挑戦 P12



孝平の指は、恭平の中にいつもよりゆっくりと侵入してきた。
内壁を探るように指を一回転させて、第一関節までしか入っていない時に抜き差しを繰り返した。
その焦らすような、それでいて興奮させるような動きに、恭平は声を殺した。
涙が溢れてきたので、片方の手の甲で目の辺りを押さえた。

「……ッ、あ……ッ。」

恭平が声を漏らしたのを確認すると、孝平は再び指を奥にまで入れ込み始めた。
「あ…くぅ…っ!」
恭平の身体が大きく仰け反る。
反射的に逃げようとする身体を押さえるために、孝平は持っていた恭平の足首を恭平の身体に近づけた。
恭平の秘部が天井を向き、途端に身動きができなくなる。
恭平は無理な体勢の痛みと、見られている羞恥で顔を歪めた。

「い、痛い…っ。痛いよ父さん。」
「どこが?ココが?」
恭平の言わんとすることをわかっているにもかかわらず、わざととぼけた振りをして、孝平は挿入した指の指先を少し折った。
「あっ!」
恭平が腰を震わせて、目を閉じた。
汗と涙に塗れた頬が赤みを帯びて、孝平を魅了した。

孝平は満足そうに笑って、指を入れたまま恭平に体を近づけた。
恭平がそれに気づいて目を開けると、孝平はその唇に自分のそれを重ねた。
頭の上にあった手を孝平の首に回して恭平が応える。
股間に指を入れるのは嫌いでも、キスは好きらしい。
孝平は恭平が舌を絡めるのに夢中になっているのを確認してから、指の二本目の挿入を試みた。
穴の広がる感覚に、恭平がびくりと痙攣する。

「あ、やだ、いや…無理っ。んぁ…ッ」
「一本だと奥まで調べにくいからな。」
「うそ…そんな!あ…やぁ…ッ!」
恭平の身体が仰け反る。
首に回した手に力がこもり、その痛みに孝平はわずかに眉を寄せた。

孝平の長い指が、飲み込まれるように奥へと入ってゆく。
恭平の自由な左足が宙をかいて痙攣した。
「ふ…っんんん……ッ!」

二本目の指が一本目と同じ位置まで入ったときに、孝平はもう一度恭平の唇を奪った。
呼吸の上がっていた恭平は嫌がったが、舌でうまく誘導し、何度も重ね直すと次第に夢中になって応えるようになる。
孝平は唇を吸ったまま、二本の指を恭平の中の最奥までねじ込んだ。

「んぅッ!!」

痙攣する恭平の身体を押さえつけ、キスを続ける。
ねじ込んだ指を二本バラバラに動かして奥を探ると、恭平の脳内で理性というものが吹っ飛んだ。
しかし悲鳴は孝平の口内に消え、全身の痙攣は押さえつけられているので満足にできない。
恭平はいつもより奥に触れられているような気がした。

何度も奥を突かれると、前のものが自然に熱を帯びてきた。
それにも構わず、孝平は指を何度も抜き差しし、その穴からは汗とは違うぬめりをもった液が溢れ始めた。
「ぁはぁん…ッ!」
ずれた唇からもれた熱い吐息。
恭平の身体が大きく痙攣したので、孝平は唇を離した。
開放された唇が、酸素を求めて荒い呼吸を繰り返す。

「あっ!あぁ…ッ!」
「恭平、中が濡れてる。どうした?」
「ち、ちが…ッ」
「違うとでも言うのかい。では、何が何と違うのか言ってみなさい。」
「あぁん…ッ!や…くふぅ……ッ!」
奥の前立腺を掠めるように撫でてくる指の動きのせいで、恭平の思考回路はないに等しかった。
孝平はその光景を嬉しそうに眺めながら、恭平を絶頂へと導く。

恭平の口から聞かなくても、身体は事実を物語っている。
昨晩は本当に何もなかったのであろう。
だが予想外なほどに恭平が羞恥と罪悪感で興奮しているようなので、それを煽ってやらないわけにはいかなかった。

「恭平。この中びしょびしょだよ。なぜだろうね。」
「や、い…言わないでッ!」
「昨晩からにしては、新しい気がするんだけど。」
「ちが…ッ。父さん…ッ!」
「じゃ、今ってことかな。よっぽど興奮してるらしい。」
「あああぁぁー…ッ!」

孝平の指と言葉に攻められて、恭平はびくびくと腰を痙攣させた。
喉を仰け反らせると、天井が逆さまになって見える。
そう思った瞬間に、孝平の指が前立腺に触れ、恭平は全身を震わせて目を閉じた。

体中の神経がすべて股間に集中したような感覚。
快感という微電流が体内を駆け巡る。

「あああぁぁぁぁあぁ……ッ!!」
一際大きな嬌声を上げて、恭平の身体が硬直した。
それでもなお孝平の指の動きは休まらず、恭平は呼吸も満足にできないほど声を上げ続けなければならなかった。
肌の上を幾重にも汗が流れ、それが蛍光灯の光を浴びて淫らに光っている。
触れてもいない乳首はツンと立って上を向き、赤く熟れた様子が見て取れた。
「んっ…ああ、はあぁ…っ!はぁッ。あぁッ!」

前立腺を続けて二、三回押し上げると、恭平は一気に絶頂へと登りつめた。
「んああぁぁーーー……ッ!!」
腰を小刻みに震わせて、意識が途切れるかと思うくらい頭の中が真っ白になった。

イく……ッ!!

それを察した孝平は、もう一押しすれば簡単に射精するという一歩手前で、恭平の中から指を引き抜いた。
足りない刺激に恭平が身をよじる。
射精できない苦しみに目を潤ませて、恭平が孝平を見上げた。
「な…なん…ッ。」
「恭平ばかり気持ちいいのでは不公平だからね。」
「あ、はぁ…ッ。お、ねが…ッ。」
「これはお仕置きだって言わなかったかな。今回は、恭平の”お願い”は使用禁止。」
「はぁ…ッ!!」

孝平が、挿入していた指をペロリと舌で舐めて、恭平を見た。
その指を恭平の太ももの裏に這わせる。
ゆっくりと股間に近づいていくと、恭平の腰がビクビクと震えた。
しかし、達するためには足りなすぎる刺激。

恭平が切なそうにくふんと鼻を鳴らした。
「と、父さ…ッ」
焦らされて、恭平が泣き声を上げそうになった、その時だ。

社長室の扉の向こうに、誰かが近づいてくる気配がした。


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+表紙+