精液溜まりの中にへたりこむ、白濁まみれの露出過多の女。
 事実だけを言葉にして並べれば、想像されるのは、商売女でも拒むような爛れた欲情に 溺れるニンフォマニアの姿であろう。
 いったい誰が、そんな彼女が軍属の大尉だと見抜けるであろうか。経緯はどうあれ、ア ヤはそんな他人には言い訳できないあさましい姿を、男達の目に晒していた。
「へへへ、露出狂の変態大尉にふさわしい格好になったな、大尉殿」
 班長と呼ばれた集団のリーダー格の男が、ニヤニヤとイヤな笑みを浮かべながらアヤの 姿を見下ろしている。
 10人分の射精液をブッかけられ、アヤの制服も体も白濁まみれになっている。染み込 んだ液は青を基調とした衣服に濃い青で淫靡な彩りを添え、発情したメスが滲ませる甘 酸っぱい体臭にオスの獣臭が混ざり頭がクラクラするほどの濃密なフェロモンが立ち昇 っている。
 声をかけられ、ゆっくりと上向いたアヤの顔は、そのフェロモンに酔ってしまったか のように陶然としていた。ゆらゆらと揺れ動く瞳は、今のこの状態を正しく認識して いるとは思えず、夢の中にでもいるかのようだ。たしかに、昨日までの軍服で戦艦内 を颯爽と闊歩していた自分の姿と、今の男の欲情にまみれた哀れな姿は乖離しすぎて いて、ではどちらがおかしいのかと問われれば、後者が現実でないと判断するのは当 然だろう。
「ふへへ、ザーメンの匂い嗅ぎすぎておかしくなっちまったか?」
「見ろよ、トロンとした顔しちゃってよ。こんな目に合わされても抵抗しないなんて 、大方毎日夜中に似たようなことをされるのを想像しながらマンズリこきまくってたに 違いねえや」
「良かったな、大尉さま。肉便器になるって夢がかなってよ。ギャハハハハッ」
 耳障りな嘲笑も、夢だと思えばただの戯れ言と受け流せる。むしろ、粘液のヌルヌルし た感触とこみあげる精臭の中で火照り始めた己の身を思えば、(このありえない事態を楽 しんでしまえ、どうせ夢なのだから)と頭の中で何かが囁く声に流されてしまいそうになる。
「さ、いつまでもボケッとしてもらっちゃ困るぜ、大尉殿。実験は始まったばかりなんだしな」
(…………じっ……けん…………?)
 男の放った『実験』という単語が、ぼんやりとしていたアヤの心をわずかに波打たせる 。その波紋は徐々に広がってゆき、それが脳にはっきりと認識された時、アヤはハッとし て目を見開いた。
(わ、わたしっ……)
 霞がかっていた頭が、ようやく働き出す。そう、自分は、実験のため、愛しい人の望む結果 を残すために、この場にいるのだ。
「うっ……」
 己の立場を自覚しなおす事は、アヤにとって果たして幸せな事であったのだろうか。 つい先ほどまでは好ましくすら感じられていた白濁液の粘ついた感触や鼻腔を侵食する精臭が 、急におぞましく感じてしまう。
「いっ……いやぁっ……」
 体の芯から襲いくる怖気に、思わず両手で肩を抱きしめる。が、その瞬間、ニチャリと嫌な 感触が手袋を通して両手の平に広がる。慌てて肩から両手を離し己の掌を見つめると、そこ は白く濁った液体にまみれていた。
「ひ……ひぃ……」
 事態を把握しきれず、理性が悲鳴をあげる。思考回路が焼き切れ、腹の奥底から叫びが湧き 上がってきた、その瞬間。
「おいっ!」
 男の大きな手がアヤの顎を掴み、グイと引き上げる。驚いて、湧き上がってきた叫びが喉を 再び戻っていく。
「アンタ、あの少佐のために実験に協力するって決めたんだろうが。俺らのチンポから百発ザ ーメン搾り取るって実験をよ。一回ブッかけられたくらいで放心してる場合じゃねえんじゃ ねえのか?」
「ぁ……ぁぁ……」
 ……そう。これは、イングラム少佐が望んだ事。ならば、私はその想いに応えるだけ。
 アヤは一つ大きく深呼吸し、気持ちを落ち着かせる。大量に精臭を吸い込むことになり思わず眉をひそめたが、それでも幾分か落ち着きを取り戻すことができた。
「取り乱してしまって、ごめんなさい……実験を、続けてください」
(ほう……)
 男は感心して目を細める。暴れたら力ずくで取り押さえるつもりだったが、その必要もないようだ。
(さすがは大尉ってことか……それとも、あの少佐ってえのにそれだけ思い入れが強いのか。ま、どっちにしろ素直になってくれた方がこっちもやりやすいからな)
 放心でも怯えでもなく、しっかりと力を取り戻したアヤの瞳を見て、ニヤリと笑みを浮かべた。
「それじゃ、続きといこうかい。実験の手順やら方法はこっちに一任されてるからな。アンタはただ言う事を聞いてればいいだけさ。簡単だろう」
「……そうね」
 冷静を装ってはいるものの、アヤは内心動揺していた。最初の射精でさえ、全身しゃぶりまわされながら体にブチ撒けられる、という変質的な行為だった。あと一人あたりに九回の射精。この先、どんなおぞましい行為を強要されるのだろうか。
 とはいえ、仮にアヤが主導権を握ったとしても、自分で思いつきそうな行為といえば手淫か口淫、性交くらいのもの。できることなら性交は避けたいし、かといってあと三時間弱の間に手淫と口淫のみで九十回も射精させる自信など、あるはずもない。
 幸い今のところ男たちは実験に協力的であるため、彼らに任せていた方が良い結果を導けそうな気がした。
「さて、まずは」
 男は股間にぶら下げた肉棒を、アヤの顔の前にグイと突き出した。
「やっ、な、なに?」
 いくら覚悟を決めたとはいえ、それで完全に嫌悪感が拭いされる訳でもなく。半勃起状態の大きな肉の塊を突きつけられ、アヤは思わず顔を背ける。
「おいおい、そう嫌がるなよ。これからアンタにはコイツとたっぷり仲良くしてもらわなきゃいけねえんだからよ。おう、お前らも大尉殿に見せてやれや」
 男たちは一様に頷くと、各々イチモツを手で弄びながらアヤへ近寄ってくる。当然アヤの前方だけで十人もの男が収まりきるはずもなく、結局アヤを取り囲むように十人の男がグルリと円を描いて取り囲む。
「ちょ、ちょっと、やだっ」
 目のやり場に困り、俯いてしまうアヤ。顔を上げれば視線をどこに向けようと肉棒が目に飛び込んでくるのだから、そうするより仕方がない。が、当然俯いているだけでこの場が収まる訳はなかった。
「さて、大尉殿。アンタはこれから一人あたり九発はヌかなきゃならねえんだ。いきなり手や口使っても疲れちまうだろう。だから今から俺たちが自分でシゴいてやるよ。アンタはそこに座ってりゃいい」
 思いもかけない男の申し出に、アヤは思わず顔を上げる。が、視界いっぱいに男の肉棒が映し出されて慌ててまた俯いた。
 アヤにとっては願ってもない申し出だった。自分の手を汚さずとも男たちが射精してくれるのなら、それに越した事はない。
 ホッとするアヤとは反対に、当然他の男たちからは不満の声があがる。それを「まあ聞けよ」となだめてから、男は続けて言った。
「ただし、俺達だってガキじゃねえ。ただチンポシゴいてたって勃つってほど若くもないからな。アンタには俺達のオカズになってもらうぜ」
「お、オカズ?」
 男達から歓声があがる。美人大尉の痴態を想像し、その視線がいっそうギラつく。剥き出しの肌にチリチリと焼けるような痛痒い刺激を感じる。中にはそれだけで鎌首をもたげる肉棒すらあった。
「……わ、私……どうすればいいの」
 オカズになれ、と言われても具体的なイメージは脳裏に浮かび上がってこないため、アヤは尋ねるしかない。
男はニヤニヤと笑みを浮かべながら言った。
「見かけによらずおぼこの大尉殿だ。ピンとこないかも無理ねえか。……そうだな、俺が質問をするから、アンタはそれに答えて、復唱する。これなら簡単だろ」
「え、ええ……」
 アヤは不安に瞳を揺らめかせながら頷く。何か裏があるのは間違いないが、口答えしようものならもっととんでもないことになりかねない。
「よーし、んじゃ、まずは。アヤ大尉。アンタ、男のチンポは好きかい?」
「なっ!?」
 ぶしつけにとんでもない事を聞かれ、アヤの頭が跳ね上がる。が、目の前でブラブラしている肉棒を見て真っ赤になって再びうなだれ、だがきっぱりと答えた。
「そ、そんなモノ好きなはずないでしょう! なんてこと言うのよっ」
 当然と言えば当然の答えに、しかし男はニヤニヤ笑いをやめずに言う。
「おいおい大尉殿、今ので俺のチンポがガックリきて縮んじまったぜ。こんな調子じゃ時間内に間に合わねえな」
「そ、そんな……でも……」
「もっと大尉がエロい事を言ってくれりゃ、ビンビンにおっ勃つと思うんだがなぁ。なぁお前ら」
 周りの男達も、いやらしい笑みを顔に貼りつけながらはやし立てる。
「クッ……」
 アヤは思わず唇を噛んだ。これは質問などではなく、誘導だ。卑猥な言葉を言わせ、その様を楽しもうというのか。体だけの陵辱では飽き足らず、心すら犯そうとするそのやり口に、悔しさのあまり涙がこみあげそうになる。が、彼らにその権限を与えたのは、他ならぬアヤが愛したその人であった。
「…………好きよ」
「ん? なんだって? よく聞き取れなかったな」
「……好きだっていったの」
「おい。ちゃんと話を聞いてたのか? 俺は『復唱しろ』って言ったよな。ちゃんと言えよ。チンポが大好きだ、ってよ」
「くぅぅっ…………」
 アヤはギリギリと歯ぎしりした。どうして、こんなゲスな男達のいい様に弄ばれなければならないのか。こんな事に何の意味があるというのか。少佐はいったい何を考えているのだろう。
「なんだよ。自分でやるって言ったくせに、こんな簡単な事もできねえのか? もういいぜ、時間のムダだ。アンタの愛しい少佐には、『廃棄処分に相応しい役立たず』だったって報告しておいてやるよ」
「や、やめてっ!」
 思わず叫んでいた。他の者にどう思われても、少佐には、少佐にだけは、見捨てられたくない。
「わ、私は……チンポが、大好き、です……」
「そんな棒読みじゃピクリともこねえぜ。もっと感情入れてくれよ。大好きなんだろ?」
(ちょ、調子にのってっ!)
 それでもアヤは意を決し、顔の前でブラブラしている肉棒をひっ掴むと、自分の頬になすりつけながら言った。
「ア、アヤは、チンポが大好きなの……頬擦りしたくなっちゃうくらい、チンポが愛しくてたまらないの……」
 目尻には悔し涙がたまっていたが、それでもはっきりと言い切った。少佐に捨てられたくない。そのためなら、どうせこの場限り、あさましい痴女の真似事だってしてみせる。
 どういえば男達を喜ばせられるのかはよくはわからないが、それでもアヤは精一杯、思いついたはしたないセリフを言ってみた。幸い、男達には好評だったようで、歓声が上がる。肉棒を頬擦りされた男も、表情がすっかり緩んでいた。
「へへ、やればできるじゃねえか。そうか、大尉殿は頬擦りするほどチンポが大好きか」
 改めてそう指摘され、恥ずかしくて顔から火が噴き出そうになる。それでも、ここで口答えすれば堂堂巡りで一向に話が進まない。アヤは精一杯の笑顔を作り、おもねるように言葉を継ぐ。
「そうよ……アヤは、チンポが大好き、なんだから……」
(うう……どうしてこんなに熱いの……手袋越しに握っただけでも熱いわ……頬にも、まだ熱が残ってて、焼け落ちちゃいそう……それに、ひどいニオイ……頭、クラクラしてくる……)
 肉棒から頬へと移された熱はあっという間に全身へ伝わり、怒りで忘れていた、薬によって生み出された体の奥底の熱も再び呼び起こされる。全身を駆け巡る血液は熱く沸き立ち、呼吸も荒くなる。
「どうやら本心かららしいな。すっかり表情が蕩けちまってるぜ」
「そ、そんな事! …………ううん、その通りよ……アヤ、チンポを顔に擦り付けて、うっとりしてるの……」
 反論を飲み込んで、再び淫らに振舞う。手に入れた『演技』というタテマエは、アヤをどんどん大胆にさせる。いつの間にか、肉棒を握る手はシュコシュコと上下運動を始めていた。
「おっとっと、そいつは先走り過ぎだぜ、大尉殿」
「あんっ」
 男はアヤの手から肉棒を引き離してニタリと笑う。
(わ、私ったら……なんてことしてるのよ……)
 顔から熱が引いた瞬間、忘れ去っていた羞恥がぶり返ってきて、今度は違う意味で顔が熱くなった。が、先程までとは違い、視線は肉棒に絡みついたままだ。
「なあ大尉、アンタはどんなチンポが好みなんだ?」
 積極的に振舞うアヤに調子に乗ったのか、別の男が自分で肉棒をシゴキ立てながらアヤに問い掛ける。
「ど、どんなって……ええと……」
 積極的になったとはいえ、元来の知識の範疇にないものを生み出すのは難しすぎる。アヤが答えに窮していると、
「そりゃお前、ブッといチンポが好きに決まってるじゃねえか。それでギチギチに広がった膣穴抉られるのがたまんないんだろ。なあ」
「ぶ、ブッとい、チンポ……ギチギチ……」
「いやいや、やっぱ固さだろ。ガチガチの固いので膣壁ゴリゴリ削がれる方がいいよな」
「ガチガチので……ゴリゴリ……」
「それともあれか。長いので子宮をガンガン叩きつけられる方がいいか」
「子宮……ガンガン……」
 好き勝手な事をのたまう男達と、オウムのように耳に入ってきた言葉を繰り返しては艶かしく息を吐くアヤ。自ら言葉にすることで、様々な肉棒に秘裂を突かれてよがり泣く自分の姿が頭の中に浮かび上がる。
「おいアヤちゃんよ。結局どんなチンポが好みなんだ? 教えてくれよ」
 男達の熱気と立ちこめる精臭、鼓膜を揺さぶる卑語の嵐の前に、ただただ目尻をトロンと下げてポウッとなっていたアヤは、急に矛先を向けられて整理する間もなく耳を侵食した卑語を今度は唇から紡いでいく。
「ぁぁ…………す、好きよ……どんなチンポも好き…………おっきいのも、固いのも、長いのも……反り返ってるのも、カリブトなのも、恥垢がこびりついてるのも、ザーメン臭いのも……全部、全部好き……」
 『アヤちゃん』などと馴れ馴れしく呼ばれた事も意に介さず、陶然としながら淫ら極まりない告白をするアヤに、男達の肉棒は皆一様に完全に反り返っていた。

前のページへ戻る 次のページへ進む 小説TOPへ戻る  TOPへ戻る