「ちゅ、中尉?何してるんです?」
「何って、朝のご奉仕に決まってるだろ、ご主人様」
 下半身がなんだか心地よくて目を覚ますと、そこにはラッセルの反り返っている肉棒にペロペロと舌を這わす、メイドルックを着込んだカチーナの姿があった。美しい金の髪が揺れるたび、カチューシャの白いフリルがヒラヒラと揺れる。しかし、清楚なメイドルックと挑発的な視線、ご主人様という言葉とぶっきらぼうな口調、全てがかみ合わないような印象を受ける。
「ご、ご主人様って、いったいなんの冗談ですか」
「冗談も何も、これがアタシの仕事じゃないか。朝イチの奉仕で、ご主人様の濃いのたっぷり出してもらわないと。ほら、こんなのどうだ?」
 楽しそうに笑いながら、メイド姿のカチーナは肉棒をパクリと咥え、口をすぼめてジュルジュルと吸い上げる。
「うあ、すごい、もう出そうだ」
「ヘヘ、いいぜ、アタシの口にぶちまけなよ……ジュジュッ、ズブブッ……濃いの全部飲み干してやるから、ホラ……ズジュジュッ」
「くあ、で、でるっ」
 ゴツッ。
「ぐあっ」
 急におでこを襲った衝撃に、思わずのけぞってラッセルは呻いた。瞼の裏で星が散っている。目を開けると、そこにはすでにメイドルックの上官はおらず、目隠しをされた女性の顔のドアップがあった。
「イッテェ……」
 女性は顔をゆがめながら呻きを漏らす。どうやらラッセルのおでこと女性の頭がぶつかったらしい。
「あ、あれっ。中尉?」
「オ、オマエ、ラッセルだよな」
「はぁ、そうですが」
「このバカヤロウ!早くそこどきやがれっ」
 まだ状況を把握しきれていないラッセルを尻目に、カチーナは首をブンブン振りながら全身を暴れさせている。が、ラッセルの体の下敷きになっていて、自由に動かすこともできないようだった。
それもそのはず、中心部をラッセルのそそり立つ剛直に縫いとめられ、どんなに暴れても腰を離すことができない。その上、下半身を暴れさせるとすなわち自らラッセルの剛直に肉襞をするつける格好になってしまい、知らず発生する快感の前に腰砕けになり抵抗がやむ。その繰り返しだった。
目隠しをされ、腕も拘束され、大きな体にのしかかられ、途方にくれたカチーナはしょうがなく目の前の姿の見えない人物に頭突きをかました、というわけだ。
「えっと……」
 起き抜けであること、そして下半身にユルユルわきあがる感触の心地よさもあり、ラッセルはカチーナの命令を把握するのに時間がかかった。
「……あ」
 そこでラッセルはようやく思い出した。昨晩、突然部屋を訪れた、艶やかな姿をした上官。どういう流れかははっきりとは覚えていないが、いつの間にか体を重ねて、そのまま眠ってしまったのだった。今考えても夢としか思えないような光景。
 ……もしかすると、「今」もまた夢なのではないか?先ほどのメイド姿のカチーナの夢もあるし、もしやずっと淫夢を見ているのか。
「何ボケッとしてんだよっ。早くどけって言ってんだろっ」
 カチーナがまたジタバタ体を揺すり、数瞬後、また大人しくなった。わずかながらも吐息に熱っぽさが含まれている。股間を甘い痺れが走る。そうだ、どうせ夢ならば……
「イヤです。どきませんよ」
「なんだとっ。テメェ、どういうつも、ふぐっ」
 くってかかるカチーナの唇を、ラッセルの唇が塞ぐ。舌をねじこみ口内をネチャネチャと舐め回すと、カチーナの抵抗がやんだ。自分から積極的に舌を絡めてこそこないものの、 蹂躙されるままに任せていることを考えると、その行為を受け入れていると見られても仕方がない。
たっぷりと口内を味わいつくすと、ゆっくりと唇を離す。唇の間に銀の糸がかかり、やがて重力に負けプツリと切れると、カチーナの下唇にペトリと付着した。
「……何のつもりだよ」
 目隠しの上からのためわからないが、声音から怒気をはらんでいることはわかる。が、夢だと思ってしまえば、そのような仕草も愛らしささえ感じてしまう。
「中尉の中、気持ちいいですからね。まだ抜きたくないですよ。それにほら、今もキュキュッて締めつけてる」
 カチーナは真っ赤になり、顔を背けた。
「このド変態のサディスト野郎め。散々恥ずかしいこと言わせやがって、オマエがそんなヤツだとは思わなかったぜ」
「俺も、中尉がこんなにかわいらしい女性だなんて、気づきませんでした」
「く、このやろうっ、むぐっ」
 また暴れだしそうになったカチーナの、先手を打って唇を塞ぐ。面白いように、カチーナは抵抗をやめ、されるがままになった。
「これから中尉にムリを言われたら、唇を塞ぐようにしましょうか」
「ざけんな、バカ」
 カチーナはプイと顔を背けた。
「中尉、もう一度しましょうか」
 ラッセルが腰をクイクイと揺する。顔を背けたまま、カチーナはボソリと呟く。 「イヤだっつっても、ヤル気なんだろ」
「もちろん。こんなかわいい中尉、今度いつお目にかかれるかわからないですし。それに中尉のココも、やめてほしくないって言ってますから」
「あうっ」
 軽く腰を突き上げながら人差し指で肉真珠を軽く弾いてやると、かわいく喘いでピンクと反応する。
「……もう好きにしろよ。ただ、その前に目隠しと縄ほどいてくれ」
「いきなり殴りかかってこないでしょうね?」
「もうそんな気力も体力もねぇよ」
 頬をブスッと膨らませるカチーナの横顔に苦笑しながら、ラッセルは体は密着させたまま目隠しと後ろ手に縛っている縄を解いた。しばらく眩しそうに目を瞬かせていたが、部屋の明かりに慣れると、ラッセルの顔を見てニヤリと笑みを見せた。
「バカが。縄解きやがったな」
「げっ」
 カチーナの両手が、ラッセルの顔に伸びる。反射的に、思わず目を閉じる。
「むぐっ」
 てっきり横面を殴り飛ばされるのかと思ったが、その手はガッチリとラッセルの頭を掴むと、自分の顔のそばにグイと引き寄せ、唇を重ねてきた。最初は目を白黒されたものの、口の中で暴れまわる舌に応えるように、ラッセルもまた舌を絡めた。
 ブチャブチャと涎をまき散らしながら舌をベロベロ重ねあう。たっぷり数分たったあと、カチーナはようやくラッセルの頭を離した。
「好き勝手アタシのこと嬲りやがって……お返しだぜ」
 ニヤリと笑みをみせるカチーナ。ラッセルはなんだか無性に愛しく感じられて、女性としては逞しい、でも自分と比べれば遥かに華奢なその体を抱きしめた。
「……中尉、一つ聞いてもいいでしょうか」
「ん?」
「なんで、俺の所に来たんですか。この艦には他にも男は大勢いるのに」
「……さてな。アタシもよくわかんねぇよ。ただ」
「ただ?」
「最初に浮かんだのがオマエの顔だった。そんだけ。……勘違いすんなよ」
「はい」
 照れくさそうに言うカチーナに、ラッセルは微笑み返した。と、急にカチーナの肉壷が収縮し始めた。
「そう言えば、さっきからずっと入れっぱなしだったんだっけ」
「動いても、いいですか?」
「ああ。……あ、そうだ。敬語使うなって、言っただろ。今度はちゃんと顔見ながら、名前呼んでしてくれよ」
「……わかったよ、カチーナ」
 二人の唇が、今度は軽く、触れ合った。

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