〜NIGHTMARE5 続き〜
スペクトラの報告を聞きながら、キャリコは全身に汗をかいていく。
なぜだか身体中が火照り始め、下半身が熱くなっていった。
「・・・?キャリコ??」
「・・・・っ」
ベッドの端に腰掛けているキャリコに対し、
スペクトラはその直ぐ近くの椅子に座りながら今後の打合せをしていた。
「・・・なんでもない・・続けてくれ」
「そ?・・・では予定通り地球行きはメムでいいわね?」
「あぁ・・・っ・・問題・・ない・・」
だが1秒経つごとに下半身は、はちきれんばかりに熱を持っていく。
「(・・・っ・・あの薬か?・・・アイン・・まさか・・)」
打ち合わせ中だというのに、心はアインのことでいっぱいになっていく。
「(・・アインがこの薬の実験につき合わされているというのか・・くっ)」
「・・・キャリコ?貴方本当に大丈夫?汗凄いわよ?」
「・・・あ・・あぁ・・くっ」
もう、熱は布の中にしまっておくには辛すぎるほど成長していた。
キャリコは仕方なくジッパーを下ろす。
そしてスペクトラがそれに気づかないわけがない。
「・・・キャリコ・・・貴方・・」
苦しそうな微笑を向けると、
「・・・薬・・だ・・実験に・・・」
「・・・薬って・・そういう風になるってことは媚薬の類でしょう!?」
「そう・・だろうな」
「・・・私達にも効く薬なんて珍しいわね・・・たいてい眩暈や吐気程度で収まるのに」
「・・・・っ」
苦しそうに自身の熱を擦っていると、
スペクトラは椅子から立ち上がりキャリコの肩に手を置いた。
「・・・大丈夫だ」
「・・・そんなわけないでしょう?」
「・・・平気だ・・・」
「・・・アインがいるから?」
「・・・いや・・・アレとは・・まだ・・」
「『まだ』・・だから余計なのね?余計に・・操をたてる・・
・・わけではないけど他の人間とは寝たくないのね・・?」
「・・・そうだ」
ふぅ・・とため息をつくとスペクトラはキャリコを見下ろした。
「・・・私は貴方を愛してはいないわ」
「・・・・知っている・・俺もお前を愛しているわけではない」
「だからこれから行うのはSEXじゃなわ・・治療よ」
「スペクトラ・・・俺は・・」
「・・どちらにせよ、そんなんじゃアインに会えないでしょ?」
「・・・そう、だな・・・すまん・・・頼む」
「了解よ」
キャリコは諦めたようにベッドに身を投げ出した。
熱くなっていく下半身を恨めしく思いながら目を閉じる。
スペクトラが衣服を脱ぐ音が妙に大きく聞こえてきた。
「(・・・情けない・・・本当に・・)」
やがて準備を整えたスペクトラが上に跨ってきた。
熱くなった雄を下着から外界へ出される。
彼女の腰に手置くと、ゆっくりと雄はその中に飲み込まれていく・・・・
ひとたび女性器に包み込まれた雄は更に硬く成長し擦りだしたくなる。
「・・・くっ」
「・・!きゃあっ」
上に乗っていたスペクトラをベッドにはりつける様に押し倒すと、
激しく欲望を打ちつけ始めた。
アインは乱れた衣服で『彼』を求めて通路を走っていく。
途中多目的室の前の通路で、誰かとぶつかった。
「おっと!」
「・・・あっ」
互いに尻餅をつくと、メムの持っていた資料がバラバラと廊下に散らばっていく。
「・・・・っ・・誰だ?」
「・・すまない・・前を見ていなくて・・・!メム!?」
「・・・アインか・・気をつけろよ・・・ん?」
資料を拾っているアインの姿にメムは目を見張った。
乱れた衣服からのぞくことの出来る首筋や胸元に
沢山の赤い鬱血が見えたからだ・・・。
「・・・アイン、ナニしていたんだ」
「・・・え?」
「さっきの戦闘にも出てこないで・・・誰かと楽しんでたのか?」
「・・・・?」
「・・・キスマーク・・いっぱいだ」
「!?」
拾った資料が手から滑り落ちた。
慌てて乱れた衣服を掻き合わせたからだ。
ジリジリとよってくるメムから逃れるため、後退していく。
だがやがて壁に突き当たってしまった。
「・・・・アイン」
「やめろ!!」
パシッと、伸びてきた手をなぎ払い再び資料を拾い出す。
何気なく資料の一つに目を落すと、
『地球』・『連邦』・『イングラム』などの文字が目に映った。
「・・・お前・・地球へ?」
叩かれた手を撫でながら、メムは肩を竦めた。
「あぁ・・・面倒くさい任務だよな・・・オリジナルの尻拭いなんてさ!」
「・・・そうだな・・(そういえばキャリコ・・よく下見とか言って地球へ行っていたな)」
「そういえば、アイン」
「・・・?」
「お前急いでいたみたいだけど・・・?」
「・・あ・・あぁ・・ちょっと・・キャリコに・・」
「・・ギメルに・・?へぇ・・いいけど・・」
なんとなく歯切れの悪いメムに不振を抱きながらアインは拾った資料を手渡した。
「・・・けど、なんだ?」
「今は行かない方が懸命だと思うけどなぁ・・・」
「・・・・?」
首をかしげてメムを見上げるが、それ以上は語ろうとしないメム。
「・・・俺さ」
「え?」
「俺、これからしばらくの間、多目的室で資料を読んでるつもりだ」
「・・・・?」
「・・・ナニかあったら・・俺のところへきな・・・」
心底同情しているようなメムの声色に
ますます不振を抱きながらアインはその場を後にした。
アインの背中を見送りながら、メムは心の中でキャリコをあざ笑う。
「(・・ギメルもバカだよな・・アインが傷ついている時に・・
でも、ま、そのおかげでアインが手に入りそうだが・・・)」
アインはキャリコに抱きしめて欲しかった。
彼に抱きしめられると、心臓が苦しいくらい早くなって息が苦しくなる。
けれども安心できてもっと強く抱きしめて欲しくなるのだ。
「(キャリコ・・キャリコ・・!抱きしめて欲しい!)」
やっとの思いで彼の部屋の前に着く。
乱れた息を整えながらノックをしようとした時、中から小さな女の喘ぎが聞こえてくる。
急に鼓動が早くなり、目の前が真っ黒になっていく。
ノックをせず、気づかれないようそっとドアを薄く開けると、
信じがたい光景がアインの目に映りこむ。
その光景は少し前に自分が体験した行為と同じようなものだった。
裸の『生き物』2人が交じり合いベッドを大きく揺らしている。
時折聞こえてくる艶めかしい女性の喘ぎと、
悦びに満ち溢れた男性の喘ぎ。
目をつぶり、耳を塞ぎたかった。
実際に目をつぶり耳をふさいだが、絡み合う2人の姿と音がアインを追いかけてきた。
ドアを開けたまま、アインは壁に寄りかかるように蹲った。
相変わらずベッドの軋む音と喘ぎはやむことなく続いている。
見開いたままの瞳からとめどなく涙が溢れてきてきていた。
アインの中の何かがヒビの入っていく音をたてた・・・・。
「(・・・キャリコは・・嘘つきだ・・・はやり『彼等』と同じだったんだ)」
『私は壊れゆく人形が見てみたい・・・』
シヴァーの言葉が胸に痛いほど響いた。
男女の交わりは今だに続いている。
アインはゆっくりと立ち上がった。
「(・・・もう・・傍にはいたくない・・抱きしめて欲しくもない・・・
・・・どこか・・遠くへ・・・キャリ・・ギメルが目に映らない・・遠くへ・・)」
アインの脳裏に先ほどの書類がよぎった。
「・・・地球」
消え入るような声で呟くと、来た道を引き返していく。
「・・・遠く・・・地球・・・」
独り言のように呟くアインの目からはもう涙は止まっており、
完全に無表情な人形となっていた。
多目的室の机で資料を読んでいるとその人物は現れた。
仮面を外し、勝ち誇ったように笑みを浮かべると、
「・・・やはり来たか」
「・・・メム」
感情のない顔でメムの前に立つとアインは小さく口を動かす。
「・・・メムに頼みがある」
「頼み?」
机に肘を突き、メムは更に面白そうに笑った。
「・・・頼みか・・なんだろうな?」
「その地球行きの任務・・・譲って欲しい」
思ってもみなかった『お願い』になんと答えていいのか言葉に詰まった。
「・・・譲って欲しい・・オレはギメルのいない場所に行きたい」
「(・・『ギメル』?だって!?)・・・俺はかまわないが・・」
「・・・問題でも?」
「ダレットやギメルが賛成しないんじゃないか?」
「・・・関係ない」
「アイン?」
アインの人形のような表情に少しだけ恐ろしさを感じた。
「(・・・真実をアインに伝えるべきだったか?
・・・今のアインはまるで表情がない・・・恐ろしいくらいに)」
メムはキャリコとスペクトラが今何をしているのか知っていた。
資料で疑問に思う点があり、アインより先にキャリコの部屋に行っていたのだ。
そこで肌を重ねあっている2人を目撃した。
その場面をアインに見せ、傷ついたアインを慰めようと思っていただけだというのに・・・。
「(・・・まぁ、いいか・・どちらにせよ・・・)」
改めて目の前に立つアインの身体を上から下まで見下ろした。
アインは少しだけ不機嫌な顔をしたがやがて無表情に戻った。
「・・・譲ってもいい・・ただし俺もギメルやダレットのお小言に付き合うようになるだろ?
・・・勝手に任務を交換するんだから当然そうなるよな?」
「・・・・・・」
無言でコクンと頷き、メムを真っ直ぐに見つめた。
「・・・だから譲ってやるかわりに見返りが欲しいな」
「見返り?」
「・・・アインの身体、とか」
「・・か・・ら・・・だ・・・?」
椅子から立ち上がると、細い腕をとり顔を覗き込む。
「・・・今から俺の部屋へ来るだろ?」
「・・・(そういうことか・・・もうどうでもいいことだ)」
「どうなんだ?俺はどっちでも・・・」
「・・・わかった・・・行く・・お前の部屋へ・・」
メムに先導され多目的室を後にする・・・
アインの中で僅かに残っていた何かにひびが入り、やがて音をたてて粉々に砕けていった。
粉々に砕けたソレは、風に吹かれ跡形もなくどこかへ飛ばされていく・・・・。
音を立てて崩れゆくモノ・・・
アインが捨て去ったモノ・・・
それは『心』という名の・・・儚く脆いモノ・・・
1人機体の調整をしているとその男に腕を掴まれ、作業の手を止めた。
感情のない顔で振り返ると、仮面をしていないキャリコが立っていた。
「アイン!どういうことだ!?」
「・・・どう、とは?」
「この任務はメムに与えたはずだ!」
珍しく怒鳴り散らすキャリコに冷たい視線を向ける。
「・・・アイン?」
「・・・譲ってもらった・・なにか問題でも?」
「アイン・・お前・・」
いつもと明らかに違う態度に戸惑いながらキャリコはアインに触れようとした、が
その手は力強く払われ、拒絶された。
「触るな!」
「・・・っ・・アイン」
「お前などに触られると吐気がする!」
「アイン!?」
このままでは埒が明かないので、
腕を引っ張り引き寄せながら唇を奪った。
「何を・・・・!?んっ」
熱い舌が進入してきて、ボーっとしてくる。
壊れたはずの心の破片が反応しているのだろうか・・?
だがアインはギュッと目を瞑ると、力いっぱいキャリコをなぎ払った。
「!!アイン!?」
アインはこれまで以上に冷たい視線で見つめる。
その視線に、キャリコは耐え切れなくなった。
アインは唇を拭いながらそれ以上何も語ろうとしない。
「・・・・っ」
アインから一歩引く・・・
アインはキャリコなどいないかのように作業を再び始めた。
「・・・(今更・・キスなど・・ギメル)」
格納庫を後にし真っ直ぐにメムの部屋へ向う。
ドアを乱暴に明けると、まだベッドに横たわっている彼に向って怒鳴った。
「メム!」
「・・・・ギメル?」
不機嫌そうにベッドから起き上がる。
身体には何ひとつ衣服を纏っていなかった。
「・・・・っ」
「何か用?」
「・・・服を着ろ・・・メム・・お前」
「別にいいだろ?男同士なんだし服くらい・・・」
「メム・・」
「ん〜?」
あくびをしながら床に散らばった衣服を着ていく。
「何故、アインに地球行きの・・・」
「あぁ・・慌てている理由はそれか」
「・・・何故譲った!?」
「・・・アインが俺にお願いしてきたんだよ」
「・・・アイン、が」
冷たくキャリコを見据えながら説明を続けた。
「何でも『ギメルの傍に居たくないから譲って欲しい』・・と、
今さっきまで俺にお願いしていたんだ・・・ベッドの中で、ね」
「!!?」
「・・・お前だっていい大人なんだから、
『ベッドの中』の意味がわからないわけないよな?
あぁ・・・それとも俺の腕の中・・・のほうがわかるか?」
「・・・・・・」
「・・・可愛く啼きながら必死に奉仕するアインの姿は・・・!?」
キャリコの右手が振りかざされた。
だがメムは動じない態度であざ笑う。
「・・・俺を殴っても何もかわらないぜ?
だいだい・・アインが慰めて欲しい時に女と寝てたのはお前だろ?」
「・・・な!?」
「・・・アイン・・輪姦されたらしいよ?
・・きっとお前に慰めて欲しかったんだろうな・・
なのにお前の部屋にいったら・・ダレットと・・・」
「!?」
『・・・・・・あら?』
『・・・どうした?』
『・・・ドアが開いているわ・・私ちゃんと閉めなかったのかしら?』
「(・・・あの・・・ドア・・・か?)」
アインの冷たい視線・・・
なぎ払われた腕・・・
少しだけ開いていた・・・ドア・・・
「アイン・・・」
「無様だな、ギメル」
「メム・・お前・・・」
「仕掛けたことは否定しない・・・アインも欲しかったが・・」
「・・・・・」
「俺はお前が嫌いだからな」
「・・・清々しい・・・答えだ」
キャリコはそれ以上責めることなくその部屋を後にした。
「・・・本当にいいの?キャリコ」
「・・・何がだ?」
「・・・いいえ・・・準備は滞りなく行ったわ」
「そうか・・・」
「火星経由でよかったのかしら?」
「別にかまわんだろ・・・」
『・・・こちら、アイン』
「・・・アイン?どうかしたの?」
『・・・目的の場所に到着・・だが、不測事態発生・・・』
「不測自体?」
キャリコは2人の通信会話を他人事のように聞いている。
出発の前、アインもう一度会う機会があった。
だが自分を見る目は以前とはやはり変わっていた。
『・・・アイン』
『・・・忙しいんだ』
『・・・メムから全て聞いた』
『・・・・・』
『アイン・・・』
『・・・お前は嘘つきだ・・ギメル』
『アイン!?』
『・・・・・さようならだ』
『!アイン・・?何を言って・・』
『・・・邪魔だ・・ギメル・・』
『・・・アイン』
「・・・とにかくその機体、捕獲して頂戴」
スペクトラの声に我に返る・・そして再び2人の会話をただ黙って聞いていた。
「・・・了解」
「・・・アイン、キャリコと何か話す?」
「・・・話すことは何もない・・・気が散るので通信を切る」
「アイン!・・・やれやれ・・・」
「フフ・・・嫌われたものだな・・・」
「・・・キャリコ」
悲しそうな表情をしているスペクトラに、
哀しげに微笑みをむけると2人はそれ以上会話はしなかった。
ゲートの前にいくとソレはなにやら触手を蠢かせヴァルクに絡み付いてきた。
「・・・これは・・・まさか・・アスト・・・うわあぁぁぁ!」
触手は更に絡みつき、機体が機体とぶつかり合う。
「(・・・死ぬ・・死ぬのか・・・?これで・・すべて終わる・・・?
・・・これで・・本当に・・・さようなら・・・できる・・・。
キャリコ・・・スペクトラ・・・メム・・そ・・れ・・か・・ら・・)」
「クォヴレー!クォヴレー!!」
「!?」
揺り起こされ目を覚ますと喫茶室だった。
図書室で1人本を読んでいたら、
アラドとゼオラにおやつに誘われ喫茶室にやってきたのだった。
ところがアラドが部屋におやつを忘れたというので取りに帰った、というのを思い出す。
時計を見るとあれから1時間は経っているようである。
「もぉ〜!アラドってば途中で整備の人に捕まって怒られていたんですって!」
「・・・スミマセン・・・でも帰ってきたらビックリしたぜ?」
「・・・ビックリ?」
「ゼオラがお前の寝顔見てニヘラっとしてんだもんよ!」
「オレの・・寝顔!?」
「あんただって戻ってきたら私と一緒に眺めていたじゃない!?」
「・・・そりゃ・・そうだけど・・・」
「でも、ビックリしたわ・・・
クォヴレー、可愛い顔して眠っていたと思ったら急にうなされ始めるんだもの」
「(・・・可愛い顔?)・・・オレが?」
「そうそう!・・・で、いきなり涙を流しだすしよ」
「・・・涙・・・?」
クォヴレーはそっと頬の辺りに触れてみた。
確かに頬は濡れていて、泣いたことを示している。
「・・・夢でも見ていたの?」
「・・・・夢・・・?」
「泣くなんてさ、よっぽど怖い夢だったのか??」
心から心配そうに覗き込んでくる2人に、クォヴレーはフワッと微笑みかけた。
「心配ない・・・ただ・・悪夢を・・・見ていた気がする」
「悪夢??」
「・・・内容は忘れてしまったが・・・だが」
「「だが?」」
「・・・2人の顔を見たらなんか不安が吹っ飛んだ・・・」
「クォヴレー!」
「・・・有り難う・・・いつもオレの傍にいてくれて・・・」
アラドとゼオラが照れたようにクォヴレーの笑いかける。
「仲間じゃない!家族じゃない!
傍にいて嫌な事があったら支えあったり慰めあうのは当たり前よ!」
「・・・仲間・・・家族・・・当たり前・・・」
「そうそう!少ない食料・・・もといお菓子を分けあうのも仲間・・家族だからだ!」
「・・・十分すぎるおやつの量だと思うが?」
「オレにとっては少ないの!」
「アラドは食べすぎなのよ・・・」
「いいじゃん!オレの趣味みたいなもんなんだし・・でさ、クォヴレー」
「・・・・?」
「悪夢なんて美味い菓子食って、オレ等3人で馬鹿言いながら笑えばふっとんでくぜ?」
「そうよ!・・・さ、クォヴレー・・何が食べたいの?」
テーブルの上には沢山のお菓子が並べられていた。
ジッ・・とそれらを見つめると、ある二つのお菓子を指名した。
「・・・その和菓子と・・・プリンがいい」
「・・・変わった組み合わせすんなぁ・・」
「そうねぇ・・和菓子と洋菓子なんて」
「変か?」
「いんや!・・お前普段小食だし?いっぱい食べるのはいいことだよな!」
「全くだわ!少しはアラドを見習わなくちゃダメよ?・・・はい!」
「・・・有り難う・・・アラド、ゼオラ、実は・・」
「ん?」
「なぁに?」
「・・・この二つを選んだのには・・意味があるんだ」
「意味??」
「・・・この2つ・・・なんだかいい思い出がある気がする・・」
「・・・へぇ?・・・お前の失くした記憶と関係あるのかな?」
「・・・わからない」
「・・きっとそうよ!ならいっぱい食べなくちゃ!
・・プリンにはいっぱい種類があるわよ?これでしょ・・・それからこれと・・・」
「それと・・あれもだな・・・!」
「!!ちょっ・・・フフフフ・・こんなに食えないぞ??」
困ったように笑いながらも差し出されたプリンを受け取る。
3人がおやつを食べ始めてからしばらくして警報が鳴った。
「!!敵だわ!」
「・・・あぁ・・・!?」
「・・・何処のどいつだよ〜!!」
クォヴレーは眉間にシワをよせ、感じ取った気配で敵について語る。
「・・・あの男だ」
「へ?どの男??」
「(互いに引き合う存在・・・オレもあの男の気配を感じることができる・・
あの男は確かにオレの過去を知っている・・・あの男は一体・・・?)」
「何でもいいわ!格納庫に行くわよ2人とも!」
「「了解」」
喫茶室から格納庫へ行く間、クォヴレーは険しい顔をしていた。
「(・・・あの男に会うとなぜこんなに胸がざわつく?)」
「クォヴレー!!急いで!」
「あ、あぁ・・!」
ブルブルと頭を振り、両頬を叩いた。
「(・・・集中しろ、どちらにせよあの男が敵であることに変わりはない・・)」
『・・・アイン・・・この戦闘が・・終わったら・・』
『・・・わかった・・・お前の・・部屋へ・・・』
何かが脳裏を霞めた。
失った記憶の片鱗だろうか?
クォヴレーはもう一度頬を叩くと、ベルグバウのキーをまわす。
「(・・・集中しろ・・そうしなければ待っているのは『死』だ。
オレはまだ死ぬわけにはいかない・・・『オレ』を取り戻すまで・・
・・・そう、あの男は敵だ・・!オレの前に立ちふさがる障害。
・・・・キャリコ・マクレディ・・・オレの・・・敵・・・)」
BAD END?
有り難うございました。
「Nightmare」はこれで終わりです。
キャリアイの癖に結ばれていません・・・
今回は「BAD END」的に仕上げてみました。
それからメムとはヘブライ語で「13」を意味しています。
いろいろ調べた結果「ヘー」とかより「メム」かなぁ・・と。
「ザイン」「テッド」は別の作品で使っているので・・・。
さて、メム君ですが、嫌なキャラになってます・・が、彼は彼でアインを愛していたのです。
このキャリアイは河口大輔さんの曲を聞きながら作っています。
「きっと最後のキスなのに最初の時より、甘く感じてしまうのはまだ好きだから・・」
どうでしょうか???
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