おめでとう P6
「何、すん…っ」
「濡れてたほうが痛くないんじゃないかと思って。」
「あ…?!」
杉野は蛇口を結合部へと当てたまま、再び侵入を開始した。
良平が痛みに目を閉じて、全身を仰け反らせた。杉野が動く度にビクッビクッと官能的な反応を見せる。次第にシャワーのお湯からの湯気で視界がくもっていき、その中で蠢く良平の身体を杉野は必死になって求めた。
少しでもお湯が狡猾剤になっているのか、良平の蕾は次第に解され、ゆっくりと、しかし確実に杉野自身を飲み込んでいった。
「ひあぁぁ…っあぁーっ!…んぅ、はぁんっ。」
痛みの悲鳴から、快感のそれへと変化する瞬間を、杉野は聞き逃さなかった。
苦しそうに固く閉じられていた瞳から力が抜け、弱々しく息を吐く。
強く刺激しているにも関わらず、その様は、優しい愛撫を受けているかのような安堵感すら感じられる。
良平の意識は完全に一点に集中していた。
それを感じている杉野は満足そうに目を細め、うっとりと良平を見つめた。
自分が少しでも動けば、良平はその倍以上の反応で自分を満足させてくれるだろう。自分の下で出口を求めて喘ぐ姿は誰よりも妖しい。誰よりも愛しい。
杉野はシャワーを耐えず結合部に当たる位置に置き、良平の両脇に手を付いて良平を見下ろした。呼吸を速めた良平が怯えた瞳で杉野をまっすぐに見上げる。
ああ、その視線、たまらないよ。
「動いていい?」
「ま…待て…っ。」
「待てない。」
「杉野…!」
「動くよ。」
「待って!」
「動く。」
「い…痛く、すんなよ…っ!」
「当たり前だろ?鳴かすけど、泣かさないよ。」
「意味、わかん、ね………あぁぁっ!!」
切羽詰った良平の言葉が、ついに、悲鳴に変わった。
熱を持った嬌声というべきか。
杉野の激しい律動に合わせて短く、弱く、時に強く鳴き叫ぶ。
彼が普段の理性をかなぐり捨てて良平を攻め立てる時、良平はただただ喘ぎ続けるしかない。抵抗したくても、身体がいうことを聞かない。呼吸がうまくできない。
意識とは裏腹に、本能が快感を追い求める。
捕らわれて、逃げられない。
杉野は良平の腕を掴んで頭上に上げ、良平の自由を拘束しながら最奥を犯した。
前立腺に強い衝撃を感じて良平が悲鳴を失って仰け反る。
「ーーーー…っ!!」
一度だけかと思いきや、少し離れ、数秒後には同じところをまた突かれた。
呼吸が止まる。意識が飛ぶ。
「や…!!」
無意識に拒絶を露にしたが、杉野はもはや聞いてくれない。夢中になって良平のイイところを攻め立てていた。
もがきたくても両手を押さえられているため満足に動けない。両足が空しく宙を掻いた。
「あっ!いやっ!あぁあんっ!そこっ、だめ…っ!」
「どこがだめ?…ココ?」
「くぁぁぁあっ!やめろっ、ばかっ…あふぅぁっ!」
馬鹿みたいに色っぽい嬌声に嫌になるが、良平自身では止められない。弱いところは杉野の方が何倍も満足に知っているのだ。
不規則な前立腺への刺激のために、良平が射精感を覚えるのにはさほど時間はかからない。
きつい締め付けに杉野も限界を感じていた。
「良平…一緒にイこうか。」
夢中で喘ぎ続けている良平に聞こえているかどうか。
杉野は一旦良平の中からほとんど出た。
大きな喪失感に良平が息を止め、ふと我に返って目を開けた。
理性が良平に戻る少し手前で、もう一度強く、一気に奥までねじ込んだ。
イく…っ!!
良平はつたない思考回路でそう思ったが、残念ながら射精は起こらず、杉野の律動はやまなかった。
「あっ…あっ…はぅぅ…あぁ……っ」
腰が砕けそうだ。
目の前が揺さぶられてはっきりとしない。
先程からしまり切らずに嬌声を発し続けている唇の端からは妖艶な液体が一筋、頬を濡らして光っている。
シャワーのお湯に濡れた全身が水滴を飛ばしながら跳ね上がる。
逸らされた胸に咲いた二つの紅い突起には、先程から執拗に追いかけ続けている杉野の唇が吸い付いて、口内の舌に弄ばれていた。
充分過ぎるほど快感を与えられているというのに、なぜだかイきたくてもイけなかった。
良平は戸惑い、残った理性をかき集めて杉野を呼んだ。
「すぎ…すぎの…っ」
「ん?どーした…良平。」
「は、やく…早く…っ!」
「ふふ。そんな、焦るな、よ。」
「ぁ……っ!!」
杉野はここぞとばかりに楽しそうに焦らすだけで、良平の求める答えを与えてくれそうにはない。良平は無性に悔しくなった。
「ばか…やろっ!覚えとけよ…っ!」
「忘れるわけないだろ。今この瞬間、良平を抱いてるんだから。」
「ち、くしょ……あぁっ!んあ…ぁ…っ」
抗議の声の中にも嬌声が混じることが悔しくて仕方ない。
止まらないのだから仕方がないのだが。