小説>本編>夏の海>夏の海 P3
孝平は重ねた唇を一旦離し、恭平と目を合わせた。
見つめられた恭平の瞳が揺らいで、胸の鼓動が高まる。
波の音が周期的に二人の耳に入り、遥か彼方の海から浮かび上がった太陽が燦燦と当たり一体を照らしている。
孝平の手が恭平の腹の上を滑り、両足の間へ入れられた。
「あっ。と、父さん…っ。」
「緊張してるな。リラックスしなさい。」
「そんな、こと言って…っん、はぁあ…ッ!」
孝平は恭平のものをジーンズの上から揉み解し始めた。
間接的な刺激に恭平が身を捩る。
指の動きは適切で無駄がなく、じわじわと性感帯を熱くしていく。
恭平は無意識に腰を浮かせた。
その動きが誘っているようで。
孝平は恭平の頬に唇を落とした。
「はっ、はっ…父さん…ッ。」
「恭平…かわいいよ。愛してる。」
「あっ!ん…っ!」
恭平が恥ずかしそうに肩をすくめて目を閉じた。
イイところを刺激されながら普段聞きなれないことを言われると、なんだか心臓がドクンと高鳴る。
孝平は楽しそうに笑って、もう片方の手で恭平の顎を取った。
「あまり大きな声を上げると人が来るぞ。」
「ふぁ…っ!じゃ、もっと、ゆっくり…っ!」
恭平は涙を浮かべて孝平を見上げたが、反対に孝平は揉む力を強めた。
敏感な箇所が悲鳴を上げて全身を麻痺させた。
「いあぁぁあんっ。」
「ほら、人が来るよ。」
「いや、やめて…っとうさ……はぁぁうっ!くふ、ぁあッ!」
ダメだと言われれば言われるほど、我慢しなきゃと思えば思うほど、恭平は内から来る衝動に勝てなかった。
小波がやけにリアルに耳に聞こえ、時折上の道路を通る車の音にビクリとした。
見つかっては困る。
声を聞いた人が来て、何事かと木陰を覗くと砂浜の上で裸になって実の父親と交わっている自分がいる。
こんな恥ずかしいことはない。
だけど、だけど……
「あぁぁあっっ!!」
どうしてこんなに興奮してしまうのだろう。
痺れたような嬌声が自分でも信じられないほど絶え間なく溢れ出てくる。
握った手の平の中に、砂浜の砂が混じっていた。
孝平は恭平の顎を押し上げて、うっすらと開いて嬌声を漏らしている唇に自分のそれを重ねた。
柔らかい感触に夢中になる。
股間に集中していた恭平の意識が唇に宿り、砂浜についていた腕が震えながら孝平の頭に絡みつく。
恭平の方から貪りつくように、孝平と何度も唇を合わせた。
時折孝平の指が恭平の股間を揉んだが、その悲鳴は孝平の口内へ消えた。
ジーパンを履いたままの足が左右に開いて痙攣を繰り返す。
合わせた唇の隙間から、どちらともつかない唾液が零れ流れた。
それを追うように孝平が唇を離す。
恭平は荒い呼吸を繰り返しながら、酸素を求めて仰け反って喘いだ。
孝平の舌を首筋に感じる。
汗ばんだ肌は粒の汗を弾き、孝平の愛撫に敏感に答えた。
鎖骨を撫で、タンクトップを飛び越えて、胸の中心を滑る。
恭平の鼓動がトクトクと早く、孝平の耳に聞こえてきた。
ツンと上を向いて期待に膨らんでいる突起が、ヒクッと震えて孝平を誘った。
「恭平。嬉しそうだね。」
「はぁ…っちが…っ」
孝平は恭平の否定の言葉など聞く気はない。
ニコッと笑って、両手で恭平の股間を弄った。
「ひあぁぁーっ!あぁぁんっやめ…あぁぁぁっ!!」
恭平がビクビクッと身体を折って孝平の首筋にしがみ付いた。
張り詰めた箇所に強すぎる刺激が恭平の感覚を奪う。
イきたくてもジーンズの下では苦しくてイけそうにない。
汚したくもなかった。
恭平の動きに合わせて彼の下にある砂が左右へ飛び散った。
浜辺に身を沈めてあられもない声をあげ、惜しげもなく四肢を震えさせる恭平の姿に魅了されない者などいないだろう。
孝平は高鳴る感情を抑えて、恭平のズボンを丁寧に剥ぎ取った。
唇を胸元の突起に這わせてその先端を嘗め回す。
恭平の身体が歓喜に打ち震えた。
「あっ。あぁんっ。」
露になった恭平のそこははち切れんばかりに膨張していた。
孝平がそっとそれを手の平で包み込む。
「ああぁぁんっ!あっ、あうっ、はぁぁんっ!」
舌による乳首への刺激と、手の平に包み込まれた衝撃で、恭平が狂ったように嬌声を上げる。
もはや自分がどこで何をされているのか考えられなくなっていた。
与えられる快感が理性の二文字を粉々に分散させてしまうのだ。
孝平は恭平の射精を禁じるように付け根を押さえた。
「あぁっ、なん、で…っ!」
いつもは先に何度かイかせてもらえるので、恭平は哀しそうに孝平を見上げた。
こみ上げていた欲望が出口を失って体内を駆け巡っている。
「今日くらいは一緒にイこう。楽しみだ。」
「あぁ…っ!じゃ、早く…っ!!」
「待ちなさい。私もそろそろ限界だが、今日は恭平の誕生日だから好きな方にしてやろう。恭平の好みは?」
「えっ、ァアッ。な、なに…?」
「前からがいい?後ろからがいい?」
孝平は楽しそうに笑って恭平の乳首を甘噛みした。
滲んだ汗が肌を滑り落ち、恭平は大きく仰け反る。
「どっち?」
「あぁあんっ!」
「どっち?前?」
「どっちでもいいからっ!早く…っ!」
早く、と懇願する恭平の表情はたまらなく淫らな輝きを放っている。
太陽に照らされて反射した海の光が恭平の白い肌に当たって魅力を増していた。
もっと、焦らしたい。
「どっちか決めなさい。前?」
「いいっ。前で、いいっ!!」
「前でいい、というのは気に入らないな。じゃあ後ろにしようか。」
「……っ!!」
孝平がわざと悩むフリをして、不敵な笑みで恭平を見下ろした。
胸が、腰が、抑えられた箇所が、敏感に孝平を求めていた。
耐えられない。
自分でも信じられないほど、この状況に興奮していた。
太陽の背を受けた孝平の微笑みは、恭平の胸を打った。
「後ろがいい?」
孝平がもう一度確認するように恭平の顔を覗き込んだ。
もはや目に入るのは孝平の不敵な微笑みだけで、背景の海も、輝き続ける太陽も、外を歩いているかもしれない人も、何もかも気にならなかった。
「うしろ、が、イイ……っ」
恭平は恥ずかしそうに俯いて、搾り出すような声で答えた。