光の届かぬ漆黒の闇に覆われた一室。その片隅に、儚くぼうっと光る塊。漏れ聞こえる小さな吐息と呻きが、それがただの肉塊ではなく、弱々しくもいまだ魂を宿らせている事を示す。光を放つのは、その肉……少女の身に纏った布地。本来華やかな場にこそふさわしい、太陽の光を思わせるオレンジ色の蛍光色。それが闇に覆われくすんでゆく様は、これまでの少女の光り輝いた人生が闇に覆われてゆく事を暗示している様でもあった。

『麗子の乳首は、いつもピンピンに勃起しています。麗子は露出マゾだから、ピチピチのボディコンを着て人前に出ると、興奮して乳首が立っちゃうんです』
(露出マゾ……乳首が立っちゃう……)
 無意識に、ひとみは送り込まれる淫靡な言葉を反芻する。そこに意思はない。そうせざるをえないのだ。体の自由も、視界も声も封じられ、数少ない自由であるはずの聴覚は絶えず淫音と嬌声に晒され続けている。その声が不快感を伴う物であれば、あるいは抵抗も出来たろう。だが、その淫獄の旋律を奏でるのは、ひとみの憧れの女性。逃れられようはずもない。
 ひとみの意識は、脳裏に直接流し込まれる淫靡な独白に導かれるように、両の乳首に集中していく。
『見て下さい、いやらしくピンピンに尖った、麗子のエロい勃起乳首。布地の上からもはっきりわかるくらい、スケベにおっ立ってます』
(勃起乳首……どスケベにおっ立ってる……)
 麗子の言う通り、ひとみの乳首は痛いほどビクビクとそそり立ち、布地の裏を擦り付けている。それはつまり、麗子と同じで、ひとみもまた露出マゾであるという証明に他ならない。
 ひとみの意識が乳首に集中したのを見計らったように、両乳首をきつく挟んでいたクリップの振動が一際強くなる。
「ひゅぐっ、ふ、ふごぉっ」
『あひいっ。乳首乱暴に摘まんで、ひねって、噛み潰してっ。乱暴にイジめられるの好きっ。麗子のマゾ乳首、イジめられて喜んでますっ。変態乳首、すごく痛いのに、熱くなって、感じまくってますぅっ』
(乳首スゴイッ、キツイィッ。痛いの、熱いのっ。……痛いから、熱いから……喜んでるの、感じちゃってるのぉっ)
 乱暴に乳首を責められ痛みを覚えているのは、確かに自分の体。だが、麗子の言葉に流され、それは喜びであり快楽であると、間違った認識を植えつけられる。一切を遮断され、麗子の言葉だけが真実であるこの世界では、そこに疑いを持つことは許されない。疑う事すら思いつかぬほど、麗子の言葉にひとみの全てが埋め尽くされてゆく。
『スケベ乳首攻められて、麗子のマゾマンコもグチョグチョです。短いボディコンスカートをめくられたら、スケベパンティにビキビキに勃起したクリとパックリ開いたエロマンコがクッキリ浮かび上がってるのがバレてしまいますっ』
(勃起クリ……グチョグチョエロマンコ……)
 麗子の言葉に再び誘導され、ひとみの意識は己の秘所へ向かう。そこが平静を保っていたのなら、或いは自分を取り戻す事が出来たかもしれない。だが、そこには麗子の言葉を証明するように、卑猥にそそり立った肉芽と淫液に塗れてほころんだ秘唇が布地に張り付く奇妙な感覚が広がっていた。
『もうダメですっ。麗子、イキたいのっ。お願いです。何でもしますから、クリトリスでイカせてください。どんな変態ご奉仕もいたしますから、麗子の勃起スケベクリをイカせてくださ、あひいーーーっ』
「ふんぐぅーーーーっっ」
 麗子の懇願は半ばのうちに絶叫にかき消され、同時にひとみの股間で快楽が爆ぜる。肉芽を挟みこむクリップが、蠕動しながらブルブル震える。
『あへぇーーっ、ありがとうございます、ありがとうございますぅっ。麗子、クリアクメしてますっ、どスケベに絶頂してますぅっ。アクメできて、たまらなく嬉しいですぅっ、ふひぃーーーーーっっ』
「んくふぅーーーーーっ」
 麗子にシンクロするように、肉芽で絶頂を迎えたひとみ。ガクガクと体を震わせ、やがてその体はぐったりと沈み込む。だが、枷と鎖に戒められたその体は、無様な姿勢のまま吊り下がっていた。
「んふぅー……ひゅふぅー……」
 快楽の残り火に炙られながら、ひとみは荒く息を吐く。虚脱感にそのまま気を失いかけたひとみ。だが、場数が違うのか、ひとみが自分を取り戻すより早く麗子は立ち直り、休む間もなくひとみの次の行動を耳元で宣言してしまう。
『どスケベ麗子にアクメさせていただいて、ありがとうございました。お礼にお約束通り、麗子にチンポ奉仕させてください。まずは麗子のスケベな手コキマンコを心ゆくまで味わってください』
 絶頂の余韻に呆然としたまま、麗子の言葉をどこか遠く感じているひとみ。だが次の瞬間、ひとみは目隠しの下で目を大きく見開いた。手のひらに熱い塊が押し付けられたのだ。
「んっ、ふぐーっ」
 慌てて手のひらをブンブンと振り、熱い塊から逃れようとする。とはいえ、手首を戒められている以上稼動範囲は限りなく狭い。突き出されたままの肉棒に触れないよう、懸命に手首を反り返らせる様が哀れを誘う。
(そんな、いつの間にっ。い、いやあっ)
 ひとみは動転していた。視界を奪われているとはいえ、男達の接近に全く気付かなかった事に。そして次の瞬間、今の自分がどんな惨めな姿を晒しているのかに思い至る。
「んんっ、ふうぅーっ」
(見ないで、見ないでえーっ)
 蔑んだ目で見下ろしているであろう男達の視線からなんとか逃れようと、ひとみは闇雲に体を揺する。しかし、戒めは先程同様全く緩む事はなく、哀れな獲物が悶える様をただ男達に見せつけるだけだった。
「う、うう……ふうぅ……」
(いや……いやぁ……)
 逃れられない事実を思い知らされ、すでに枯れ果てたと思われたひとみの涙が、再び湧き出てアイマスクを濡らす。男達はそんな瞳を咎める事もなじる事もなく、ただ黙って見下ろしている。
 ふと、ひとみの頭が優しく撫でられる。その感触と仄かに漂う甘い匂いが、その手の主をひとみに想起させる。
(麗子さん……)
 暗闇の恐怖の中で感じられた、ただ一つの安らぎ。その恐怖をもたらしたのはそもそも誰なのか、などと考える心の余裕はなく、ただその安らぎにすがりつく様に、ひとみは頭を預けた。
 優しく何度も頭を撫でられ、ひとみは大分落ち着きを取り戻す。それを見計らい、麗子の手が離れ、ひとみの右手の甲に麗子の右手のひらが重なる。布同士が擦れる滑らかな感触。ひとみの頬の涙の後に熱く柔らかな唇の感触が触れた瞬間、再び脳裏に淫らな宣言がこだまする。
『これから麗子は心を込めて手コキ奉仕をさせていただきます。麗子の手の感触、手袋の感触、たくさん感じてください』
 その言葉に、ひとみは恐怖にビクンと体を震わせる。そんなひとみを落ち着かせるように唇が再び頬に触れ、そしてひとみの右手のひらが、被せられた麗子の手によりゆっくりと閉じられていく。
(イヤッ、熱いっ)
 右手に握りこまされた熱い肉の感触。その感触に嫌悪を示す前に、ひとみの心境に近いようで限りなく遠い麗子の心境が吐露される。
『ふああっ、オチンポ熱いですっ。手の中でビクビク震えて、ドクドク脈打って。とっても逞しくて、ドキドキしてしまいますっ』
 それはひとみの言葉ではない。だが、絶妙のタイミングで脳を震わせるその言葉は、ひとみの本当の気持ちを上から塗り潰す。
『麗子、オチンポニギニギしたい。熱いオチンポの感触、手のひらいっぱいに感じたいです。ご主人様にも、変態レースクイーン麗子のスケベな手マンの感触、たくさん味わっていやだきたいの』
(そんなことっ、)
 思ってないのに。そう思うより早く、麗子の手がひとみの手ごと肉棒をやわやわと握りこむ。感触、熱、それらをひとみ自身が好む好まざるを判別する前に、麗子によって価値観が定められていく。
『このオチンポの感触、たまらない。伝わってくる熱さも、私を発情させるの。オチンポ好き。オチンポ大好きっ。オチンポシコシコしてると、乳首がジンジン疼いちゃう。オマンコもジュンジュン濡れちゃいます。オチンポ、オチンポ。オチンポシコシコ、シコシコオチンポッ』
「ん……んふ……」
 すでにひとみにまともな思考能力はない。麗子のとめどない淫語の奔流に脳は侵食され、右手の感覚だけが研ぎ澄まされてイヤというほど熱さを受け止める。そして麗子の言葉通り、その熱は3つの敏感な突起へ伝播していく。それはある意味では自然だったが、ある意味では人為的である。右手の肉の蠕動にひとみの意識が集中している裏で、気付かれぬようにクリップバイブは小さく震え始めてそっと快楽を呼び起こし、今では初めからさもそうだったかのうようにブルブルと無遠慮に暴れてひとみの突起を責め嬲っていた。
『変態麗子は手コキで発情しています。手のひらが先走りでニチャニチャだから、麗子のオマンコもグチャグチャなんです。手コキマゾの麗子は、手のひらにドピュドピュザーメンぶっかけられたら、絶対にオマンコピクピクアクメしちゃうの。絶対なのっ』
(にちゃにちゃ、ぐちゃぐちゃ……どぴゅどぴゅ、ぴくぴく……)
 多くの事は考えられない。幼児のように、耳障りの良い擬音語がただ頭の中を漂う。
 いつの間にか、ひとみの手の中で肉棒の角度が変わる。球体を掴むように、膨れ上がった亀頭を握るひとみの手のひら。中心に鈴口を押し付けられ先走りをヌチャヌチャ塗り広げながら、親指と小指はカリ首をクニクニとこね回す。
 拙い指技ではあったが、指導が良いのか、男の欲望はすでに限界まで高まっていた。突つけば弾けそうなほど赤黒い亀頭はパンパンに膨らんでいる。
(熱い……熱い……あつい、あついあつい……)
 手のひら、そして乳首とクリトリスが獣欲に燃え上がる。ひとみの倒錯した快楽も、頂点を迎えようとしていた。
『ああっ、麗子、もうすぐイッちゃいそうです。乳首が熱い、オマンコが熱いっ。変態麗子は手コキでイッちゃう、マゾ肉人形麗子はザーメンでお手々をドロドロにされてアクメしちゃうのっ』
 ひとみの手に重ねられた麗子の手も、発情してどうしようもなく熱を帯びているのが手袋越しでもはっきりわかる。直接握り熱を感じていなくても、言葉通り麗子の絶頂は男の射精に連動しているのだ。発情した麗子の手は、肉棒を包む熱い蜜壷の様にひとみの手ごと男の肉棒をぎゅむぎゅむ揉みしだき快楽を貪る。
 やがて、肉棒がブルブルと一際大きく震える。それは訪れる絶頂の合図。
『はあぁんっ、イキそうなんですね、射精しそうなんですねっ。麗子のスケベ手マンコ奉仕で、ザーメンぶち撒けたくなるほど感じてくださってるんですね。嬉しいっ。遠慮しないで出してください。麗子のスケベな手のひらを、ザーメンでドロドロに染め抜いてっ。麗子もイキます、アクメしますからっ』
 葡萄粒ほどに肥大化したひとみの乳首と肉芽にきつく噛み付いたクリップが、噛み千切らんばかりに縦横無尽に暴れ狂い、痛みと、それを覆い潰さんばかりの熱を沸き起こす。
『ザーメン出してっ、アクメさせてっ、ドピュドピュして、イカせてっ、ぶち撒けてっ、狂わせてぇっ』
 麗子もすでに余裕はない。射精による絶頂を求め、狂ったように淫語を撒き散らす。
『チンポ、チンポッ、ザーメン、ドピュドピュ、イクイク、ザーメンイクッ、オマンコイクッ、ドピュドピュイクゥッ』
 そして、手の中の快楽の実が、爆ぜた。
 ドピュッ、ビュクビュクッ、ブビュビュウゥッ。
『あひいぃぃぃーーーーーーっっ』
「ふごほおぉーーーーーーーっっ」
 ひとみの手のひらを子宮に見立て、灼熱の飛沫が何度も何度も打ち込まれる。快楽の銃撃に晒されているのは右手だけだというのに、ひとみの全身がガクガクと翻弄される。
『出されてる、射精されてるっ。イクッ、イクゥッ。ザーメンでイクッ、射精でオマンコイクゥッ』
(イク、イクゥッ……ザーメン、イクゥッ……)
 初めてその手に肉棒を握った少女は、憧れの女性の手により、射精を手に受けるだけで絶頂を迎える変態マゾへと作り変えられてしまった。
『ああ、熱い……手がオマンコみたいに熱いです……中だしレイプされたオマンコみたいに、ザーメンでドロドログチャグチャに汚されたお手々がキモチイイの……』
(キモチイイ……ザーメン、グチャグチャ……キモチイイィ……)
 握りこまされていた亀頭がゆっくりと離れる。重力に引かれ半分以上は垂れ落ちたものの、粘度の高い白濁液はひとみの手のひらを中心にへばりつき、その明るいオレンジをどす黒くくすませる。それは、明るく美しいひとみの心にどす黒い澱がへばりついた瞬間であった。
『はあぁん、たっぷり、こってりザーメン。このグチュグチュネバネバが、たまらなく大好き。もっともっとグチュグチュニチャニチャ味わいたい。指先一本一本まで、ザーメンでドロドログチョグチョに染め抜かれたい……』
 耳元で囁く麗子の声と、響き渡るヌチャヌチャと淫靡な液体音。麗子の手がひとみに拳を作らせ、グチュグチュと手のひら全体に精液を馴染ませていく。手袋を通り抜け、直接肌に粘ついた感触が広がっていく。
 そんな嗜好はなかったはずなのに、気付けば憧れの人と同じように、汚された手のひらを擦り合わせる感触にひとみは肉唇をフルフルと震わせていたのだった。

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