抱擁 P2
「困ったな。難しいことは苦手だぜ。頭よくねぇから。」
智哉は笑って誤魔化した。
視線を良平の鎖骨へ這わせ、露になったままの肌の上に指を滑らせる。
「良平さんも頭働かすのやめて、気持ちを楽にしたら?そろそろ、俺の愛撫が欲しい頃なんじゃないのかな?」
「智哉。」
「肩が震えてるよ。ココも…ピンと立っちゃってカワイイ。」
「ともや…っ」
良平の声が上ずった。
無遠慮に胸の上を撫で回す智哉の指が、ふいに乳首の先端に触れた。
そこはピンクに熟れた色をしていて、期待にふっくらと上を向いているのだ。
智哉の指がそこに吸い寄せられないはずがなかった。
「良平さんはココに弱いんだよな…?」
智哉の台詞が耳から直接、指を触れられている箇所へと届くみたいだ。
ひくっと震えて、良平は頬を赤らめた。
「やめろ、智哉…っ。」
「今更じゃんか。何度イっても良平さんの魅力は落ちないよ。すげぇカワイイ。」
「違う。お前は、」
「詭弁はいいんだよ。お前は俺のものなんだ!」
突然、智哉が怒鳴った。
良平が驚いて目を見開く。
「黙って俺の言う通りに鳴いてりゃいいじゃん。そしたら何も悪いようにはしねぇし、お前の望むままにイイとこ触ってやるからさ!」
「智哉!お前のそういうとこが意味わかんな…っ」
「黙れ!!」
「…っあ、つッ。」
指の先が、良平の胸の蕾を強く押しつぶした。
良平は顔をしかめて息を止める。
智哉の心の中にある何かを刺激してしまったようだ。
良平の手首を拘束している手錠がガチャッと音を立てる。
押したままぐりぐりと指を押し付けられると痛くてたまらない。
良平は目の前が真っ白になるような感覚を覚えた。
頭がクラクラとする。
「相変わらずヤラシイなぁ良平さんは。下が反応始めちゃってるよ…?」
「ん、あっ!やめろって…くあぁ…っ!!」
智哉は笑って右手を離し、引っかかれて赤く腫れてしまった肌の上に唇を寄せた。
全神経の集まったように敏感になった突起の回りを丹念に舐め解していく。
片方の突起は痛いほど押されていたままだったので、左右の強弱の差に良平は呼吸を荒げて身を捩った。
智哉の舌が這った箇所は次々と唾液に濡れていく。その感触に良平は目を閉じて眉を寄せた。
生暖かくて柔らかい舌のねっとりとした動きが、反対側の手の動きに勝るほどビリビリとした快感をもたらす。
良平は困惑したような表情を浮かべて、思わず声を上げた。
「は、あぁん…っ!」
良平自身ですら驚くような予想外なほど色っぽい溜息。
それが智哉の身体に火をつける。
智哉はタオルケットの上から、良平の股間を弄る仕草を取った。
良平の身体が触れられた悦びに跳ね上がり、胸が反れる。
突起を増した先端を舌で突ついてやると、良平は一層激しく仰け反った。
弾けたように悲鳴を上げ、無意識のうちに智哉から逃げようと身を捩る。
すると智哉は馬乗りになって押さえつけ、夢中で股間を揉み上げる速度を上げた。
「はぁあっ。」
堪らず良平が熱っぽい声を上げる。
智哉はもう一度鳴かせようと、躍起になって良平の股間を弄り始めた。
智哉の手の中でタオルケットが濡れていく。
「ん、くふ…ん…っ」
良平が鼻を鳴らして快感に耐えた。
いつまで持つか、この我慢が。
快感に呑まれまいと耐え忍ぶ姿は、それはそれでそそるものがある。
智哉の舐めるような視線に絡め取られながら、良平の顔が興奮に紅く染まっていく。
くっと指を折って少し奥を刺激すると、うっすらと開かれた唇から聞き取れないほど小さな熱い溜息が漏れた。
たまらない、その反応。
「いいよ、良平さん。すげぇ色っぽいぜ…。」
智哉は独り言のように呟いて、股間を弄る手を止めぬまま、下半身の方へ座り直した。
無意識に左右に開いた良平の足を交互に見つめて、左足の太ももの裏を人差し指でつぅっと撫でた。
「ひあ、あぁ…っ?!」
全身が敏感になっていた良平は堪らず上ずった声を上げる。
左足が軽く宙に浮いた衝撃でタオルケットがずれ、際どい位置まで露になる。
「自分で脱いでくれんの?光栄だなぁ。」
「だれ、が…っ。」
「くく…弱いんだろココ…。」
太ももを撫でた指と同じ人差し指が、足に沿ってゆっくりと中心へと上昇し始めた。
それとともに身体が期待に揺れる。
智哉に弄られていた箇所が、じんわりと熱くなってくるのがわかった。
呼吸も早まり、感じたくもない快感が意識を支配する。
人差し指が足の付け根のあたりまでやってきた。
股間がヒクヒクと揺れている。
そこは良平の体液で十分なほど湿っていた。
覗き込んだ智哉は満足そうに笑ってタオルケットの中に指を忍ばせた。
「ん、あ、っ!」
くちゅ、と厭らしい音を立てて指が液体を含んで触れにくい箇所を撫で回す。
智哉はタオルケットをそのままに、良平のものを片手で包み込んだ。
前後同時の刺激に頭に戦慄が走る。
「んぅあぁ……ッ!!」
自然と両足が左右に開き、それが智哉の刺激を更に激しく受けてしまう。
閉じようとしても足に力が入らない。
良平はおかしくなるかと感じるほど腰を浮かせた。
ベッドの上で汗を散らして跳ね上がる良平の裸体は、とても淫らで官能的に思える。この反応をもっと見ていたくなって、前をしごく手を早める。
「あああぁぁぁー…っ!!」
喉を仰け反らせた良平はここがどこかも忘れて大きな嬌声を上げた。
叫んだところで誰も来ないのだが、それでも叫ばずにはいられなかった。
「あ、あぁんっ!い、あふ…っ!」
「感じる…?」
「っん!ぁぁぁっ!」
良平がイくかイかないかの狭間になるスピードで、智哉の前後の刺激が続く。
クチュクチュと粘着質の音が耳にまとわりついて離れない。
「良平さんすげぇイイ。下も上も色っぽいよ…誰に習ったの?こんな鳴き方。」
「あ、ああぁ…っやぁあ……っ!!」
「入れなくてもセックスだって教えてくれたのは良平さんが初めてだ。もっとイジメたいなぁ…。」
智哉はこりもせず邪悪な笑みを口の端に浮かべた。