仕事と関係 P6



孝平が指を捻じ込んだ衝撃で、恭平は息を止めた。

「私たちとのやり取りも聞いていた。」
「…くぅ…ッ!!」
指が奥まで侵入し、クリクリと内壁を擦り掻いた。
入口の傷の痛みよりも、そちらの刺激の方が脳内を支配する。
「竹本も、お前のことは知らなかった。だから驚いていたよ。」
「…っ。お、俺は…っ。」
「?」
「知ってると、思ってたよ…っ。俺、竹本さんに、言われた…っくはぁ…っ。」
「何を?」
聞きながら、孝平の指は2本に増やされた。
傷が痛いやら興奮するやらで、恭平は喉を大きく反らせて酸素を求めて荒い呼吸を繰り返す。
「あ、あ、あぁ…っ!」
「何を、言われたって、恭平。」
「あ、とめ…いや…っイく……っ」
「言って。」
「ああっ!!」

孝平は奥を何度も刺激して恭平を再び絶頂へと登らせる。
しかし射精起こさないようにうまく調節してやると、恭平は苦しそうに呼吸を止めてその興奮に耐えた。
全身が大きく痙攣し、波が去った後もなかなか止まらない。

「あ、あぁ…っ。」
「言いなさい、恭平。竹本になんて言われた?」
「…っ。俺に、ついた、キスマークが気になるって。誰につけてもら…っひあぁ…!」
やっと思考回路が繋がったかと思うと、股間から衝撃的な刺激が与えられてその回路が離散する。
頭がぐちゃぐちゃにかき乱されて気が変になりそうだ。

「俺がよく…社長室行くから…っもう、知られてると…っ。」
「ふむ。…そうかもな、あいつは頭がいいからな。」
「んっ。ぅはぁ…っ、父さんっ!もう…っ!」
恭平の身体が再び大きく震えた。
先ほど射精させなかったため上り詰めるのが更に速くなった。

孝平は恭平の回答に満足すると、恭平の絡ませた腕を解き、下半身の辺りに座り込んだ。
「たくさん出しなさい。声は、止めるなよ。」
その台詞になぜだかぞくぞくした。

孝平が恭平の膨張したものを口に含む。
その暖かい感触に、恭平は大きく胸を反らせて反応した。
股間を弄っている指が大きく奥を掻き、孝平の口内で舌があれの背面を撫でた。
「いっ!あ、ああああっ、はっんぁあぁ…っっ!」

意識が飛びそう。


「はぁ…はぁ…。」
「大体わかったかな。恭平、大丈夫かい。」
「ん…だい、じょぶ…。」
孝平はペロリと舌で唇を撫でてから、恭平の中から指を引き抜いた。
物足りなさが恭平を支配して、そこが大きく伸縮した。

「竹本に言われた。なぜ、お前なのかとね。」
「え…?」
「なぜ、恭平なのかと。考えれば、俺は7年も何かを待ったことなどないしな。」
「…。」
酸欠の朦朧とした意識の中で、恭平も首を傾げる。
そんな恭平を見てふっと笑顔を零した孝平は、ぐったりとした恭平の両足を持ち上げて片方ずつ肩にかけた。

「お前はなぜだと思う。なぜ俺に抱かれたいと思っている?」
「…。」
そんなこと、考えたこともなかった。
気がついたら自分と父はそういう関係で。
それが普通で、そのことがあるために他のことで悩んだことはあるが、このこと自体で悩んだことはあまりないような気がする。

「考えたこと…ない。俺は…」
「恭平は?」
「俺は、父さんに抱かれている時だけ、何も考えなくてもよくなるんだ。安心して目を閉じていられるというか…。他の人だとこんな風には思わない。」
「…。」
それは孝平も同じだった。
他の人間に安心して目を閉じている恭平の姿など、想像しただけでもイライラする。

孝平は恭平の身体の両脇に手をついて、恭平に自分のものを押し付けた。
「くは…っ。」
驚いて恭平が身を捩る。
緊張でシーツを強く握り締めた。

「恭平。」

呼びかけると同時に、腰を押し進めると、恭平がビクリと身体を強張らせてそれを受け入れた。
指とは比べ物にならない質量感に、恭平がか細い悲鳴を上げる。
「ひあ…ぁぁぁぁ…ッ!」
途中まで入れて少し抜き、再び捻じ込んでまた力を抜く動作を繰り返す。
徐々に恭平が孝平を飲み込んでいき、室内には苦しそうな喘ぎ声と粘着質の音が響いた。
その音が二人の動きを際立たせるものにする。

「あぁあッ。はぁ…あぁっ。」
「恭平、息を吸って。…ゆっくり吐きなさい。」
「ふ…ぅ…くはあ、ぁぁあ…っ!!」
傷ついたそこを気遣うように、いつもよりゆっくりと進入していた孝平は、ようやく全てを入り込ませてふぅと一息ついた。
恭平は静かに速めの呼吸を繰り返していたが、やがてシーツを掴んだ手を緩め、孝平の手を掴んだ。

「…父さん…。」
「なんだ。」
「父さんの気の済むようにやったらいいよ…俺は、変な嫉妬とかしないから。」
「…。」
「竹本さんと父さんには、これからも仕事を頑張って欲しいよ。公私混同は、しない方がいいって言ったのは父さんじゃないか。」
「…我慢をして壊れるのはお前だろう。」
「俺は、父さんも竹本さんも信じてる。大丈夫。きっと、大丈夫だから。」

どこからそんな自信のあるような言葉が出てくるのか。
孝平は呆れたように溜息をついた。
改めて見て、目に入ってくるのは自分の下にある恭平の汗ばんだ肉体。
今までずっと、この手の中で育て、守ってきた。

「…お前はいつから、そんな風に…」
「え…?」
支えられていたのは自分の方。
初めて恭平を抱いたときに、そんなことはわかっていたはずだったのに、またしても確認させられた。
身体は華奢で強くないが、こんなにも心は強い。

「もういい。」
「父さ…。」
孝平は恭平の次の言葉を奪うように唇を奪った。
それと同時に腰をゆっくりと動かし始める。
慣らされた恭平の身体が、それに合わせてすがりつくように絡まった。

「あ…あぁ…っ」
「イイ反応だ。」
「く、あ…っ。あぁん…ッ!!」
声にこだわった孝平にしつこいくらいに弄られ鳴かされて、恭平はいつしか気を失っていた。


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