途中まで一緒です。
〜クォヴレー君のモヤモヤ〜
自分の部屋の窓枠に腰をかけ
外を見ながらクォヴレーはため息をついた。
最近イングラムは帰ってくるときに決まって何人かの
女性が周りにいる。
歩いて帰ってこれる距離なので、
彼女達が勝手に彼の周りをうろついているのだが・・
(要するにファン)
バッチリ化粧を決め、綺麗な服を着、香水の匂いを漂わせている
美人な女性陣・・・・
それに対し自分は背も低いし、細いし、無表情だし・・・
そんなに美形ではないし(←自分ではそう思っている)
彼がいつ自分にあきて彼女達に目移りするかわからない・・
そんな事を考えていると、クォヴレーは知らず知らずのうちに
ため息を漏らしている
「(おまけにオレは・・・男、だ)」
はぁ・・と今日何度目かのため息を漏らしクォヴレーは窓を閉めた。
1回に下り、食事の支度を始めるためだ。
冷蔵庫を開け今日のメニューを思案する。
「(牛肉・・玉ねぎ・・・ハッシュドビーフでいいか・・はぁ・・)」
玉ねぎを切ろうと皮をむき始めたときチャイムが鳴った。
「(イングラム?・・今日は早いな・・)」
玉ねぎをまな板の上に置きクォヴレーは玄関に急いだ。
「・・・おかえり、イングラム・・早いな」
「ああ、ただいま・・仕事が早く片付いたんだ。
執務室に必要以上にいても意味ないし帰ってきた・・・」
「ふーん・・・まだ夕飯作ってないんだ」
「そうか、早く帰りすぎたか?たまには出前でもとるか?」
「どっちでもいい」
「(?元気ないな)・・・クォヴレー」
「何?とにかく入ったらどうだ?」
「あ、・・ああ」
いつもなら帰ってきた瞬間にキスを交わすのに・・・
今日はキスの「キ」の気配もない。
しかしクォヴレーはさっさとダイニングに行ってしまったので
言い出す機会をイングラムは逃してしまった。
「クォヴレー、何食べたい?ピザか?」
「・・・なんでもいい」
「・・・寿司か?」
「なんでもいい・・・」
「クォヴレー・・・」
「・・・なんでもいい」
何を言っても「なんでもいい」としか言わないので、
イングラムは大人げもなく少し切れてしまった。
ダンッ
突然の大きな音にクォヴレーは体が竦みあがった。
「・・・クォヴレー」
「・・・・・」
「いい加減にしろ!何が気に入らない!?」
突然大声を出してきたイングラムに、ビクンと更に体が竦みあがった。
「・・・べつに」
「・・・クォヴレー・・いい加減にしないと・・」
「・・・本当になんでもない・・少し悩み事があるだけだ」
「!悩み・・?」
「悩み、だ」
「・・俺には相談できない悩みか?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「そうか・・・俺はまだお前に信頼されていないということか?」
「!そんな・・こと、は・・・」
「・・・・では悩みとはなんだ?」
「(言える筈ない・・お前のことだなんて・・・)それは・・」
「・・・他に好きな人間でも出来たか?」
「え?」
「だからどうやって俺と別れようか悩んでいる・・」
「イ、ングラ、ム?」
「そんな悩みなら確かに俺には相談できないな?」
「ち、違う・・・」
「では、言ってみろ・・悩みとはなんだ?」
「・・だから・・お前に相談する程のことでは・・!!」
そこまで言うと強引に細い手首を引っ張られ、
彼の腕の中に収納された。
顎に手をかけられ乱暴に口を塞がれた。
「!!んっ」
「・・・・・」
「んんぅっ・・!!」
「・・!!つぅ」
イングラムの胸を力いっぱい押し、
腕の中から何とか逃れた。
イングラムの口端からは赤い液体がツゥーと流れている。
「・・クォヴレー・・」
口を手で押さえながらクォヴレーを睨んだ。
「あっ・・」
その後しばらくの間2人に沈黙が流れた。
イングラムは何も言わないクォヴレーに痺れを切らせ、
ため息をつくと、ダイニングルームを後にした。
残されたクォヴレーは涙を流しその場に崩れ落ちた。
「(バカだ・・・よりにもよって舌を噛んでしまうなんて・・
あれではいらん誤解を生んでしまう・・・オレのバカ・・)」
翌朝、目を覚ますとイングラムはもうすでにいなかった。
「(もう、行ったのか・・?謝りたかったのに・・・)」
ため息をつきクォヴレーは壁によりかかった。
「(謝らなければ・・・学校は・・サボって・・謝りに行こう
許してくれるだろうか・・?イングラム)」
イングラムの執務室の前に着くと、中から女性達の華やかな笑い声が聞こえてきた。
昼休みだから遊びに来ているのだろうか?
楽しそうな笑い声を聞いているととても中に入る勇気は出なかった。
あれこれ悩んでいるうちに、昼休み終了のチャイムが鳴る。
部屋の中から女性陣の残念そうな声が聞こえると、入り口が開いた。
「あ・・」
突然開いたドアに驚きクォヴレーはその場に固まってしまった。
部屋から出てきた女性達はクォヴレーを見ると・・・
「きゃー!!可愛い!!!「わたし」何処の子??」
「(わたし???)」
「えー?「ぼく」じゃないのぉ??」
「女の子でしょ?ねぇ?」
「・・あ、・・その・・」
「少佐のお知り合い?」
「う、うん・・」
「そう、今呼んであげるわね」
「え?」
「少佐ー!!可愛い銀髪の女の子がお見えですよぉー!!」
「男の子よー!」
「とにかく可愛い銀髪の子が来てますよー!」
クォヴレーが彼女達にドギマギしていると、
入り口に怪訝な顔をしたイングラムが現れた。
何しに来た?と言いたそうな雰囲気にクォブレーは心臓が痛んだ。
「・・・入りなさい」
「・・わかった」
「じゃ、少佐わたし達はこれでー」
「ああ・・」
女性陣がその場から遠ざかって行くのを見届けると、
クォヴレーは隣にいる人物を見上げた。
無表情に自分を見つめる瞳に心臓がさっきよりも痛んだ。
「・・・入らないのか?」
「入る」
イングラムは自分が使っている机に座ると、
末端に向かい仕事を始めた。
「・・・適当に腰掛けていなさい・・あと少しでひと段落着くから」
「・・・わかった」
「・・・昼は?」
「・・・食べて、きた」
「そうか」
クォヴレーは本当は昼を食べていない。
朝も、昨日の夜も食べていない。
食事が咽を通る状態ではなかったからだ。
「(このまま、終わるのはいやだ)」
カタカタ・・・と末端を打つ音だけが部屋を支配する。
「(でもさっきの女の人たち・・・イングラムはやはりああいう女性が
好きなんだろうか?オレはもういらないのかな・・?)」
複雑な思いでイングラムを見つめていると・・・
「何の用で来たんだ?学校は?」
突然彼が話しかけてきた。
末端から視線を外し、真っ直ぐにクォヴレーを見つめてくる。
「あ・・・その・・・さぼった・・・」
「!さぼった・・・?」
眉間にしわを寄せ、クォヴレーが言った言葉を繰り返された。
「イングラムに・・・謝りたくて」
「・・・謝る?」
「昨日・・怪我をさせてしまった」
「・・・・」
「あんなことする気はなかったんだ」
「・・・・」
「オレ、ここ最近ずっと・・・モヤモヤしていて」
「・・・で?」
「イングラムを見ると胸が・・・苦しかった」
「俺を嫌いになった、からか?」
「!!!違う!!」
「・・・ではどうして?」
「最近帰ってくるときいつも周りに女の人がいるだろ?」
「!?」
「・・・それを見ていて、イングラムは本当はああいう人が好きなんじゃないかって・・
オレなんか本当は邪魔なんじゃないかって・・・思ったらモヤモヤして・・」
「・・・・・」
「でも、そんなことイングラムに言えないし・・・」
「・・・」
「だから・・オレ・・」
「クォヴレー・・」
「え?」
「ここまで・・きなさい」
低い声でひどく静かに命令され、おそるおそるイングラムの椅子の横まで行った。
そしてイングラムとは視線を合わせずに俯きながら話を続けた。
「今さっきも・・楽しそうに女の人とおしゃべりして・・いた」
「・・・・・」
「お前・・・本当は・・オレが、いない・・ほうが・・」
「・・・歯を、食いしばれ」
「・・・え?」
意味がわからず、顔を上げると、左頬に痛みが走った。
いきなり起こったその衝撃に左頬をおさえ、信じられないという顔でイングラムを見た。
「何、を!!」
「愚かでバカなお前に制裁を加えただけだ!」
「なっ!?」
「俺は・・お前を手放す気など全くない!」
「・・・・!」
「いつもまとわりついてくる女どもも正直いつも迷惑に思っている!」
「・・・・」
「だが立場上ムゲにも出来ないし、家までの間ついてくる程度なら大目にみていたんだ」
「・・・・・」
「お前こそ、他に好きな奴でもできて俺と別れたいためにそんな事を
言っているのではないのか!?」
「!!そんな筈、あるわけないだろう!?オレが好きなのは、今もこの先も
イングラム!!お前だけだ!!!」
「・・・・本当に?」
「本当、だ」
「お前こそ本当か?」
「俺が嘘をついたことあったか?」
「・・・!な、い」
「そうだろう?」
そこまで言うと優しく微笑み、クォヴレーの左頬をさすってきた。
「痛かっただろう?すまない」
「・・・大丈夫だ・・・オレだって・・昨日・・」
「クォヴレー」
「・・イングラム・・舌、出して?」
「?」
言われたとおり舌をだすと、クォヴレーは彼の両の頬に手を添え、
彼の舌を自分の舌で舐め始めた。
舌の先で舌の先を舐め、
舌を唇でちゅっと吸ったりもした。
傷つけてしまった舌を消毒していると言わんばかりに・・・
クォヴレーの行為が一通り終わると
今度はイングラムがクォヴレーを引き寄せ、左頬にキスをし舌で舐め始めた。
先ほど殴ってしまった頬を直すと言わんばかりに・・・
一通り終わると、クォヴレーを膝の上に乗せ、
軽くキスを落す。
「・・ん」
イングラムの首に腕を回し、自らの舌をイングラムの口の中へ・・・
入ってきた舌を軽く吸い、そのまま絡め始めるイングラム。
シャツのボタンを一つ一つ外しながら白く細い
クォヴレーの首筋に唇を押し付けていく。
「・・っぁぁ」
・・と、その時・・・
「少佐、失礼します」
「「!!」」
「お忙しいところ申し訳ありません・・・?少佐?」
「あ、・・ああ・・なんだ?」
「・・・顔が赤いようですが?」
「・・・こ、この部屋が暑いから・・だろ・・っ」
「そうですか?ならいいですが・・・」
イングラムは平静を装っているが、実は今にも声が出そうなのである。
机に肘をかけ、椅子に座り末端を弄っていたフリをする。
しかし、足元には・・・・
「・・・っ・・・」
「・・?少佐?」
「!!いや・・それより用は?」
イングラムは足元に目をやる。
今、部屋にいる下士官の位置からは見えないが足元にはクォヴレーがいる。
とっさに机の下に隠れたのである。
その時クォヴレーはフっとある考えが浮かびイングラムのファスナーに手を伸ばした。
性器を取り出すと、躊躇なくソレを口に含む。
イングラムはビックリしたが、目の前には下仕官。
どうにも出来なく現在に至る。
「では、そのように致します・・・少佐?」
「・・・あ、ああ・・まだ何か?」
「本当に大丈夫ですか?顔が真っ赤ですよ?」
「・・・暑い・・からだ・・・ああ、そうだ」
「?」
「・・・仕事を一気に片付けたいから・・これで外から鍵をかけていってくれないか?」
「了解・・・その鍵はどうしましょう?」
「・・・っ・・明日・・返してくれ・・」
「・・・了解です・・では」
「ああ・・・」
・・・長いので二つに分けました。
続きはこちらから・・・続きを読む
インヴレ部屋へもどる
|