5万ヒット記念小説>桜舞う季節 P14
「はぁ…はぁ…っ。すぎ…っ。」
「なに?」
「俺、変…っやばい…っ。」
良平の切羽詰った喘ぎ声に見向きもせずに、杉野はその唇で良平の肌を滑り降りるのをやめなかった。
手は依然として良平の股間の上を弄っていて、その動きに合わせるように良平の体が時折ベッドの上で跳ねる。
「あっ。もう…やめ…っ!」
「コーフンしてきた?」
「やっ。あ…っ。」
人に触られることがこんなにも、体に熱をこもらせることだとこの時初めて知った。
自分に何が起こっているのか把握するよりも早く、杉野の指が動く。
良平はただ戸惑うしかなくて、恥ずかしさのあまりぎゅっと固く目を閉じた。
「やばい…やばいよ杉野…っ。」
「イきそ?」
「…っ!」
単語にされると、余計に恥ずかしさが増す。
杉野は指先の感覚だけで、良平の状態を本人よりもよく知っているようだった。
「はぁ…はぁ…っ。」
興奮で体が震えて呼吸がまともにできない。
そんな良平が身を捩る姿に、杉野は満足したのかズボンに手をかけて、トランクスごと膝の辺りまで剥ぎ取った。
「ひあっ!」
急に外気に晒されて驚いた良平が、上気した頬を引きつらせて杉野のことを見上げた。
目の前の杉野は楽しそうに余裕の笑みを浮かべている。
自分だけがこんなに余裕がなくなっているなんて、なんだか悔しい。
「そんなに時間ないんだけど…。初めてだって言うから、一度だけサービスしてあげる。」
「え…?」
良平にとってまた意味のわからないことを杉野は言った。
そのまま彼は杉野は良平の足を左右に開いて、その中に蹲る。
良平に妙な予感が走ったのと、杉野が口に含んだのが同時だった。
「あっ、馬鹿っ。ん、あぁぁ……っ!!」
自分でも何を言っているのかわからない悲鳴を上げて、良平が突然与えられた暖かい感触に目を閉じた。
さっきまで唇や胸を這い回っていた舌が、今度はあそこを…?
想像しただけでも信じられなくて、自分の意識が杉野の舌の動きに集中する。
手で揉まれただけでもギリギリだったのに、この事態は良平の理性を吹っ飛ばすのに十分過ぎる刺激だった。
頭の中が掻き乱される。
頭だけじゃない。
身体全部が、おかしくなったみたいだ。
「く、あぁ……っ!!」
良平の搾り出したような短い悲鳴が上がったと同時に、彼の全身がビクンビクンと大きく揺れた。
杉野は落ち着いて、校内に溢れた液体を飲み干す。
初めて自分以外の手で射精してしまった良平は、それをすぐには認識することができなかった。
朦朧とした意識の中で目を開けると、ぼんやりとした背景の中に杉野の姿だけが妙にはっきりとして見えた。
満足そうにニッコリと微笑んで、耳元で囁く。
「ふふ。飲んじゃった。」
「…!馬鹿杉野!言うな!!」
急に現実に引き戻された気がする。
「なかなかの感じっぷりで、俺、感動した。」
「い、いらんこと言うなっ!」
「うん。では次に行こうか。」
「つっ次…て…。」
良平が勢いを止めて口をパクパクと動かした。
怒鳴り声が言葉にならない。
始めの杉野の言葉が今になって耳に聞こえ始めた。
「やるとなったら最後までやるから。」
「次は俺の番な。」
「ばっ、ば…」
「あ、別に俺の舐めろって言ってるわけじゃないから。」
杉野が慌てて訂正した。
良平はそれになんとなく、ほっと安心してしまう。
キスだって初めてだったのに、さすがに急にそこまではできない。
やる勇気が、ない。
「まあ、とりあえずさ、良平は初めてなわけだから。」
「…。」
「ちょっと痛いかも。我慢して。」
「…。ま、待って、痛いって、どのくらい…」
「うーん。まあ、やってみればわかるよ。」
杉野は珍しく言葉を濁し、明るく笑って体操着を脱ぎ始めた。
回答の明言を避けられたことで、良平は不安を募らせた。
つーか…何するんだろ…
「とりあえずね。良平くんには、もう一度、よくなってもらわないと始まらないんだよね。」
「…えっ。」
「もう一回。今度はゆっくりしないから。時間ない。」
楽しそうに言った杉野の言葉は、良平には宣戦布告に聞こえた。
このままこいつに任せていたら、どっかおかしくなってしまうんではないだろうか。