笑顔の裏側 P4



「叔父さん…。お久しぶりです。」
恭平は軽く頭を下げた。
孝介が車のドアを閉めて、恭平の方へ歩いてくる。
一瞬逃げたい衝動に駆られるが、踏みとどまって孝介を見据える。

「今から帰るのかい?」
「あ、はい。なんだか熱っぽいので…。」
「それは大変だ。家まで送ろう。」
「いえ大丈夫…」
「いいから。さあ、乗って。」
孝介は恭平の手を取って、助手席へと導いた。
恭平はしょうがなく、車に乗り込んだ。

「父さんに用事があるのではないんですか。」
「いや、まあ今日はよくなった。恭平くんに会えたからね。」
孝介の物言いは、どこか勝ち誇ったようにすら感じる。

十分も運転しないうちに恭平の家の前まで辿り着く。
孝介は慣れた手つきで庭の車庫に車を停め、二人は車からおりた。
「今日は、誰か家にいるの?家族。」
「いえ、誰も…。でも送ってくださってありがとうございました。もう…」
「誰もいないのかい?帰ってくる予定は?」
「り、良平が…」
「いつ?」
「えっと…さあ…。」
ぱっとしない返事。
完全に携帯で良平に連絡するタイミングを失ってしまった。

孝介は孝平に似た、恭平の苦手な独特の笑顔を見せて、玄関へと近付いた。
「ではお茶でも飲ませてくれないか。ゆっくりと話をしよう。」
恭平は足が竦むのを感じた。


孝介は先にリビングに入った。
その後から恭平が、気まずい顔をしてついてくる。
鞄を部屋において、茶を入れるために台所に立った。

「聡平くんがイギリスに行ってるんだってね。いつ帰ってくるの?」
「来月の、二日です。」
「そう。俺も迎えに行こうかなぁ。」
他愛もない会話。
しかし恭平の急須を持つ手は震えていた。

孝介はしばらくぶりに入ったこの家をなつかしそうに見渡している。
恭平は盆に湯飲みをおいて、孝介に近付いた。
それに気付いて孝介がそれを受け取る。
「あちっ。熱いな…。」
「…すいません。朝沸かしたお湯だったんですけど…」
「いや大丈夫だよ。何、緊張してるんだ恭平くん。」

貴方のせいです。

恭平は出かかった言葉を飲み込んで、孝介から目を逸らした。
一刻も早く出て行ってほしい。

そんな恭平の様子を見て、孝介はふふ、と笑った。
湯飲みに口をつけ、音を立てて茶を飲む。
恭平は持っていた盆を台所に戻そうと、踵を返した。

その、瞬間。

腕を取られて引き寄せられた。
盆が、手から滑り落ち、ガランと大きな音をたてた。

「な…」
「恭平くん。しばらく兄さんとセックスしてないでしょ。」
「…え?」
「なんとなくわかる。ちょっと、溜まってるって顔してる。」
「そんなこと!」
「もしかして兄さん、出張でもして家に帰ってきてないんじゃない?」
「…!」
図星だった。
恭平の動きが止まる。

孝介は、片方の腕で恭平を抱き寄せながら、持っていた湯飲みをテーブルに置いた。
「恭平くん。」
耳元で囁くと、恭平の体がびくっと震える。
顔を火照らせて、これから起こることを期待しているかのように見えた。
実際はそんなことはないのに。

「いつ来ても、身体は正直みたい。」
孝介は笑って、恭平の体を壁に向けた。

「あ…!」

恭平は後ろから胸のあたりをまさぐられて、力のない声をあげた。
必死に逃れようともがくが、恭平よりも鍛えられた孝介の腕から抜け出すのは容易ではなかった。
逆に片腕を捕られて引き寄せられ、首元の外れたボタンの隙間から手を差し込まれた。
孝介の熱い指が、恭平の肌の上を滑る。

「あ、やめ、は……ッ。」
恭平の呼吸が無意識に速くなった。
体に緊張が走る。
差し込まれた指が、恭平の左の紅い花に触れた。
「ふ…っあっ。」

恭平が敏感に反応して身を捩る。
その反応を楽しむかのように、孝介は彼の形のいい突起に触れては離れ、離れては触れる動作を繰り返した。
「あ。…あっ、あぁっ!」
その度に揺れる恭平の体。

孝介は胸を触っていないもう一方の手を恭平の腰に回し、後ろから彼のものに触れた。
「……ッ!」
新たな刺激に恭平が反応する。

「かわいいよ恭平くん。こんなに反応してくれてね…。」
孝介は恭平の股間のあたりをまさぐりながら、乳首の刺激を再開した。
両方の性感体を同時に刺激されて、恭平はその微電流に身をくねらせた。

どうにかなってしまいそう…!


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