仕事と関係 P15
矢吹と共に1階へ降り、ビルの自動扉を出て、裏側にある駐車場へ。
孝平は、1台の車の後部座席に蹲って震える恭平を見つけた。
ドアを開けて孝平を中へ入れると、矢吹は入らずに鍵をかけた。
まるで他の人が寄ってこないようにと、車体の前の部分に腰掛けて、ズボンのポケットに手を突っ込んで二人に背を向けている。
孝平はしばらく矢吹の背中を見つめていたが、呻いた恭平の吐息で、恭平の方へ視線を移した。
恭平は苦しそうに眉を寄せて、腹と股間の辺りを隠すように押さえている。
「恭平。」
声をかけると、うっすらと目を開けた。
孝平を確認して、我慢していた涙がまた溢れ出す。
「…っ。父さ…っ。」
「まったく、世話のかかる奴だな。薬を飲まされたって?」
「あ…。喉薬だって、言われたから…。」
「誰に飲まされた。」
「…。」
恭平が黙り込んだ。
なるほど、確かに誰かを庇っているような気のする反応だ。
「言ってご覧。まあ、大方予想はついているがね。」
言いながら孝平は、恭平の肩を掴んだ。
「…っ。あぁ…っ。」
過敏な反応を見せて嫌がる恭平を、強引に引き寄せてキスをした。
「…んぅ…っ。」
小さく呻いた恭平の喘ぎ声すら逃さぬように、深く口付ける。
恭平は5秒と経たないうちにびくっと腰を痙攣させ始めた。
だめ、イく…っ!!
そう思った瞬間を狙ったように、孝平が唇を離す。
流れた唾液が糸を引いた。
ペロリと自分の唇を舐めて、孝平がふふ、と笑った。
「相当効いているらしいな。まったく、ここまで効きやすい奴もなかなかいないんじゃないか。」
「…っ。」
「自慰をしなかったことも、矢吹に堕ちなかったことも褒めてやろう。偉いぞ。」
孝平は褒めているのかどうなのかわからない言い回しで恭平に笑いかけ、頬に付いた涙を拭った。
「薬の効き目はそう長くない。飲んでから、どれくらい経つ?」
「…わからない…。長いような、短いような…」
「私はこれから明日まで伊豆へいく。あまり時間はないんだ。」
孝平は恭平の肩を優しく掴むと、ゆっくりと、彼の上体を起こして座席に座らせた。
自分は恭平の足元へ座り込み、彼のベルトに手をかけた。
「わっ!や、ゆっくり…!」
「我慢しろ。ここまで我慢できたんだから、あと少しくらい耐えなさい。」
「…くふ…ぅ…っ。」
ズボンを下ろすときに布が擦れ、敏感な肌から全身へ微電流が流れる。
恭平は思わず孝平の肩を掴んでその衝撃に耐えた。
腕や腰が、ビクッと何度も震えている。
「あーあ。お前、着替えは持ってないだろう?」
「も、持ってないっ。」
「早めに家に帰って下着を変えた方がいい。びしょびしょだ。」
孝平のわざと意地悪に言った台詞に、恭平が顔を真っ赤にして羞恥に首を振った。
今日は恥ずかしいことばかりだ。
こんなに苦しいというのに、どこか楽しそうな孝平が憎らしい。
「イかせてやろうか。」
ズボンまで脱がせておいて、孝平はそんなことを聞いてくる。
いちいち確認してほしくなかったが、やってくれなくては困るので恭平がひどく苦しそうな顔をして孝平を見上げた。
「父さん…お願いだからっ。い、意地悪しないで…」
「意地悪なんかじゃない。イかせて欲しかったら、誰に薬を飲まされたのか言いなさい。」
「…っ。想像、ついてるんでしょ…だったら、いいじゃん…っ。」
「間違っていたら嫌だからな。万一見当違いだったら本人に合わす顔がなくなる。」
孝平は竹本のことを言っているのだろう。
恭平にもそれはわかっていたし、おそらく間違っていない想像だと思う。
興奮を隠しながら喘ぐ恭平を見て、孝平は軽く溜息をついた。
「仕方ないな。じゃあ、イエスかノーで答えるんだ。まず、飲んだのは白い錠剤?」
「う、ん。」
「下から入れた?」
「…え?」
「そんなわけはないか。では、口から飲んだ?」
「…はい。く、は、やく…っ。」
「その男は、私の秘書だ。」
「…はい…っ。」
「た、がつく。」
「はぁ…はぁ…とうさ…っもう、だめ…っ!!」
恭平が身を捩り、搾り出した嬌声と共に大きく腰を揺らした。
手早い動作でトランクスを外し、孝平がその根元を押さえつけたので、なんとか射精をしなかったものの、恭平はこのまま気を失いたいと思った。
今なら、何度でもイけそう…。
孝平は恭平のものの根元を押さえたまま、少しだけ立ち上がって恭平の耳元に口を寄せた。
一言呟き、恭平が必死に首を縦に振った。
竹本。
間違いないらしい。
孝平は溜息をついてから、車の外の矢吹のほうを盗み見た。
寒空の中、夕日の方を見ながら煙草を吸っている。
禁煙者だと思っていたが、どうやら気まぐれで吸うらしい。
孝平は恭平の方へ視線を戻し、喘ぐ恭平の膨張したそれを口に含んだ。
待ち望んだ生暖かい感触が与えられ、恭平は予想以上の快感に身を包まれた。
全身が仰け反る。
あまりのことに、声が上げられなかった。
恭平の声なき声が、車内に幻のように響く。
恭平は大きく身体を震わせて、その長い腕をシートの隅々に伸ばしたまま、孝平の口内に思い切り射精した。
全身が溶けてしまいそう。
「く、あ……っ。」
伸ばしきった腕を縮めて、孝平の頭へすがりつく。
引いた腰を逃がすまいと孝平が更に奥へ顔を入れ、恭平のものを舌で転がした。
「あぁ…っ。はぁっ、はあっ!と…さ…っ」
二度目に上り詰めるのも、信じられない早さだった。
沸き起こる感情が抑えられない。
恭平は瞳から涙を流し、情熱的な舌での愛撫に耐えられずに孝平の体を上から強く抱きしめた。
両足で、その体をはさんで大きく仰け反る。
「あああああぁぁぁ……っっ!!」
今度は、大きな嬌声を発して、達した。