を見開き大笑いをした。
「フハハハッ!何を言い出すかと思えば・・・!」
男はゆっくりとベッドに近づいてくるとクォヴレーの顎に手を置き、
「そんなことは初めから知っている・・!
だが俺は昔からお前のことを『お嬢さん』と呼んでいた」
「・・・むか、し??」
「よくお前の家にも出入りしていた・・・お前も俺になついていた」
「・・なついて??」
意味不明な言葉を発する男に、クォヴレーは頭がまわらなくなっていく・・。
「ああ・・・そうか、お嬢さんは『大好きなパパ』を裏切ったのが
『大好きなパパの友達のお兄さん』だったからショックで記憶から消し去ったのかな?」
「パパの友達お兄さん!?・・・裏切った??」
男は更に冷たく微笑むと、クォヴレーの頬に手を這わせ撫で始める。
「正確にはパパの親戚だがね・・・
我々は同じ年ということもあって常に比べられてきた。」
「・・・・・」
「だが結果はいつも俺の負け・・・お嬢さんのママの時もそうだった」
「・・・ママ?」
「・・俺はお嬢さんのママが好きだった・・・」
「え?」
「お嬢さんのパパの家に行った時俺は彼女に会った」
「・・・・・」
「誰にでも平等で・・優しく・・・俺は一目で彼女が好きになった・・
何回か誘ったお茶にも彼女は付き合ってくれたし・・・彼女も俺が好きだと思っていた・・だが!」
「・・・・・」
「すでに彼女は君のパパの婚約者でお腹には君がいた」
「・・・・・」
「・・俺はまた君のパパに負けた・・・
彼女がパパという婚約者がいたのに俺の誘いを受けた理由はなんだと思う?」
突然の問いかけにクォヴレーは力なく首を横に振る。
男はまだ頬をなでながら話を続けた。
「俺が、パパの親戚だからだ・・たったそれだけの理由・・!」
「・・・・・」
「同い年ということもあってパパと仲がいいと勘違いしていたんだろうな・・
最も表面上はお互いに仲良くしていたから仕方ないが・・・」
「・・・あんたの横恋慕の醜い嫉妬じゃないか・・」
クォヴレーはボソッとそれまでの話を聞いた感想を素直に口に出してしまった。
男はその発言を聞くと、恐ろしい形相に変わりその右手がクォヴレーの頬を張った。
「・・・っ!」
右頬に走った痛みに思わず目を閉じるクォヴレー・・・。
痛みが少し引いてきたときにそろそろと再び目を開いた。
「お前のパパはいつもいつも俺より先を行っていた。
だがそんな俺でもやつに勝っていた事が1つだけあった!」
男はクォヴレーの顔に自分の顔を近づけまた話し始めた。
「それは軍の昇進の早さだ!俺が大尉になったころアイツはまだ少尉!
俺は心のなかでほくそえんだよ!やっとやつに勝った、と・・しかしだ!!」
更に険しい顔でクォヴレーを睨んでくると、
「俺が中佐になる頃には追いつかれアイツも中佐になっていた。
おまけに君はすでに生まれ彼女と温かい家庭も築いていた」
「・・・・・」
「・・・同時に中佐になったというので君のママが一緒にお祝いしようと言ってきた。
気が乗らなかったが断るわ訳にもいかず俺は君の家へいったよ・・・」
「・・・・」
「そこで初めて君と会った・・」
険しかった顔を少しだけ緩めると男は再びクォヴレーの頬をなで始めた。
「天使のように無垢な心で、天使のような笑顔を向けてきた・・
女の子かと思ったので彼女に聞いたら『男』・・・
だが俺は君の事を『お嬢さん』と呼び始めた・・」
「・・・・・」
「もうすでに例の計画は立てていたし、進行中だったんでね・・」
「・・・進行中?・・・計・・画?」
「俺から全てを奪っていく男と、俺を選ばなかった女・・
両方に天罰を与えることにした」
不適に微笑みながら男は淡々と語っていく・・・。
「君のパパにやってもいない濡れ衣をきせ、破滅に追い込んだのは俺だ」
「!!?」
「まさか2人とも死ぬとは思わなかったが、かえって好都合だった。
これで気兼ねなく君を引き取ることが出来るからね」
「・・・・っ」
「だが俺の仕掛けたからくりに気づいた人間が俺に脅しをかけてきた。
俺は仕方なく同じ手口でその人物にわたす金を作ることにした」
「・・・・・」
「2度目もうまくいくはずだった・・・なのにあの男!」
「・・・だれ?」
「イングラム・プリスケン」
「!!イングラム??」
思いもしなかった名前にクォヴレーは本当に驚く。
そしてイングラムが一体何をしたのか聞きたくてたまらなくなった。
「イングラム・・貴方に・・なにを?」
「君のパパの無実を信じていたあの男はずっと調べていたらしい・・
あの時、同じような手口の事件が起き、やつは徹底的に俺を調べ上げた。
証拠を掴むとやつは俺を上層部に売ったよ・・。
そして見事に君を俺から奪っていった!」
「(・・知らなかった・・イングラムがパパの無実を・・・
でもそんなこと今まで一度だって・・・)」
「長かった・・実に10年近くの歳月がかかった・・
だが君は今俺の手の中にいる・・・!」
男はそう言うとクォヴレーのズボンの中に手を進入させていく。
「!!何、を!!?」
後の入り口に指を持っていくと蕾の辺りをなで始める。
「可哀相に・・ココで何回やつを受け入れた?」
「・・・っ!?」
「何回ココであの男を悦ばせた?」
「・・・・っ」
「だがもう大丈夫だ・・・これからは俺が君と一緒にいる。
洋服だって食べ物だって好きなものを買ってあげよう・・・
俺はいまある組織の幹部だからね・・・
欲しいものはなんだって手に入れることが出来る」
厳しかった表情を和らげると男の唇がだんだん唇に近づいてくる。
クォヴレーは体の底から悪寒を感じた。
しかしベッドの上横たえられ、縛られている上に覆いかぶさられていれば身動きが取れない。
「・・ぁんぅっ・・」
冷たい唇が、クォヴレーの乾いた唇を塞ぐ。
閉じていた口に強引に舌を割り込ませ口内を犯していく。
男の蛇のような舌で口の中を這い回られると鳥肌が全身を覆っていく。
「んっんっ(・・気持ち悪い!!イングラムと全然違う!!
イングラムのキスは熱くて強引で・・蕩けそうで・・・頭が真っ白になって・・)」
「ぐぅっ・・・・!!」
気持ちの悪いキスにおもわず男の舌を噛んでしまった。
口から血を流し悪魔のような形相で睨んでくる男に、
「オ・・オレはママじゃない!!」
「そんな事はわかっている!俺を選ばなかったおろかな女に今更未練などない!」
「・・・ではなぜ??」
「荒みきった俺に純真無垢に笑いかけてくる君は本当に天使だと思ったよ。
手に入らない女を想うよりこの子を手に入れればいいと思った」
「・・・!!」
「しかし悪ふざけの過ぎるお口だ・・・躾は最初が肝心・・」
「・・・しつ、け?」
男はクォヴレーをベッドの上に起き上がらせると、
スラックスの前を開けはじめた。
クォヴレーにはそれがスローモーションに映る。
それはこれから起ころうとしている現実を認めたくないかのようである。
「行儀の悪い上の口には調教が必要だ・・・噛むなよ?」
「!!?やだ!!」
何をやらされるのか理解したクォヴレーは必死に逃げを打つ。
しかし縛られている上にすでに頭を抑えられてしまっていたので・・・
「・・!んぐっ・・・んん〜!!!」
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