女社長 P6



孝平は恭平の隣に腰掛けた。
じっと見つめられると体が疼く。
恭平は視線を逸らそうとしたが、捕らえられたように動かない。
きゅっと拳を握った。

「話してみて。」
「え、何を?」
「玲子との食事の様子。何を言って…何を聞かれた?」
孝平が顔を近づけてくる。
ちょっと…この接近の仕方は玲子さんに似てるよ…

パチンッ!

「いたっ?」

突然手の甲を叩かれた。
驚いた恭平が腕を引っ込めようとすると、それを阻むように孝平の腕が伸びた。
恭平の手首を掴み、持ち上げる。
強引な動きに面食らい、恭平は大した抵抗もできなかった。

「痛い!何、父さん?」
「これは何かな、恭平くん。」

目線の高さまで上げられた自分の手を見ると、甲のところに紅い色がついている箇所がある。
恭平はすぐに理解できず、その場所をじっと見つめた。
「…?なんだろ、これ…?」
「私はわかるよ。教えてあげようか。」
「うん。」
「その前に…他にも跡がないか、調べる必要があるよ。」
「えっ?…ぁ」

両腕を捕られ、恭平は思い切りベッドに背をついた。
頭の上で腕を押さえられては満足に動けない。
その隙をついて孝平は恭平の体の上に馬乗りになった。
「とうさんっ」
「玲子の悪い癖はな、自分好みの男と見ると強引にでも唾をつけてしまうとこだ。」
「な、にそれ…?」
諦めつつもそれでも必死に抵抗してみせる恭平の両腕を両手で押さえ、孝平は笑った。
「本当にそっくりすぎる兄妹だ。」
小さな声でそう言って。
孝平はもがく息子の首筋に、噛み付くようにキスを落とした。
「あ…っ父さ、ぁんっ!」
恭平の感じ入る声が耳元に響く。

どうしてそう、誘うように鳴くのだろう。

最初は激しく、そして徐々にゆっくりと舌を動かして恭平の体を撫でていく。
次第に嫌がっていた素振りは消えていき、舌の動きに合わせて恭平が揺れ始める。
我慢していた声が漏れ、呼吸の速さが不定期になる。
顔を赤らめて、全神経を孝平の触れる箇所へ集中させるために目を閉じた恭平の睫毛が妖しく震えた。

「…んぅ…っ。」
「我慢するんじゃないよ。誰にも聞こえないから。」
「は、ぁ…ぃや…っ。」
「玲子は女だが、用心したほうがいいぞ恭平。セックスの技術ならお前より数段上だ。」
「そ、んな…、ぁあっ…?」

いつの間にか、シャツのボタンを全て奪われていた。
孝平の手によって左右に開かれると、服に覆われていた部分が外気に晒される。
ひんやりとした空気と羞恥に恭平が身体を捩った。
「父さん待って!」
「待って?なぜ?」

なぜかって?

不意に投げかけられた質問に恭平は呆気にとられて口をパクパクさせた。
「なんでって…心の、準備が…」
「心の準備?…そういえば、車酔いはどうだ?」
そんなもの、押し倒されて、胸を晒した時点で醒めている。
青白かった顔色は今やほんのりとピンク色である。
「車酔いは、もう治ったよ。」
「では問題ないな。早くしないとまた竹本に何か言われるかもしれない。」
「う…っ。」
「玲子の跡を調べるだけだから、早く終わるよ。」
「何もなかっ……!!」

もとよりここまできて反論を聞いてくれる父親ではない。
恭平の抗議の声は飲み込まれ、身体を弄る手の動きが恭平の中を支配した。
優しい手遣いが不思議と緊張を解していく。
やわやわと揉まれると、知らず知らずのうちに息が上がっていく。
支配され、愛撫に翻弄されることに快楽を見出した恭平に抗う術はなかった。

意識しない時に腕が、胸が、腰が、誘うように揺れる。
途切れ途切れの呼吸に合わせて身体が跳ね上がり、やがて、下半身が火照りだした。

「く、ぅ…っ。」
「恭平くん、まだソコは触ってないよ。」
「っ!あぁあっ!」

恥ずかしさのあまり自分でも驚くほど大きな嬌声が、仮眠室の中に響いた。
期待と羞恥とが入り混じった感情が恭平の中で渦を巻く。
そんな恭平の様子を孝平は楽しそうに見下ろして笑った。
意地悪そうな、それでいて人を惹きつけて止まない父の笑顔。
「玲子との時間、何をしていたのかまだ聞いてなかったね。」
「んっ…はふ…」
「話してもらおうかな。」
「ぁぅっ。ぃ…今…?ぅぁん…っ!」

こんな中途半端な状態で。
しかも孝平の身体への愛撫は言葉と裏腹に止まる気配がまるでない。
今も片方の胸の突起を人差し指と親指でこねるように弄っている。
悲鳴を上げないようにするのがやっとのところだ。
しかし孝平はそれを更に煽るように、ゆっくりと、もう片方の腕で腹の上を下降していった。
「ぁ、ぁぁ。くは…っ。」
恭平が喉を逸らして腰を浮かせた。
それに合わせてベッドがギッと軋む音をたてた。

「お父さん、恭平の話が聞きたいよ。」
らしくない台詞を吐く父は、きっとかなり上機嫌だ。
そうは思っても身体が言うことをきかない恭平は、ただただ肩で息をしながら呼吸を荒げてシーツを握った。
火照った身体にうっすらと透明な汗が滲む。

孝平の手が、恭平の中心部の上を撫で上げた。

「ひあぁぁぁはっぁぁぁッ……」

溜息交じりの極上の嬌声が、熱っぽく揺れる唇から惜しげもなく零れ落ちた。


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