**有楽町×東上←副都心→西武池袋の設定でどうぞ**
この設定です。




人生とは何が起きるのか分からないもので・・・。
だからこそ生きることは楽しいのだが・・・・。





「いいか?絶対に他人様には迷惑をかけるなよ?」

そういうのは金髪で耳にピアスをした青年。

「ヤだなぁ〜・・、そんなに何回も言わなくてもわかってますよぉ」

と、そう答えるのはこれまた金髪の、けれどちょっと髪の長い青年。
この二人を知っている人物が今の会話を聞いていたら、
ほぼ100%の人が頭を傾げたことだろう。
そう普段なら、髪の短い青年が敬語を使用しているからだ。

「ああ〜・・、俺は心配だ・・・。いいか?絶対に絶対に迷惑はかけるなよ?」
「はーい!わかってます!それから先輩!『僕』は『俺』とは言いませんよ?」
「!!・・・・そうだったな・・・、俺・・いや、僕も気をつける。
 と・に・か・く!なんで俺たちの身体が入れ替わっているのかはわかんないけど!
 仕事も始まるしそれは今夜ゆっくり考えるぞ!」
「了解です〜・・・、あ、『有楽町』は敬語じゃないですよね☆」


そう、なんの悲劇か・・・。
今朝、有楽町と副都心は目が覚めたときフとした違和感に気がついたのだ。
有楽町が朝、目を覚ましたときにいた部屋はなぜか自分の部屋ではなかった。
おや?と首を傾げつつ、そこら辺にあった鏡をのぞいて見たら、
この異常な事体に気がついたのだ。
取り急ぎ自分の部屋に急げば、同じく唖然としている有楽町(副都心)が居た。

二人はなんと身体が入れ替わっていたのだ。
けれど理由が分からない。
時間は刻一刻と過ぎ、業務の時間が迫ってきている。
取り合えずしごとはしなければ・・・、と冒頭に至るのである。


はてさてどうなることやら・・・・。







〜YとFの入れ替わり事件簿1〜





有楽町(副都心)は朝の通勤ラッシュを追え、
(有楽町線は大変だなぁ・・とグッタリしつつ)一息つこうと、
池袋にある休憩所のドアをくぐった。
するとそこには東武鉄道の東上線がいるのだった。
この東上線と有楽町線は恋仲で、副都心はよく二人の恋路を邪魔しに来るのだが、
ここでハハーンと思い当たった。


「(なるほど・・・いつもこうして逢引しているわけですか・・)」

その証拠に東上はすでに有楽町の分のお茶も用意している。
有楽町(副都心)はふぅん・・と鼻を鳴らしながら、
さて・・・、となにやら考え始めた。

副都心は先輩である有楽町が好きだった、もちろんそういう意味で。
けれど東上のことも同じように好きで、
西武池袋のことも好きだった・・・・。
長らく新線として走ってきた彼は、
自分と特に係わり合いの深いその3路線を同じくらい好きなのだ。 
有楽町にも、東上にも、西武池袋にもいろいろちょっかいを出しているが、
いつもいつも失敗してしまう。
だが今、副都心は有楽町だった。
つまり有楽町といい仲である東上に手を出しやすい状況なのである。

「(これは手を出さずにいたら、なんとやら、ですよねぇ・・・)」

クスッと心の中で笑うと、
有楽町(副都心)が何も言わないことに不信感を覚えたのか、
いつの間にか目の前に来ていた東上に話しかけられる。

「有楽町・・・?どうした?具合でもわるいのか?」
「・・・え?」
「いや・・・だってずっと黙ってるし・・・」

具合悪いのか?と、東上の手が有楽町(副都心)のおでこに伸びてくる。
少しだけ荒れた彼の手が有楽町(副都心)のおでこに触れ、
熱を計るしぐさに、有楽町(副都心)はコレ幸いとその手首を掴んだ。

「(・・・あれ?)」

触れた東上の手首はいつもと違った。
いつもより東上の手首が太く感じるのだ。
そして有楽町(副都心)はあることに気がつく。

「(・・・ああ、先輩の手は僕より小さいんだ)」

なるほど、なるほど、と一人納得をしていると、

「(その先輩の手で掴んでも小さい東上さんの手って・・・、
 まぁ、腕には筋肉とかついているから男らしいんですけどね・・・)」

などと考えながら、有楽町がするようにゆっくりと腕を引き寄せて東上を抱きしめた。

「・・・!!ぅ・・・わ・・・ゆ、ゆうらくちょう・・?」
「・・・東上さ・・・、ごほんっ、
 ・・東上・・・僕・・・、じゃなくて・・俺・・」
「・・・ゆうらく・・・、っ・・、ん・・・」

ゆっくり顔を引き寄せ、これまた有楽町のするように優しく唇を塞いだ。
唇に数回、慣れた頃に唇をペロリと一舐め、
そして東上の鼻に掛かった声が聞こえてきた時点で
より深く唇を重ねようとした時だった・・・。


「ふくと・・・じゃない!!せんぱーーーい!!」

休憩所のドアが壊れんばかりの勢いで開かれ、
そこには息を切らした副都心(有楽町)が立っていた。
ニッコリ笑っているが、怒りのオーラを身体全体に滲ませている。

「せんぱーい!探しましたよ!
 今日はこれから会議があるって忘れてたんですかぁ??」
「・・・・え?」

副都心(有楽町)はツカツカと休憩所に入ってきたかと思うと、
勢い良く有楽町(副都心)と東上を引き離す。
東上も東上でキスシーンを見られて恥ずかしかったのか、
いつもの気の強さはどこへやら・・・・、
つなぎの袖で唇を拭いながら、顔を真っ赤にしている。

「(あ、可愛い・・・って、そうじゃないだろ俺!)
 先輩!ほら、早く行きますよーーーー」
「え、えぇ?会議なんてありましたっけ・・じゃない、あったっけ??」

副都心(有楽町)に背中を押されながら休憩所の外に連れ出される有楽町(副都心)。
副都心(有楽町)はニコニコしながら、

「さっき銀座から、じゃない、銀座さんから連絡があったんですよ〜」
「えーー?」
「・・それでは東上、ん?違うな・・、えっと・・、東上さん!
 俺たち・・じゃねぇ!僕達はこの辺で!」

副都心(有楽町)は挨拶もそこそこに嵐のように有楽町(副都心)を連れ去ってしまう。
残された東上は返事を返す間もなく、
どことなく様子のおかしい二人をポカーンとしたまま見送ってしまうのだった。




人気の少ない場所に行くと、頭をたたくいい音が響いた。

「・・・いったいなぁ・・・もぉ・・・」
「痛いなぁ!じゃ、ねーよ!!あれほど迷惑はかけるなと・・・」
「えー?僕は迷惑はかけてませんよ?
 休憩所にいったら寂しげな東上さんが居たので、
 『有楽町』として役目を果たしていただけですよぉ」
「なにが役目、だ!」


有楽町であることを良いことに東上に手を出そうとしていたくせに!
と、副都心(有楽町だが)がさけべば、
有楽町(副都心だが)ペロッと舌をだした。
全然反省していない様子に副都心(有楽町)大きなため息を吐く。

「時に先輩・・・」
「んー?」

痛くなってきたコメカミをおさえつつ、副都心(有楽町)は返事をする。

「会議はどこで?」

早く行かないと間に合わないのでは?と小首を傾げる『自分』に、
有楽町(身体は副都心だけど)は鳥肌が立つ。
が、ここは我慢をするしかない。
大きな深呼吸をして、冷静に言い放った。

「んなもん、嘘に決まってるだろ?
 お前が東上に悪戯をしてたから引き離す為の方便だ」
「!・・・嘘?ですか・・・」
「他に思いつかなかったんだよ。
 俺は今はお前で、止められる理由なんてそれくらいだろ?」
「・・・あぁ〜・・・まぁ、そうですかね・・・」

確かにそうなのだがなにか釈然としない。
副都心は(有楽町の身体だけど)むぅ・・・と唇を尖らせ、
『自分』を見上げる。
すると『自分』はなにかおぞましいものでも見たかのように、
嫌そうな顔をするではないか・・・。
そんなもんだから有楽町(副都心)は益々面白くないのだ。
だが何かを思いついたのか、急に顔を明るいものに変える。

「副都心・・?」

おぞましい何かを感じ、副都心(有楽町)は身体をひこうとするが、
一足遅く有楽町(副都心)に捕まってしまう。

「・・・・先輩」
「・・な、なんだよ?」
「先輩は、ヤられるのが嫌だから僕とエッチしたくないんですよね?」
「・・・は?」

なにをトンチンカンなことを言っているのだ、この後輩は(今は自分の姿だが)、
と目を瞬かせていると、有楽町(副都心)がニッコリ笑って言うのだった。

「今なら身体が入れ違ってますよ。
 つまり今の先輩が今の僕をヤれば先輩はヤられてませんよね?」
「は?何言ってんだ??」
「深く考えずに!・・・そういうことですよね?」
「あー・・・、まぁ、そうだけど・・・うん?や、違うだろ!
 俺はヤられてないけど、俺はヤられてんだろ!?
 それ以前に俺はお前とはエッチする気はないの!!」
「えー・・・?往生際がわるいですよぉ・・・」
「往生際って・・・こ、コラ!!」

有楽町(副都心)は副都心(有楽町)の首に腕を伸ばし、
彼の下半身に手を伸ばし、そっと触れた。

「・・・・っ」

副都心(有楽町)の息を呑む気配。

「・・・ふふっ。僕の体ですから、気持のいい場所は心得てますよ」

と、余裕しゃきしゃきに言うが、直ぐにあることに気がついた。

「・・・あれ?」
「・・・・」

そう、いくら刺激しても元気にならないのだ。

「あれ?おかしいなぁ・・・?身体が入れ替わったから不能になっちゃいました?」
「・・・そんなことはないだろ?お前、若いんだし」
「じゃ、どうしてです?」
「それは・・・・」

身体が入れ替わっても、今は有楽町が副都心なのだ。
好きでもない男に触られて反応するはずもない。
それをどうやって説明するか・・・、と考えていたところにその男は現れた。


「貴様ら・・・、このような場所で何をしている?」


振り返ればそこには青いコートをまとった西武池袋が立っていた。

2012/6/3


ありがとうございました。 すみません、続きます(汗) 忘れた頃に続きをUPしますね〜。 私の悪い癖、・・・あきっぽい! 戻る