本人は少女などいう時期は過ぎたと笑うが、自分が少女の歳だったのは遥か古の事。
そんなに歳の離れた少女を囲っているという罪悪感。
それでも自分はこの少女を手放すことを出来ないのだ。
江東の虎としてではなく、孫文台として愛しんでくれる少女が。
千夜夜話
席を立とうとしたの手首を掴む。
折れそうに細い腕。
は不思議そうに微笑む。
「文台様?」
その侭孫堅が立ち上がり、の傍へ近付く。
「文台様? どうなさいました?」
平素活舌の良い孫堅に有るまじき態度に、が心配そうに顔を覗き込む。
「抱く」
一言言うと孫堅はを抱き上げ寝所に向かった。
「ぶ……文台様?」
は少し顔を赤らめながら孫堅を見る。
孫堅は何も言わず寝所の床に傾れ込んだ。
「文台様? まだ昼間……」
の言葉が言い終わらないうちに深い接吻を繰り返す。
離れたと思えば、唾液が互いの唇を伝う。
「もう夕方だ……」
孫堅が平素とは違う低い少し擦れた声で囁く。
の着物は乱れ、白い胸元には昨夜の痕がはっきりと残っている。
全て自分のもの。この小さな身体全て自分のもなのだ。
が今よりもまだ幼い頃から自分が囲ったのだ。
罪悪感と隠し切れない満足感が孫堅を襲う。
小柄で華奢な体躯。存外豊かな乳房。骨ばった細い指先に絡む長く美しい髪。全て孫堅の為のものなのだ。
孫堅の無骨な指が、その細い体躯をなぞる。
「んっ…」
は、くすぐったいのか身体をくねらせる。
「感じやすいな。」
からかう様に孫堅が首筋を舐める。
「はっ…どなたの所為で御座いますか?」
執拗に攻め立てる孫堅の肩に爪を喰い込ませながら、其れでも艶然とした表情では微笑む。
「余裕だな。」
孫堅は愛しそうに眼を細めると、その舌でまたも執拗に攻め立てる。
「あ……っ……はっ……文台……っ様!」
知り尽くした身体。それでも未だ抱き足りぬ身体。
良い箇所を攻めてやれば、体液が舌に絡む。
唾液と混ざり猥雑な音を響かせる。
肩に爪を食い込ませていた指は、撫でる様に孫堅の髪に絡みつくだけ。
「良いか?」
孫堅は指をナカに入れて動かしながら、の表情を直視する。
「見ては嫌です」
細い腕が弱々しく顔を覆う。
何度抱いてもなれぬのか、恍惚の表情を見られる事を嫌がる。
しかし其れがまた劣情を煽るのだ。
孫堅は指を動かした侭の耳元で囁く。
「今のの顔は淫靡だ。だがしかし其れが良い」
は顔を赤く染め上げ俯く。
其の先には膨張しきった孫堅の性器が有った。
「文台様」
「ん?」
「文台様も乱してさし上げます」
そう言うとの小さな手が孫堅の性器を掴み、上下に扱き始める。
「……戯れは……」
の手によって扱かれた性器は、体液をうっすらと零しながら脈打つ。
僅かに息の上がり始めた孫堅を見て、は満足げな顔をする。
それを見て孫堅も思わず微笑む。
純情そうに乱れた顔をして、淫靡に微笑み、子供の様に快楽を貪る恋人。
十重二十重に乱れる姿を隠し持ち、飽きさせる事無く溺れさせる愛しい女。
のナカの指が一本では足りぬ程充分に潤った頃、孫堅の性器も充分に体液を零しの手を穢す。
「ナカに……」
孫堅が擦れた声でに言えば、の腕は孫堅の背に廻される。
の身体が孫堅を飲み込む。
待ち侘びたのはどちらなのか解らぬ程、切羽詰った空気。
孫堅の腕がの身体を抱き込み、激しく腰を打ち付ける。
其の度体液の絡む音が聞こえ、其の度の鳴き声がする。
「ん……っ……はっ……!」
背に廻された手は、また深く食い込み始める。
爪が食い込んでいる事に互いに気がつかぬほど、貪る様に激しく求め合う。
のナカが痙攣の様相を呈せば、孫堅とて限界が近付き、額に汗する。
「……もうイク……!」
は頷きながら、孫堅の身体にしがみ付く。
受け入れられた開放に向けて、孫堅が一段と激しく打ち付ける。
「はっ……あ……文台様っ!」
その激しさに壊れそうな快感を感じて、は孫堅にしがみ付く。
「はっ…ん…!」
孫堅の動きが止まると、ナカに注ぎ込まれた精液と性器の収縮を感じる。
は、この瞬間が一番愛しいとさえ思う。
ゆっくりと孫堅の性器が抜かれ、精液が身体を伝って零れて行く。
がゆっくり起き上がると、孫堅が愛しげに精液を拭ってくれる。
そして優しく着物を羽織らせる。
「大丈夫か?」
必ずかける言葉は、お座なりではなくを労わる。
「大丈夫です。」
は微笑みながら孫堅の額の汗を拭う。
多くは語らず見詰め合うのは、雄弁な身体を持っているから。
こんな行為の後多弁になるのは無粋だから。
孫堅はを抱き寄せると、その髪に口付けた。
は幸せそうに眼を瞑る。
千の夜を彼方と語り合う。
音も無く、夜通し語り合う。
永遠なる千夜夜話を奏で続ける。
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初孫堅夢。孫堅は、ちょっとムサくてが優しそうなので好き。その割りにこの孫堅は黒い……気もする。
全く持って詰まらないおまけが隠してあります。非常に簡単です。