女社長 P14



森坂は昂ぶった感情を抑え、指を伸ばした。
ぬぷっと粘着質の液体が絡みつき、きつく締め付けてくる内壁が徐々に奥へと導いていく。
恭平が既に経験済みなことは彼の反応から明らかであった。
処女もいいが、心得ていてくれるほうが話は早い。

「っ!」

恭平が声もなく大きく仰け反った。
彼の射精を止めるように押さえていた玲子が、その手をどけぬまま動き出したのだ。後ろに全神経を集中させて耐えていた恭平が狂わされる。
掠れた声も出ないまま、びくびくっと全身をひくつかせた。恍惚とした表情の頬を幾重にも重なった汗の粒が流れ落ちる。
行き場のない欲望が恭平の中を駆け巡った。

「玲子さん。」
「え?」
「だいぶ…きつくなってきた。先にやらせてくださいよ。」
森坂が恭平の体を支えながら、切羽詰った声を上げた。指を咥え込んだままの恭平が腰を振る度に、誘ってきている。早く応えてやりたい。
しかし玲子は恭平のものから舌を離さずに笑った。
「駄目よ。我慢しなさい。」
「…我慢できないから言ってるんですよ。」
「…。それじゃ、寝室に運んで。」
玲子が諦めたように溜息をつき、森坂のネクタイを外して恭平のものに素早くまきつけた。なおも射精できない苦しさに恭平が苦しそうに喘ぐ。
「ぃ…や…っ」
小さく言った恭平の言葉を無視して、森坂は恭平の中から指を抜いた。喪失感に溜息が漏れる。
緊張感を失って倒れそうになった恭平を抱き上げて、森坂は扉を開けて隣の部屋へ移った。ベッドの上に恭平を投げ、足を左右に大きく広げさせて擦り寄った。

「恭平く〜ん。すごくそそるよ、この格好。」
楽しそうに囁く。彼の頭は恭平の股間の下にあった。
あられもなく全てを曝け出した格好を取った恭平は、いやいやと首を振った。森坂の舐めるような視線が羞恥心を煽る。
「続きね。」
そう言って、森坂は恭平の股間へと指を伸ばした。
抵抗する間もなく、森坂の指が乱暴に恭平の中に侵入し、荒々しく犯し始めた。
「あっ、あっ、ひぅ、は…ぁっ…」
恭平の苦しそうな嬌声が、少し狭くなった部屋に響き渡る。ぐちゅ、くちゅ、と森坂に弄られている股間が厭らしい音を立てているのが手に取るように感じられる。それによって恭平の感度が更に上がったのは間違いない。
恭平は抵抗するのも忘れて色っぽい嬌声を上げて喘いだ。
森坂が内壁を抉る度、ビクビクビクッと大きな痙攣を繰り返して鳴き叫んだ。

後から部屋に入った玲子は、長い髪を掻きあげて、恭平の反応に見入っていた。森坂の巧みな指遣いによって、何度も絶頂に達しているはずだ。
射精できない苦しさに、目尻から涙が溢れていた。
「あーっ!……はっ……ーっ。ぁ、ぁ、ぁっあぁーーっ!!」
恭平が一際大きな声を上げて、腰を浮かせて上り詰めた。恭平のものはネクタイを巻かれたまま天を向き、解放を求めて震えている。
満足したのか、森坂が恭平の中から指を抜いた。ア…、と小さく呻いて、しかし余韻に恭平が震える。

玲子が部屋の扉を閉じて二人に歩み寄った。服を脱ぎ、ベッドの上へ乗る。
この部屋にあるベッドは人が三人乗ってもなお広いと感じるほど大きかった。
「いっぱい溜めたわねぇ。」
「イきたいだろ、恭平くん?」
二人の視線に恭平は首を振った。
見上げている天井には大きな鏡が貼られていて、否が応にも自分の裸体が目に入る。玲子が気付いて、恭平の目線の先を追った。
「…あら。恭平くんたら、自分の姿に酔っちゃってるのかしら。淫乱な子ね。」
「あ、本当だ。」
森坂も上を見上げて、楽しそうに、恭平の股間を曝け出させた。
「やめ…やめてぇっ!」
「今からここに、俺のものが入るんだよ。」
恭平の耳に囁いて、恭平の後ろの穴に手を翳す。そこは指に犯されて自ら濡らした体液と汗にまみれて妖しげに光っていた。
「あ…ぅ…っ」
「森坂くんのは大きいわよ…壊されないように頑張ってね。」
今度は反対の耳から玲子が囁く。ピンと張った胸の突起を指で弾くと、恭平が小さく痙攣した。玲子には期待に震えているかのように見えた。
「それからね、恭平くんのコレは…私が食べてあげるから、安心して。」
「…?」
「大丈夫よ。恭平くんはさっきと同じように、寝ていればいいのよ…ここでね。」
玲子は二本の腕を恭平の体にゆっくりと這わせ、同時に唇で首筋を舐めた。汗を拭ってキスを繰り返し、時にきつく吸って肌に跡を残す。
短く、熱過ぎる呼吸を繰り返す恭平の唇を塞いで、舌を滑り込ませ、息をつかせないまま角度を変えて貪る。
「あっ」
漏れた嬌声はキスに酔っているからか、それとも指の愛撫に感じ入ったからか。
恭平自身にもわけがわからない程、玲子のテクに翻弄された。

その間に森坂も服を脱ぎ、恭平の上に圧し掛かった。
それに気付いた恭平が恐怖に引きつり、玲子を押しのけて逃げようと試みた。
「やだ…っ」
「あら駄目よ。」
「!」
玲子に肩を抑えられ、森坂の大きな手によって腰を掴まれた。
ベッドの上に押し付けられ、勢いに任せて森坂が恭平の両手を頭の上で拘束した。

「逃がさない。」

飢えた獣のような目に射すくめられては動けない。
はっとして動きを止めた恭平に優しく笑いかけ、森坂は恭平のものにまかれているネクタイに手をかけた。
森坂がどき、玲子が恭平の上へ移動した。
恭平のものの先端を人差し指で拭い、その指先についた液体をぺろりと舐める。玲子は笑って恭平を見た。
「今までどおり、喘ぐのよ…我慢してもいいことないわよ。」
「何を…っんぐ」
反論しようとした恭平の口の中に、玲子が人差し指と中指の二本を突っ込んだ。驚いて、噛まないようにと口を開ける恭平。
玲子は目を細めて笑った。

「優しいのね恭平くん。いい子ね…痛いから噛まないで。」
玲子は言って、恭平の舌を軽く押すようにして口を広げた。
「いっぱい喘ぐのよ。恭平くんの声が聞きたいわぁ。」
「は…ぁあっ」

ネクタイを解いた森坂が、間髪入れずに恭平のものにゴムを被せた。
役割が女であるとはいえ、性別は男だ。玲子との本当のセックスは避けなければならない。
「森坂くん。」
「はい。」
頷いた森坂が手に持っていたのは、どこから取り出したのか、録音機能のついたMDウォークマン。かちりと音がして、録音ランプが点灯した。

「恭平くん…愛してるわ。」

玲子は間違いなく、孝平ではなく恭平の名を呼んだ。


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