〜トリック・オア・トリート!C〜
「トリック・オア・トリート!!」
玄関の扉を開けるなり、頭一つ分ちがう可愛いらしい魔道士?がお菓子を請求してきた。
大きな帽子のツバの影から、幼さの残る顔で両手を伸ばしてくる。
普段は年齢よりも大人びていて、
手のかからないいい子なので、引き取って一緒に暮らすようになってからというもの
迷惑の「め」の字もかけられた覚えがない。
極力怒られないように、迷惑がかからないように、
人の顔色を伺って生きているような気配を感じなくもないが、
そんな少年が年齢以上に「子供」の部分を見せるときがある。
それがお菓子を食べるとき・・・。
「なんだ?一息もつかせてくれないのか?」
「・・お菓子をくれないと悪戯するぞ?家に入らせてやらない!」
「・・・なるほど・・家に入らせないのが悪戯というわけか・・」
仕方がない子だ・・という顔をしながら、ポケットの中身を探るイングラム。
「・・・ほら!魔法使い君御所網のお菓子だ」
ポケットからはお菓子の詰め合わせの袋が出てきた。
一体どうやって上着のポケットの中に入っていたのか・・・?
不思議に思いながらも、クォヴレーは満面の笑みでお菓子の詰め合わせの袋を受け取った。
「ありがとう!・・・いっぱい入ってる・・チョコと・・飴と・・パウンドケーキと・・」
ホクホク顔でバスケットにしまう、魔法使いの少年。
「・・・よく似合っている・・ハリー○ッターか?」
「・・・・違う」
「・・・違う??ひょっとして魔法使いではないのか??」
「・・・魔法使いだ」
「・・・あぁ!モデルはないんだな?」
「・・・ある」
「・・・では、やはりハ○ーポッターだな?」
「・・・違う・・・ハリーポッ○ーは緑の法衣じゃないだろ?」
奇妙な沈黙が玄関を漂った。
ご機嫌だった機嫌が急降下していくのが目に見えてわかるので、
イングラムは慌てた。
そして自分の知識のなかの『魔法使い』を手当たり次第言っていくが、
答えはどれも「違う」であった・・・・。
「・・・降参だ・・・教えてくれクォヴレー」
「・・・ドール」
「ドール???」
「この前、リュウセイがスーパー○ァミコンを持ってきてくれたんだ」
「リュウセイが??・・・スー○ーファミコン??」
「TVゲームの・・本体」
「あぁ!・・結構前に流行ったやつだな?」
「そうだ・・そのカセットの中にアレ○というのがあった。
「・・・・・?」
「ア○サにいる魔法使い・・それがドールだ」
「・・・つまりゲームのキャラのコスプレか?」
「・・・そうなる・・・のだろうか?」
「・・・そうなるだろうな」
「・・・でも!ドールは可愛いんだぞ!」
背伸びをして、イングラムの顔を覗き込みクォヴレーは必死に訴える。
「・・・落ち着け・・俺は仮装だろうがコスプレだろうが、
お前を軽蔑したりしない・・・普段無表情なお前の表情が見れたからな」
「・・・無表情・・?」
クォヴレーの頬を撫でながら、
「アレの時は表情豊かだが・・・お前は無表情すぎる」
「・・・アレ?・・・!!」
彼が言った「アレ」の意味がわかり、真っ赤になるクォヴレー。
「オレは無表情ではないぞ!今だって感情むき出しだ!」
「・・・そうだな・・今日は感情がよく出ている・・・
ふだんからそうだともっといいのにな・・・」
「・・・イングラムは・・表情のない・・オレは・・嫌いか?」
無表情に戻るクォヴレー・・。
イングラムはまずったな・・・という顔で頬を更に優しく撫でた。
気まずい空気が流れていく・・・。
クォヴレーは無表情に・・・けれども瞳は悲しみと不安に揺れていた。
イングラムは何かを考えているようであった。
そして頬を撫でていた指を唇に持っていくと、
「・・・トリック・オア・トリート」
「・・・・え?」
突然そう言われ、クォヴレーは一瞬固まってしまった。
「トリック・オア・トリート・・・クォヴレー、お菓子をくれないと悪戯するぞ?」
「・・え?・・え??・・・え??」
いきなり話が切り替わり、ましてや彼が「ハロウィンの呪文」を
口にするとは思ってもいなかったので、クォヴレーはワタワタとしてしまう。
困った・・どうしよう・・と、慌てふためくクォヴレーを、
優しく見つめどうでるのかを待つ。
「魔法使い君・・お菓子はないのか?」
「・・・えっと・・その・・・その・・ど、どうしよう???」
肩を竦めながら、やれやれという顔をする。
そして玄関の扉をゆっくりと閉め、クォヴレーを抱き上げた。
「うわぁぁぁ?!」
「魔法使い君?・・・お菓子は?」
「・・・ぅ・・・ない」
「ない?・・・そうか・・ないのか・・・」
「あ・・ごめんなさい」
靴箱の上にクォヴレーを座らせると、
履いているズボンをゆっくりと引き下ろしていった。
「!!イングラム!?」
「・・・お菓子がないのであれば・・悪戯をしていかなければ・・・」
「ちょっ・・だめだ!!」
脱がされていくズボンを両腕で必死に押さえ、それ以上下ろされないようにする。
だが着々とズボンは下ろされ、とうとう膝の辺りまできてしまった。
「イングラム!・・・やっ・・んぅ?」
クォヴレーの口を手のひらで塞ぐと、意地の悪い顔をしながら耳元で囁く。
「シー・・・、騒いではいけない。
・・鍵はかけていないからあんまり叫ぶと、この家に人がいることがわかって、
近所の子供達が集まってくる・・・」
「・・でも・・でも・・」
「お前はお菓子がない、と言った。ならば大人しく悪戯されなければ・・・」
「イング・・・んっ」
「・・・俺に・・表情豊かなお前を・・見せてくれ」
「あっ・・・あっ・・イング!!」
「さぁ・・?悪戯の開始だ・・自分で足を広げるんだ」
「・・・んっ」
ゆっくりと足を開脚し、震える手でイングラムの首に腕をまわそうとした。
だがそれはイングラムによって阻まれてしまう。
「だめだ・・・今度は自分で下着を下ろすんだ」
「・・・ぁぅ・・」
ブンブン・・と頭を左右に振る。
するとイングラムは再び耳元で囁いた。
「・・・クォヴレー?お菓子はあるのか?」
「・・ぅ・・・ない」
観念し、目を閉じるとクォヴレーはゆっくりと履いていた下着を下ろしていった。
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