笑顔の裏側 P7



「恭平くん、もしイっちゃったらどうするの?兄さんに怒られる?」
「…っ!」
恭平の脳裏に孝平の姿が浮かび、全身に熱が籠った。

父さん、父さん…!助けて…っ!

「兄さんはどんな顔するかな…君が言いつけを破って、俺とこんな淫らなことして…。罪悪感に興奮する恭平くん、すごく色っぽいよ。」
「…ふ…。」
「はぁはぁ泣いてる姿、めちゃくちゃ刺激的…。」
「あ、あ…っ!」
「兄さんにも見せてやりたい。」
「ぁぁ………ッ!!」

孝介の言葉に孝平を思い浮かべ、恭平が哀しそうな声をあげる。
孝介はタイミングを見計らって恭平の勃起したものを手の中に収めた。
その位置を中心に、恭平の体に強すぎる快楽の電流がビリビリと流れ、恭平は一瞬イってしまったかのような衝撃を受けた。

「んっは、ぁぁぁぁぁーッッ!!」

全身がプルプルと震える。
孝介はその様子を楽しそうに見つめて、さらに指を順番に動かして恭平を上り詰めさせる。
「うあっ!あはぁっ、はうぅっ!!」
「恭平くん、イきそうだね。」
「あ!い…あぁ、はぁ、はぁ…っ!」
「一度くらい、イっても許されると思うよ…。」
「んっんんっあ!」
「ばれなきゃいい…、俺たちはそうやって、今までも何度も交わってきたじゃないか。ここでも、ホテルでも、車でも……。」
「い、あ、はぁぁ…っ!!」

それ以上言わないで。
父さんを裏切ってきたのは自分がよくわかってる。
こんな汚れた自分を、父さんにだけは知られたくない……!

「ああああああーーーーッッ!!!」

恭平が一際大きな声を上げる。
次の瞬間、恭平は孝介の手の中で、何回分かわからないほどの欲望を放出して、果てた。
同時に締め付けられた後ろで、孝介が予想外の射精を起こす。
この締め付けには孝介自身が驚いた。

恭平は涙と汗と体液で濡れた全身を孝介に預けてぐったりとしている。
肩で呼吸をしながら固く目を閉じていた。

イってはいけない約束だったのに…。
イってしまった。
やっぱりこの人には抗えない……

「…イったね。偉かったよ。」
孝介は恭平の耳元で優しく囁いた。
どんなに優しくされても嬉しくない。
恭平は自分の情けなさと歯痒さに涙が止まらなかった。

「さあ、恭平くんの射精が解禁になったことだし、もっともっと激しいことしような。」
その言葉に抗えるはずもなく。
孝介は恭平をソファに改めて押し倒し、抵抗の少なくなった恭平の足を左右に開かせて再び一つになった。

何度も奥を突かれて、恭平は身体の自由を奪われたかの如く痙攣させられた。
孝介が前立腺を突く度に色っぽい声をあげ、妖艶に腰をくねらせる。
孝介は夢中になって恭平の身体を貪った。

恭平の中に何度も射精し、その倍の回数、恭平をイかせた。
抵抗をやめて快楽に身を任せてしまった恭平は、止どまることを知らぬ孝介の性欲に貪欲に応えた。
来ない助けに想いを馳せて、違う相手に奪われ続けた。
「あ!あうっ!んぁぁ……!」

いつしか日も落ち、辺りが暗くなってきた。
何度目かわからない絶頂を迎えて、恭平が残った力すべてで孝介を締め付けた。
「は、あ、ああぁっ!ああああああ……っっ」
後ろから挿入されて、床に膝をついた状態で腕を後ろに引っ張られ、胸とあそこを突き出した体位で恭平は射精した。
孝介も恭平の中に放出する。
股の内側には溢れた孝介の体液が幾重にも筋になって流れていた。

「はぁ、はぁ…。」
孝介がやっと動きを止めて、押さえていた腕を放した。
恭平が倒れかけて、慌てて腕を床につく。
「ん…んん…っ。」
恭平が余韻に呻いた。

「すごくよかった。恭平くん…。」
孝介は未だうわずった声で、恭平の耳元で囁いた。
ぐったりとした恭平にはどこか遠くで言われているような感じがする。

「暗くなってきたね…良平くんが帰ってきたら大変だ。片付けもあるしね。」
ソファやその横の床には今までの情事の跡が残っている。
孝介は、恭平の中から抜かずに立ち上がった。
股間から引っ張られて立ち上がり、恭平がその刺激に身を捩った。
「あ、あ…やめ…。」
「最後にもう一度だけ。顔を見てイきたいな。」
そう言って、後ろから挿入しているのにも係わらず恭平の顔を自分の方へ向けた。
明らかに不自然な態勢に、恭平が顔を背けて反抗する。
「む、無理…っ。」
「そうかい?それじゃあ前から…」
「ァ…!」

孝介が恭平の中から出、恭平の身体を反転させて右足を持ち上げた。
また、立ったまま…!
恭平がその恐怖に目を瞑り、孝介が彼の首筋に唇をあてがった瞬間だった。


ピリリリリリリリ


聞きなれた電子音が室内に鳴り響いた。
孝介はどこかの部屋で目覚まし時計でも鳴っているのかと思ったが、それは電話の受話器の子機の着信音だった。


++
++
+表紙+