*ちょっとパラレル*
〜Feelings5〜
『賃貸情報』
何かはオレが今朝、学校へ行く前に見ていたチラシだ。
ご丁寧に一番安い家賃のコーポに赤丸をつけている。
そう、オレはこの家から、彼から離れようとしていた。
言葉も交わさないオレ達が一緒に暮らしている理由がないし、
彼もそのほうが楽だと思ったからだ。
だが彼が激昂し、帰ってきたオレをそのまま押し倒して犯してきた理由がコレなのは、
どういった意味があるというんだ?
彼は相変らずオレを揺さぶってきている。
けどあらためて彼を見てみれば彼は何かと必死に戦っているようにも見えた。
「・・イ・・ングラ・・ム・・?」
彼の名前を口にする。
おそらく初めてだ。
『今日』という意味ではなく、『これまで』で初めてだと思う。
・・彼の名前を口にしたのは。
・・・彼、イングラムもそれに気がついたのか目を見開き、
けれど直ぐに眉を寄せて口付けてきた。
激しいものではなく軽く触れるような優しい・・・キス。
何度も唇を啄ばまれ、腰を揺すってくる。
なんだかそれがとても悲しいことに思えて、
オレは思わず縛られて感覚がなくなってきている手を伸ばし、
イングラムの頬を包み込んだ。
そして自分で口を近づけそっとキスをした。
息を呑むイングラム。
オレが舌を差し出せばビクッと身体が揺れたが、
直ぐに応え始めてくれた。
絡み合う舌と舌。
キスの気持ちよさに相変らず続いている抽挿に体中が溶けてしまいそうだ。
けれどキスの合間に囁かれた言葉に身体は更に解けてしまった。
『好きだ』
と、イングラムは確かにそう言った。
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