仕事と関係 P3



家に辿り着いた孝平は、風呂と夕飯もそこそこに、恭平を部屋に連れ込んで口付けた。
恭平の身体を壁に押し付けて、痛いくらいに激しく求めた。

明美は結局帰宅せず、良平と聡平は二階で寝る支度をしていたのでもう邪魔が入ることはないだろう。
そうわかってからすぐの、孝平の行動だった。

この日の恭平にとっては願ってもないことだったが、やはり父がいつもと違うことくらいには気付く。
「んっ…と…父さん?どうしたの、何かあった?」
「…いいから。恭平。」
「あ。…はぁ…っ。」
恭平の疑問を掻き消すように、孝平が恭平の見えている肌という肌に順番に唇を押し付けて紅い花びらを咲かせていく。
恭平はその一回一回の唇の動きを追い求めるように身体をくねらせて、されるがままに孝平に身を委ねた。

孝平は慣れた手つきでシャツのボタンを外し、その中に手を差し入れてそれを剥いだ。
現れた白くて柔らかそうな肩にも順番に舌を這わせ、後ろから抱きしめて手を胸へと忍ばせた。
「んぁ…ッ!」
口付けずとも紅く咲いた胸の突起に手をかけると、恭平の身体がピクンと跳ねた。
一瞬の出来事に軽く喉を反らせる。

「あ…はぁ…。はぁ…っ。」

指を突起の形に合わせて巧く動かすと、恭平の呼吸が上がっていく。
肘の辺りにシャツを引っ掛けたまま壁に手をついて、湧き上がる興奮に耐えながら眉を寄せた。
弄られている胸を指から逃げるように反らせ、背中に孝平のキスを感じて腰を突き出した。
その動きが孝平の官能を刺激し、そのまま孝平は乱暴に恭平からシャツを取り去った。
「ああっ!」
恭平が驚いて少しだけ抵抗するように孝平を拒んだ。
それに腹を立てたように、思い切り首筋に噛み付いて、恭平の身体をベッドに押し倒した。

「はふ…っ。父さん…っ。なに…どうしたの…あ、あぁ…ッ!」
「抱いてあげるよ、恭平。お前の望んだことだ。」
「ん…んぅ……ッ!!」

孝平はもう一度乱暴に口付けて、恭平の両手をそれぞれの手で押さえつけた。
またがるようにして恭平を下敷きにし、何度も角度を変えて恭平を貪る。
初めは驚いて何もできなかった恭平が、次第に慣れて孝平の舌の動きに応えるようになった。
目を閉じて、全てをそこに集中した。

入りきらずに溢れた一筋の唾液が、恭平の柔らかい肌の上を伝ってベッドに落ちた。
「…はっ。」
交わした隙間から、時折恭平の甘い吐息が漏れた。
どうしたのだろう。
いつもより、キスが、長い……

「んん…んぅっ…!」
恭平の息が限界へきても、孝平はしばらく恭平の唇を離さなかった。
次第に本気で嫌がるようになるが、腹の辺りに跨って乗られ、両手を押さえられているので逃げられない。

恭平は、次第に怖くなって目から涙を零し始めた。
「んゃ…あ…っ。や…っ!!」
左右に逃げても、孝平が追ってくる。
恭平はどうしようもできなくて、ひたすら孝平が気の済むまで待つしかなかった。

「…っ。」
恭平の抵抗が止み、大人しくなったところで、孝平はやっと唇を解放した。
「はぁっ。はあ…っ。」
恭平は失った酸素を求めて大きく喘ぎ、孝平ですら少しだけ呼吸を上げて、唇に残った唾液を手の甲で拭き取った。
全てを支配しているかのような様子で、孝平が恭平を見下ろす。

「…怖いか。」
孝平が恭平の涙を見て、そっと指でそれを拭った。
酸欠で顔を赤らめて、恭平が、閉じていた目を開いた。
目の前に飛び込んでくる、父の顔。

「…怖くない。」
「どうかな。」
「…怖くないよ。父さんだから。俺は…父さんに抱いてほしいんだ。」
「生半可な覚悟じゃないだろうな?」
「…うん。」

そう言って孝平を見つめるその瞳は、若さと一途さが全てを占めていた。
全てをこちらに任せてくるような。…孝平の嫌いな瞳ではなかった。

表情を変えない孝平に見つめられて、気まずくなったのか恭平は、急に恥ずかしそうに目線をそらした。
「あ、でも、父さんが…その…い、忙しくない時でいいから。別に、今すぐそうして欲しいってわけじゃ…」

慌てて言う恭平に完全に心の主導権を奪われた孝平は、目を閉じてふっと自嘲した。
そうだった。
この最愛の我が長男は、いつもこちらに迷惑をかけないようめったに我侭は言ってこない。

「…恭平。」
「は、はい。」
「もう一度言う。抱いてやる。その代わり、」
「…。」
「イイ声で鳴きなさい。今までで、一番イイ声で。」
「…っ。」
恭平の頬がみるみるうちに上気した。
それを見て孝平は満足そうに笑い、自らのYシャツに手をかけた。

「お前の声が聞きたい。そのためなら、なんでもやってやろう。」
孝平は、ばっと服を脱ぎ捨てて、恭平の上へと覆いかぶさった。


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