監禁 P6



「…ん…。」
良平は呻いて、ふと目を開けた。
見知らぬ白い壁が目に入る。
寝ぼけた頭でしばし考え、がばっと身を起こそうとして手の拘束に気付いた。
「あ、いてっ。……ちっ、そうだった…。」
軽く舌打ちをして、良平はキョロキョロと首を回した。
窓の外から太陽の光が漏れている。

良平は自分の格好から昨夜の出来事を思い出し、気絶してから比較的何もされていないことを確認した。
…どうやら、まだ、貞操は守れているみたいだ。

良平は智哉の姿が見えないことに不安を覚えたが、同時にここぞとばかりに手の拘束をどうにかしようと試みた。
しかし引っ張ったり、ガチャガチャと動かしてみたりしてもてんで壊れる様子がない。
さらに上からタオルまで念入りに巻かれているため、全く解けそうになかった。
昨夜暴れたせいで手首が痛む。

良平が四苦八苦していると、ジーンズにタンクトップのラフな格好の赤城智哉が部屋に入って来た。
制服を着ている時とは打って変わって、やけに大人びて見える。
「やあ。おはよう、良平さん。よく眠っていたね。」
「…っせぇ。」
「その手錠は無理にしてもとれないと思うよ。鍵は俺が持ってる。」
「…解けよ。」
「逃げるからダメだな。まぁもちろん、逃げたらお前の守りたかった人たちがどうなっても、俺は知らねぇぞ。あいつら、俺が言えば実行すると思うからな。」
「…ふんっ。」
良平はしかめっ面をして智哉を睨んだ。
智哉はそれを見て、さも愉快そうに笑みを浮かべる。

「機嫌がよくないな。でも大丈夫、これを嗅いだら、きっと良平さんでも機嫌よくなるよ。」
「は?」
智哉が掲げた手の中には、小瓶が納まっていた。
よく見るとこの前嗅がされかけたものだとわかり、良平は無意識に身構えた。

「てめっ…キチガイ野郎が。朝っぱらから…」
「朝っぱらからやるからイイんじゃん?」
「は!」
「ほら、嗅いで。」
智哉は無遠慮に、ずいっと良平の顔の辺りに小瓶を傾けた。
良平はうっと顔をしかめて逃げたが、呼吸なんて、そうそう止めていられるものじゃない。
それでも必死に我慢していると、痺れを切らした智哉の手が、無防備な良平の股間へと伸びた。

「あっ?!」

触れられると良平が声を上げた。
その瞬間に少しその匂いを嗅いでしまう。
よくわからない、甘いような匂いだった。

「ち、くしょ…っ!」
「大丈夫だよ、常習性はないから。昨日の良平さんの反応見てたらこれはいらないかな、と思ったんだけど。理性の壊れた良平さんも見てみたくなってさ。」
「は…あ…っ」
呼吸をする度に、小瓶からの気体を吸い込んでしまう。
良平は次第に意識が朦朧としてきて、なんだか気分が高揚してくるような気がした。
同時に股間をタオルケットの上からやわやわと揉みこまれる。
「はぁ…、はぁ…」
良平の身体はすぐに火照りだした。
自分の掠れた呼吸音にも、なんだかひどく官能を揺さぶられる。触れたシーツですら、じわじわと肌を敏感にさせた。

「ぅ…っ、と、も…っ」
「効果覿面だな。良平さん、気持ちイイ?」
「…んな、わけ…っ」
「ないって?それはどうかな。」
智哉は突然、股間を揉み込むペースを速めた。
激しく揺さぶられると、それだけで意識が飛びそうになった。
「ああぁぁぁっっ。やめ…バカっやめろっ!!」
「そんなに速くしてないよ。良平さん、感じすぎ。」
「ぁぁあ…んっ。んぁ…っ!」
心臓がドクドクと脈打ち、全神経は智哉の手へと集中した。
事実、智哉の指の動きはは少し速くなっただけで、未だ丁寧に揉み解すようにゆっくりとしていた。
良平の意識は混濁し、早くも絶頂に近付いていく。
しかしあまり簡単に射精されても面白くないので、智哉は良平のそれの付け根を、タオルケットごと掴んだ。
「まだ、イくな。」
「…っ!!」
良平が悶絶する。
荒い呼吸を肩でしながら、智哉のことを見上げた。
手錠で手を拘束されて、タオルケット一枚しか纏わない良平の裸体は、紅く火照っている。

「ち、くしょ…っ!手ぇ、離せよっ!」
「どうかな。なんで?イきたいの?俺の手で。」
「…ちが…っ!」
「違わないよ。良平さんは今、俺に従うしかないんだよ。どう?この感じ。」
「…は…?」
「憎い相手に犯されるって、どう?悔しい?良平さん。」

良平は、智哉の言わんとすることがよく理解できず、仕方なく黙った。
智哉は一向に気にしていない様子で続けた。

「悔しかったら俺を憎んで。お前は憎い相手に犯される。興奮、しない?」
「な、ふざけ…っ!!」
良平が反論しようとした瞬間、智哉は抑えていた指を解き、再び股間を弄り始めた。
「ぃ…っヤメ…やめろっ。てめ…っ」
良平が堪らず目を閉じて、迫り来る快感の波に耐えようとした。
だがいつもよりコントロールがうまくいかない。
無意識に腰が浮き、胸を反らせる姿は智哉の欲望を更に深く掻き立てるだけだ。
「ぁ、あぁぁん…っ」
力なく吐いた息に、鼻にかかったような甘い鳴き声が混ざっていた。


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+表紙+