5万ヒット記念小説>桜舞う季節 P13
杉野は保健室の鍵をかけた。
実は、伯父の二宮にはかねてから1時間だけ保健室の使用券をもらっていた。
二宮は今頃職員会議に出ているだろう。
怪我をしたのは予想外の出来事だったから、良平を呼び出そうかどうしようか迷っていたところに本人が向こうから現れた。
ベッドに戻ると、良平がまっすぐと杉野を見上げていた。
「ほんとにいい?」
「…嫌って言ったらやめてもらえれば。」
「それ、寸前で言ったりしないよね?」
「それはわかんねぇ、けど…。」
良平がもごもごと言葉を濁らせて俯いた。
躊躇していたら、やっぱりやめようとか言われそうだ。
杉野は靴を脱いでベッドの上に乗った。
「やるっていったら、俺は最後までやるからな。良平もそのつもりで。」
「…。最後って何?」
良平のポカンとした言葉に、杉野は突然がくりと脱力した。
「すっ、杉野、先輩?!」
慌てた様子でオロオロと良平が声をかけてくる。
こんなウブさんを相手にすることになるなんて、杉野自身でも数日前までは予想だにしていなかったのだから彼も緊張していたが、今の言葉で完全に吹っ切れた。
いつもどおりでいこう。
「よしっ。」
がばりと身を起こして、杉野は良平の顔を覗き込んだ。
両手を合わせて、頭を下げる。
「それでは、お初物、いただきます。」
「は?」
「…えーいっ、もういいから!」
もどかしくなった杉野はどんっと良平を突き飛ばしてベッドの上に倒した。
その上にのしかかって、笑う。
「楽しくなってきた〜。良平って初めてなんだ。」
「うっうん。」
「女とは?」
「…ないっ。」
「男は?」
「あるわけねぇ!」
「嬉しいな〜♪」
杉野の声は楽しそうに踊っている。
「良平、目を閉じて。」
「…えっ?」
「いいから、閉じて。」
杉野の指が良平の目を覆ったので、良平は仕方なく目を閉じた。
それからすぐに、口が塞がれた。
あ、キス…
杉野の舌が遠慮がちに近付いてきたが、さっきより嫌じゃない。
あったかくて、ちょっと気持ちいいかも……
「ん…。」
杉野はうまく良平を誘導して、右から左から、徐々に口を開かせた。
その間に制服の前についたボタンを一つずつ外していく。
前のめりになって膝をつくと、ガーゼの奥の擦り傷が押されて痛んだ。
杉野はそれを隠すためにキスを一度やめて、良平が目を開いたのを見計らってもう一度口付けた。
良平は驚いてまた目を閉じる。
ボタンを4つほど外したところでキスをやめて、顎を伝って体を下降した。
「すっ、すぎ…っ」
良平が混乱を隠せずに杉野の頭に手を伸ばした。
肌の上を杉野の唇と舌が滑っていく感覚が、今まで感じたことのないくらいくすぐったくて、暖かい。
気がついたら息が上がってた。
呼吸がうまくできない。
「はぁ…杉野…っ。」
「黙って、良平。喋っちゃ駄目。」
「…っ。」
徐々に服が脱がされて、杉野の舌が良平の胸の突起に触れた。
「ぁ。」
良平が小さく息を漏らした。
杉野は楽しそうに笑って、そこを執拗に舐め取り始めた。
「……っふ…っ!」
声を上げるのを我慢していた良平の口元から、時折堪えきらなかった小さな声が聞こえた。
杉野はその動作をやめずに、良平のズボンのベルトに手をかけた。
「わ…っ。わわ、杉野せん…っ」
「喋っちゃ駄目だってば。」
「だって。どこ触って…」
「これからが本番でしょー。それとも嫌?怖い?」
「…。」
改めて聞かれると、困った。
嫌ってことはない。…ちょっと、怖い気もするけど…。
「…嫌じゃない。」
「それじゃあ大丈夫。騙されたと思って俺を信用してよ。絶対大丈夫なようにするから。」
「…うん。」
なんだか信じてみようという気になる。
それは先輩だから?それとも……
杉野は良平のズボンのベルトを取り外し、その中に指を滑り込ませた。
「わぁ…っ。」
「大丈夫。良平。キス、しようか。今度は良平が、やってみ。」
「え。」
「さっき俺がやったでしょ。それみたいに。」
「…覚えてないよ、そんなの。」
良平が拗ねたように言い返すと、杉野はそれがかわいらしくてふふっと笑みを零した。
「いい?じゃあ、もう一度やるから。覚えて…」
「ん…」
杉野はそっと良平の唇を塞いで、さっきと同じ要領で良平の口内に舌を滑り込ませた。
覚えろと言われてしまっては覚えるしかなく、良平は何もかも忘れたようにキスに夢中になった。
自分から腕を伸ばして杉野の顔を引き寄せて、深く吸い付いた。
その隙に杉野の指が、ズボンの上を這って行く。
上から良平のものをゆっくりと揉み上げると、良平の体がビクッと痙攣した。
「あ…は…っすぎ…っ」
「キスに集中して。大丈夫。」
「あっん……っ。」
杉野のキスは、激しさと優しさを同時に含んだ甘いもので、良平は恥ずかしさからその首を腕で強く握り締めて、杉野の指の動きに耐えた。
体の奥から、今まで感じたことのないドキドキとした興奮が沸き起こる。