企画

〜トリック・オア・トリート!B〜



マイはアヤに用意してもらった衣装を着て、リュウセイの部屋の前まで来た。


『リュウだって男の子なんだもの!こういう格好には弱いはずよ?』


マイが着ているのは中世ヨーロッパのお姫様のような格好。
頭にはブロンドの巻き毛のカツラをしっかりとかぶっている。

「(・・・リュウ・・なんて言うかな?)」

頬を赤らめ、ドキドキする心臓を落ち着けようとスーハーと深呼吸をした。


「・・・・マイ?」
「うわっ!?」

突然後から声をかけられマイは飛び上がって驚いた。

「・・・すまん・・驚かせたか?」

振り返るとライが立っていた。

「・・・ライ」
「やはりマイか・・・すごい格好だな」
「・・・よく私だってわかったな?」
「・・あぁ・・・(リュウセイの部屋に尋ねてくる女の子はマイと大尉と隊長くらいだからな)」
「リュウに見せようと思って・・ついでにお菓子も・・」
「・・・そうか・・ハロウィンだったな今日は・・・」
「ライのお兄さんもたくさん料理を用意しているらしい・・大変だな」
「・・・あの人は料理が趣味だからな・・別に・・・それより入らないのか?」
「あ・・・はいる・・」

マイはもう一度深呼吸をすると、コンコンとドアを叩いた。


「・・・・?」
「・・・返事がないな?おい!リュウセイ!?」

返事がないのでライはドンドン!と扉を叩く。


「・・・・・・」



だが返事は返ってこなかった。


「リュウ、いないのかな?」
「いや・・俺は奴に呼ばれてきたんだ、それはない」
「ふーん・・トイレとか?」
「・・・いや、あいつのことだ・・大方スーパーロボットのアニメでもみていて・・」
「・・・ありうる・・夢中で気づかないのかな??」
「そうとわかれば遠慮はいらないな・・・入ってしまおう」
「鍵、かかっていないのか??」
「アイツに鍵をかけるような几帳面さはない」


ライの言葉どおり、『OPEN』のスイッチを押すと、
プシューと扉は開いた。

「リュウセイ!入る・・・!!?」
「リュウ!!」


扉が開くと二人は目をまん丸くし驚いた。
なぜならリュウセイが入り口で泡を吹いて倒れていたからだ。


「おい!リュウセイ!!どうした??」
「リュウ!リュウ!!?」

リュウセイの体の周りには飴が散らばっていた。
おそらく今日の日のためにリュウセイが用意していたものだろう。

「・・・飴??ということはこの部屋に仮装した誰かが尋ねてきたのか??」
「リュウはその格好をみてひっくり返ったのか??」
「・・・だとしたら妙だな・・なぜその人物は介抱することもなくこの部屋を離れた??」

うーん・・と二人が考えていると・・


「どうしたんすか??」
「アラド、ゼオラ!?」
「そんな部屋の入り口で・・・て、リュウセイ少尉??」


クマのきぐるみを着たゼオラと、
妖怪人間のような格好をしたアラドが廊下に立っていた。


「わからん・・俺達がきたときにはもう倒れていた。」
「えぇぇぇ??」
「な、なんか泡吹いてますけど・・」
「飴も散らばっているし・・・あら?ということは・・」

コクンと、ライとマイは頷きながら、

「おそらく仮装した誰かがリュウにお菓子を貰いにきたんだ」
「だがリュウセイはその人物をみて倒れた・・・」
「・・い、一体どんな仮装だったんスかね???」
「気ぜつするほどの仮装ってどんなふうなのかしら??」
「・・・とにかく食堂に行って水を貰ってこよう・・」
「あぁ・・俺はリュウセイをベッドに寝かせておく・・」
「私もリュウ部屋に残る」
「了解っス!行こう!ゼオラ!」
「ええ!」



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