〜overflows in love〜
身体中が痛い・・・
オレはどうしたというのだろうか・・・・?
『・・・・・・』
誰かいる・・・?
『・・・・・・』
ダレダ・・・・?
『・・・・・・』
何故答えない?お前は誰だ?
『・・・目を開ければわかることだろう?』
だるいんだ・・・
目を覚ましたくない・・・
『・・・・・・このまま消えるというのか?』
それもいいかもしれない・・・
誰も『オレ』など望んでいないしな・・・
『・・・・それで?』
それで?・・・
それだけだ・・・
身体中痛いし・・・オレはこのまま消えるのかもしれない。
『逃げるのだな?すべての【つらい】から逃げ出し・・楽な道を選ぶ・・
お前は俺にその体を明け渡すのだな・・・?』
!!?お前・・・イングラム・プリスケンか!?
『・・・ご名答。やっと目を開けたか・・クォヴレー・ゴードン』
・・・・イングラム・・?
ということはここは精神世界・・・?
オレはいつの間にか寝てしまったのか・・・?
そんな筈はない・・・戦闘中のはずだ。
『そう、戦闘中だ。目を覚まさなくていいのか?クォヴレー』
・・・・だるい。
身体中痛い・・・無理だ。
『目を覚ませ、クォヴレー・・仲間がお前を待っている』
・・・・誰も『オレ』など待っていない。
『オレ』が死んでも悲しまない・・・
『オレ』が死んでも・・・『お前』がいる。
『フ・・フフフフ!!』
!!何が可笑しい!?
『・・・拗ねているのか?子供だな』
拗ねてなどいない!
どうしてオレが拗ねなければならない!!
『今日は10月6日・・・』
・・・・っ!?
『・・・アラド・・だったか?』
・・・何がだ?
『お前の友達・・というか一番の仲間?あの子はアラドだったか?』
・・・あぁ・・アラドとゼオラだ。
『先月、アラドの誕生日だった・・・お前達は仲間内ながらあの子を祝った』
・・・だから?
『そして今日は10月6日・・・』
・・・何が言いたい?
『登録上のお前の誕生日・・・』
・・・・・うるさい!!
『・・・だが』
うるさいと言っているだろう!?
『誰も、お前の誕生日など覚えていなかった・・・』
うるさい!!うるさい!!
『・・・お前はそれが悲しくて、悔しくて・・苦しくなった』
黙れ!!
『そして警報・・・だがモヤモヤしているお前は戦闘に集中できなかった・・』
・・・・っ!!
『お前は雑魚に落とされて、この精神世界に逃げ込んできた・・【苦しい】から逃れるために・・』
出て来い!イングラム!?
いつもいつも、声だけだなんて・・・卑怯だぞ!!
『・・・フフフ・・卑怯?・・・俺が卑怯ならお前は臆病者だな』
臆病者だと!?
『そうだろう?・・・お前はアラドが祝ってもらえたのに自分は祝ってもらえなかった・・
それが悲しい・・・なぜ誰も自分の誕生日について触れてくれなかったのか・・
触れてくれなくて悔しい・・そして、理由を聞くことの出来ない臆病な自分が・・・』
うるさい!!うるさい!!黙れ!!
『・・・・・』
・・・オレは『人間』じゃない。
だから皆『人間』ではないオレの誕生日など祝いたくもないんだ!
それがわかっているから・・オレは別に・・・理由など聞かなかった!
オレは臆病なのではなくわかっていることだから聞かなかったんだ!!
『ははははっ!・・・見苦しいいい訳だな・・・本当は怖かったんだろ?』
・・・・言い訳ではない。
『誰も自分の誕生日を覚えていなかったのが悲しかったんだろ?
確かめるのが、怖かったんだろ?・・』
・・・・っ
『・・・クォヴレー?』
・・・・だ。
『・・・?』
その通りだ。
オレは、悲しかった・・・悔しかった・・・
別に誕生日を祝って欲しいわけではない。
『・・・・・』
ただ・・アラドやゼオラがオレに一言でも”おめでとう”を言ってくれたら・・
『・・・言ってくれたら?』
彼らの本当の『仲間』に・・・
『人間』の一員として認められ・・うっ・・
『・・・クォヴレー』
・・・本当に人間になれるような気がしたんだ・・
でも、違っていた・・
オレは・・調整層から生まれたオレは所詮『彼ら』の仲間にはなれなかったんだ・・・。
オレは・・・オレは・・・その事実を認めるのが怖かった・・うぅ・・・。
『・・・・・』
オレは・・人間になりたかっ・・・え?
『お前は人間だ、クォヴレー』
・・・イ、イングラム・プリスケン??
『・・・あぁ』
本当に、本当か?
お前がイングラム少佐??
『・・そうだ、少佐はいならい・・イングラムでいい』
・・・イングラム・・・
『なんだ?』
なぜ、今回は姿を現したんだ?
いつも声だけだったのに・・・
『今回は必要だと判断した』
・・・・必要?
『・・・俺のミスだ。』
・・・・ミス??
『・・・お前はまだ生まれたばかりの赤ん坊と同じような存在なのに・・
赤ん坊は母親の愛を求めるものだということを忘れていた』
・・・・・・?
『・・・愛に臆病になってはいけない』
・・・・・愛?
『男女間のものだけが愛ではないぞ?戦友・・家族・・全てに愛は生まれる』
・・・オレには縁の遠いモノだ。
『・・・そうかな?』
そうだ!
『そう思っているのなら、今をもってその考えは悔い改めることだ・・失礼に値するからな』
・・・誰に対してだ??
『仲間に対して、だ』
・・・彼らはオレを仲間として認めていないのだから悔い改める必要はない。
『・・・では、俺に対して失礼に値する』
!?・・・お前、ゲイか??
『ぶっ!・・・なぜそうなる??』
・・・悪いがオレはゲイではないからお前のその愛には応えられない・・・
『甚だしく誤解しているようだから俺からも言わせて貰うが・・俺もゲイではない』
・・・だがオレを愛しているんだろう??
『お前は俺の家族だからな・・・家族愛だ』
家族・・・?
『ヴィレッタが言っていなかったか?俺とヴィレッタは家族だ、と』
・・・言っていた・・・気もする。
『ならばお前も俺の家族・・』
・・・よくわからない・・なぜ俺もお前の家族になるんだ??
『お前だけではなく、キャリコも・・スペクトラも・・他のバルシェムも皆家族だ』
・・・え??
『今は、ある力によって皆バラバラになってしまっているが、
俺は彼らの『楔』も外してやりたいんだ・・お前のように・・自由にしてやりたい』
・・・楔・・バルシェムの・・楔・・・
ますますお前の言うことは意味不明だ・・ん?
!?何を!!?
『言っただろう?今回は必要と判断したから姿を現したと・・』
それと、これと!何が関係あるというんだ!?
『今のお前に必要なのは抱きしめてくれる腕・・家族だ・・
だから俺はお前にそれを提供したまで』
やめろ!離せ!!恥ずかしい!!
『誰も見ていない・・たくさん【淋しい】を我慢したんだ。
たまには素直に甘えてみてはどうだ?』
・・・・・っ
『精神体の俺にはモノをプレゼントすることは出来ないが・・クォヴレー』
・・・??なんだ??
『誕生日おめでとう』
!!!・・・あ、あり・・が、と、う。
『お前、肩車をしてもらったことあるか?』
・・・肩車??
『ないようだな?では俺からは【肩車】をプレゼントしよう』
え?・・・
あ!・・わぁぁぁぁ!!
『これが肩車・・・どんな気分だ?』
・・・は、恥ずかしいけど・・
『けど?』
なんだか・・心が温かくなった・・うれしい・・。
初めて貰ったプレゼントだ・・本当にうれしい。
『それは良かった・・では、しばらくこうしていようか?』
・・・重いだろ?
『別に平気だ』
2つに分けました・・・。
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