花火 P5
尻を十分に堪能した後、孝平は恭平の体についた泡を綺麗に流し落としてやり、余計に火照った体をタオルで優しく拭いてやった。
先程脱がせた浴衣をしまって、ホテルの新しい浴衣を着せてやり、窓の外が見えるところまで連れて行く。
「ここで待ってなさい。私も汗を流してくるから。」
「と、父さん…。」
「ん?」
恭平が、孝平の袖を引っ張って声をかけた。
頬が紅潮して、唇が揺れている。
「なんか…熱いよ。体が…。」
「のぼせたか?冷たいものでも飲みなさい。」
孝平は恭平を安心させるように手を二度ほど握ってから、その手を離して立ち上がった。
コップに水を入れて渡してやると、恭平はゆっくりとそれを飲んだ。
「もうすぐ花火が始まるから。湖に近いし、きっと大きい花火が見れるよ。」
「うん…。」
恭平が大人しく頷いたのを確認して、孝平は再びバスルームへと向かった。
先程飲ませた薬が効いてくるのはおそらく花火の途中からだろうが、もとより花火が終わるまで我慢するつもりは毛頭無いので丁度良い。
孝平は口元の緩みを抑えることができずに、ともすれば鼻歌すら歌ってしまいそうだった。
柄でもないが。
あの薬は、竹本が知り合いからもらったという催淫剤らしきもの。
軽めのものだから、依存性はないし、与えられたとも気付かないだろう。
ちょっとだけエッチになるだけ…。
事実、少し前に竹本で試してみた。というか、奴は自分でやると言い出したのだが…。
彼には本当に少ししか効かなかったし、少しイく回数が多くなっただけだ。
もちろん孝平は、竹本にも恭平にも本当に危険なことはさせないつもりだ。
孝平が心を浮かせてシャワーを浴びている間に、恭平は、ドクドクと感じる鼓動に、胸を押さえて耐えていた。
初めは孝平の言う通り、のぼせたのかと思った。
風呂場であんなことするなんて…初めてではないけど、すごく久しぶりだったから。
でもなんだか少し違う気がする。
頭がぼうっとするというよりは、どちらかというと、下のほうが…。
そこまで考えて、恭平は首を振った。
もしかして、さっきのでまだ満足できてないっていうの?
…それでも、こんなにドキドキしたりするだそうか。なんだか、股間の、奥のほうがムズムズする…っ
「…はっ…ッ」
恭平が、仕方なく敷かれた布団の上で身を捩った。
少しでも楽になろうと思って、股間を閉める力を緩めた。
足を左右に少しずつ開いていくと、裾から膝が覗いた。
その時、窓の方が一瞬光った。
ビックリして振り向くと、花火の残像が見えた。
少し遅れて、音が鳴る。
ドォン!
近い。
光も音も、すぐ間近で感じられる。
薄暗い部屋に一瞬の光が刺すと、そこに恭平の半裸体が映し出された。
動悸に耐えかねて身を捩る間に、いつのまにか肌蹴た肩に開いた裾。
そして少し遅れて聞こえる空気すら振動させるような大きな音。
平常心を保っていたなら、恭平はこの初めての巨大な花火に感動したであろう。
見入って目を離さなかったはずだ。
それほどに、綺麗だった。
だがその時の恭平にはそれほどの余裕がなかった。
体が疼く。
体の、奥が。
花火の光のあとにやってくる、あの大きな音に合わせて、体の芯が揺らされる。
空気すら振動させる大きな音が、恭平の股間の中の皮膜を、微かに振るわせた。
「…ふぅッ?!」
恭平には原因がよく飲み込めない。
でも、音が鳴るたびに、股間が抉られて体が跳ねる。
触られているようで、触られていない。快感をそそるが、本当のそれには程遠い。
焦らされるような刺激に、恭平は強く瞳を閉じた。
ドォンッ!
「んあぁ…ッ!」
ドン!ドドンッ!
「あ、ふ…うぅあ…ッ」
恭平が身を捩って枕に顔を沈めた。
花火は、観客を喜ばせるために次々と上がってくる。
時には少しずつ。時には何発も連続で。
その絶妙なリズムが、恭平の体を浮かせたり沈ませたりしてやまなかった。
そうとは知らずに、孝平はシャワーを浴びながら次のことを考えている。
花火の音にも気付いていたが、しばらくは恭平に花火の鑑賞をさせてやろうと思って、わざとゆっくりと入っていた。
その間に、その恭平が花火の音に犯されて、どうしようもなく腰を振っているなんて思いもせずに。