相田game

だめだ、何も話題が思い浮かばない。

少し混んでいる電車の中で窓際に陣取った俺たちは、一緒に乗っているのに黙ったまま時を過ごしていた。
こういうとき、俺の方が年上だし教師だし、何か話題を出さなければいけないのに。

困っていると、突然佐久間の手が俺の服を引っ張った。
手が震えている。
こちらを横目で見てきたその表情は、何かに怯えている風に見えた。

「佐久間?」
俺か問いかけると、口をパクパクさせて、俺の方を見てきた。
一生懸命その口の動きを読み取る。

ち か ん

…痴漢?!
どこのどいつだ、俺の生徒に手を出していやがる輩は。

「…んあっ。」
佐久間の小さな呻き声が、近くにいた俺だけに聞こえるくらいの小さな声で漏れた。
う、うわあ、かわいい声。
さすがに女みたいとまでは言わないけど、それに匹敵するくらい、色っぽ…あ、何を考えているんだ、俺。
俺は佐久間の後ろの辺りを見渡した。

*犯人はあいつか。
*誰かわからない。


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