夏の海 P4



「ふ…あ、あ、あぁぁっ!」

小波の立ち続ける小さな浜辺で。
海の方角からしか見えないような木陰の下で、愛を育む男が二人。
四つん這いになった恭平の上に覆いかぶさるようにして、孝平が腰を押し進めていた。
いつもより締め付けがきつい。
指で慣らす行為を省いたので、そのせいで些か入りにくいのもまた事実。

しかしその入口は十分すぎるほど、恭平自身の愛液でびっしょりと濡れていた。
孝平のものを貪欲に飲み込んでいく恭平は、教え込んだ孝平自身がびっくりするほど吸い付いてくる。
まるで歓喜に震えているかの如く。

「恭平、きついな。少し力を抜いて。」
「ぁあ…っむ、無理…っ!」
「入らないから、抜きなさい。」

孝平が命令口調で囁いた。
これはいつものこと。
父親の孝平に命令されると、恭平の身体は無意識に、忠実にそうなろうと動く。
腰からふいに力が抜けた瞬間を見計らって、孝平のものが最奥まで貫かれた。
「ひあぁぁぁぁぁーーっっ!!」
恭平が大きな声を上げて、射精するほどの衝撃を受けた。
しかし付け根が押さえられたままであるため、うまく吐精することができない。
その先端から溢れ出た液が、ポタリと落ちて砂浜に溶け込んだ。

「あ、父さ…っ!!」
「なんだい?」
「もう、もうイきたい…っ!」
「そうだな。」
頷きながらも孝平は一向に指の力を緩めてくれない。
恭平は苦しそうに腰を突き出した体制で耐えなければならなかった。
太陽に照らされて滲んだ汗が粒となって肌の上を滑り落ちていく。
その背中を見ていると、妙に満足を得た気持ちになるのだ。
恭平は自分のものであると確認しているような気が。

「恭平、動くよ。鳴きなさい。」
「イヤぁあ…っ!」
誰か来てしまうかもしれない。
自分の悲鳴を聞きつけて、何事かと海岸を降りてくるかもしれない。
そこには父親と交わっている裸体の自分があるのだろう……
また同じような光景を思い浮かべて、恭平の血流が激しくなった。

「あっ!あぁあぁ…!!」

想像すればするほど。
体の中心が火照ってきて言うことをきかなくなる。
孝平の突きがいつもに増して激しいような気がするし、一番感じる前立腺だって何度も何度も突かれている。
かき回される感触がやけにリアルで、波の音や蝉の鳴き声がやたら遠くに感じた。
「ああぁ!ひぁあぁんっ!!」
「興奮、してるのかな、恭平は。本当にいつもより締め付けが強いぞ。」
「やめ…そこ…っふあぁンッ。」
「ココだろう?」
「あぁ……………ッ!!」

孝平に負けじと、恭平が無意識に腰を振るう。
辛うじて残った理性がなんとか腕を伸ばして体勢を支えていたが、ここがベッドであるならば枕に顔を押し付けていたことだろう。
砂浜の砂を強く握り締めて、与えられる前立腺への刺激を全身全霊で受け止めていた。

孝平が抜けそうになるくらい腰を引いた。
物足りなさに、恭平が哀しそうな嬌声を上げる。
しばらくそのままで止まっていると、恭平が涙をためて懇願する。
「父さん…っお願い、早く、早く…っ!」
「早く、何?」
「はやく……つい、てっ!」
恭平の消え入りそうなほど小さな声の言葉と同時に、孝平は前立腺めがけて一気に恭平の中に押し進んだ。
恭平の体が狂ったように痙攣する。
だが、まだ射精は起こらない。
本当ならば何度イったことだろう。

「はっ、はっ、もう、だめ…っ。」
恭平が弱々しい声を発して、意識を手放しかけた。
そしてちょうどタイミングよく孝平の手が、今まで握っていたものを包み込んでやわやわと揉み解し始めた。
敏感になり続けていたところへの刺激に、恭平は息を止めて静かに仰け反った。

「あ、ん。父さん…っ。」
「私もそろそろ限界だ。一緒にイこう。」
「はぁ…っ。」
孝平の手の動きに合わせて、恭平が腰を振る。
やわやわとゆっくりとした動きだったのが、次第にそのスピードを増していく。
孝平ですら、欲望には敵わない。
初めから逆らう気などないのだが。

「はっ!はっ!はぁんっ!」
孝平の手は激しく上下に恭平のものをしごき、腰は前後左右に揺さぶられる。
前後同時の刺激に耐え難い快感を感じる。
膨張しきった恭平のものは、孝平の手の中でしごかれながら抑え切れなくなった液を流していた。
恭平の手が濡れていき、それが狡猾剤になる。
そのぬめっとした感触が更に官能を誘った。

「あっ!イ…イくっ!父さん…っ!!」
恭平が一際大きな声を上げた。
腰の痙攣が小刻みになり、激しく揺すぶられる。
孝平は恭平の声に合わせて彼の感じる箇所を一気に押してやった。

「あぁぁんぁぁーーー……っ!!」

恭平が砂浜の上に勢い良く射精した。
何回分かわからない白濁の液が飛び、恭平の股間は強く孝平を締め付けた。
それを受けて孝平も恭平の中へ欲望を吐き出す。
二人で同時にビクビクッと痙攣を繰り返し、珍しく余韻に浸っていた。

屋外という場所のせいか、恭平は気を失わなかったようだ。


しばらくして、孝平は恭平の中から出た。
ぁん、と恭平が女のような甘い声を出して、言ってから自分で顔を赤らめた。
ぐったりと木陰に隠れるように幹にもたれていた恭平を見て、孝平は笑った。
「砂だらけだ。汗に張り付いてる。」
「うん…全身だるいや…。」
朝からとんでもないことをしてしまった。
砂だらけだが、服は着ないとならない。

孝平は早くも何事もなかったかのようにズボンをはき、そこについた砂を手で払った。
「待っていなさい、実は車にタオルが積んである。持ってこよう。」
準備をしていたということは、初めからこうすることを計画済みだったということだ。
…外でセックスするなんて。

恭平は思い出して、穴があれば入りたい程顔を真っ赤に染めた。


++
++
+表紙+