嫉妬心 P11



笑いかけた孝平が、いつもの悪戯するような口調で恭平に聞いた。
「それは?まさか嫌がってなかっただろうな?」
孝平の腕が伸びて、恭平の頬から涙を拭う。
今度は、ちゃんと止まった。

「…うん。嫌じゃなかった。だって」

ハッキリと伝えて。
しっかり聞いて、話し合って。
今ならできる気がする。

「…俺も父さんが好きだから。」

孝平の目をはっすぐに見ると、僅かな光を受けた彼の目が恭平のことを見返していた。
「では愛してる?」
「……愛してる。」
ふっと孝平は小さく息を漏らして笑ったようだ。
恭平の顔がみるみる真っ赤に染まってゆく。
はっきりとは見えないがたぶんそうだろう。

「ふふ。なんだかほっとしたよ。これでお前の体調を考えたセックスができそうだ。」
「え…。」
いきなり恥ずかしいことを言われて、恭平は焦って口をパクパクさせた。
それを見て孝平が苦笑して、恭平から腕を離して地面に背をついた。

「お前の方が若いのに、私の方が元気らしい。」
「…それは前からだよ、父さん。」
「そうか。だが正直お前がやつれていくのはもう見たくないな…。今日の夕飯を食べてくれて本当によかった。」
「……ごめん。そこまで心配してくれてたなんて…。」
「明日温泉に行く元気はあるか?」
「…うん、行ってくる。」
「ゆっくりしてくるといいよ。私は行けないが、お前の休養にはなる。」
「ありがとう。」

不器用な気の遣い方だから、よくよく考えないと気付かない。
孝平の立場に立って今までのことを考えると、なんだか妙に納得してしまう。
恭平は隣で寝転がって天を見上げている父のことを改めて見つめた。

「…ねえ、父さん。」
「なんだ。」
「帰ったら二人でどこか出かけようよ。父さんがお休みの取れる時でいいから。」

休みを取れと言うと、孝平はいつも困ったような顔をする。
でも今は、少し困らせても許される気がした。
あまり自分から注文をしない恭平に言われて、孝平はしばらく黙った後に口を開いた。
「…お前、私の車だと必ず酔うだろう。だから電車で行ける範囲だ。いいな?」
「うん。」

どこでもいいんだ、父さんと一緒なら。

「恭平。」
「ん?」
「おいで。」
孝平は寝転がったまま恭平の肩に手を掛けた。
引き寄せられるままに孝平の体の横に手をついた恭平は、そのまま唇を奪われた。
今日だけで何度目のキスだろう。
何度しても同じだけ満たされる。
相手の体温を感じられて、寒さも忘れてしまうようだ。

「あ。」
恭平が突然唇を放して孝平を見つめた。
孝平はというと楽しそうに笑って、その腕を二人の体の間に滑り込ませる。
「と、父さん。」
「感じてるだろ、恭平。すぐわかる。」
「ぁ…っ。」
股間の辺りを弄られて、恭平はぎゅっと目を閉じた。
逃げるように腰を引くと、それを許さないように孝平が自分の方へ引き寄せた。
重力も合わさって、恭平は孝平の上に落ちた。

「待って…待って、父さん。」
「我慢できたら、待ってあげる。」
そう言って孝平は恭平のものにズボンの上から手をかけた。
恭平の身体が強張って、唇から熱い息が惜しげもなく漏れる。
「あ、は、ぁあぁ…んっ。」
間接的な刺激にもどかしさすら感じる。
孝平はそれをわかっていながらわざと、ゆっくりと味わうように指を動かした。
恭平が孝平の上で全身を仰け反らせる。

「あ、ふぅ…っ。」
「恭平、いい声だ。暗くてお前の表情がよく見えないのが心残りだな。」
「や、あぁん…っ。ここ、外だよ…っ。」
「こんな時間に誰も起きてないよ。」
「ん、はぁあぁ…。」
恭平の熱っぽい嬌声が孝平の聴覚を限界まで満たす。
孝平の手の中で成長した恭平のものは、早くも出口を探しているように思えた。

「だがさすがに、屋外で最後までやるのは気が引けるな。」
「あ、あぁ…っ。」
孝平は笑って言って、恭平のものから手を放した。
限界まできていた恭平は、肩で呼吸をしながら孝平を見つめた。
潤んだ瞳が、ひどく官能的だ。

「…父さん。やめないで…っ。」
「ふふ。思った通りの反応で嬉しいよ、恭平。立てるか?」
孝平は楽しそうに言って、恭平の腕を掴んだ。
そのまま二人で立ち上がり、孝平は恭平のズボンのベルトに手をかけた。
「あ、こんなとこで…。」
「大丈夫、誰も見てない。一度だけイかせてやろう。」
「んっ。」
「続きは帰ってからだ。いいね。」
孝平の手が慣れた手つきで恭平のズボンを下げた。
その中心にあるものは先程の刺激で既に程よく解されている。
恭平は恥ずかしそうに首を左右に振った。


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