「たっらいま〜♪」
そろそろ夜も更け始めた頃、ドンドンと乱暴にパールピアリの玄関を叩く音がした。不審に思ったにこらが恐る恐るドアを開けると、へべれけになった波音とかれんが折り重なるように転がり入ってきた。
「あ、貴方たち、なにやってるのっ」
「らってにこらが外で唄うなって言ったんじゃな〜い。ね〜」
「そーよぉ。らからカラオケボックスまで行ってきたんでしょ〜」
出かけた時の対立ムードはどこへやら、二人はお互い顔を見合わせてからケラケラと能天気に笑い合う。
「まさか、お酒飲んだの?」
「飲まないよ〜。未成年だも〜ん。ジュースだけだよ〜」
「そ〜そ〜。シュワシュワして美味しかったけどねぇ」
「……もう、貴方たちは」
一説には、マーメイドは炭酸飲料を飲むと酔っ払う、という逸話がある。にこらは玄関でだらしなく転がっている二人を見て、思わず頭を抱えた。
「にこらさ〜ん、どうしたんですかー。て、波音さん、かれんさんっ」
物音に気付いて玄関まで様子を見に来たペンギンのヒッポは、二人のだらしない姿を見て目を丸くした。
「何をやっているんですかお二人ともっ! マーメイドプリンセスともあろうお方がこんなはしたない……」
「うるさいわね〜。せっかく人がいい気分に浸ってるのに〜」
ヒッポのお説教を右から左に流す波音。と、かれんがヒッポを見て何か思いついたようにニヤリとした。
「ね、波音。結局決着つかなかったしさ、ヒッポに手伝ってもらいましょうよ」
「あ、それいいかも〜。いいわよね、ヒッポ」
「な、何の話ですかっ。それにまだ私のお話は終わってな……」
「い・い・わ・よ・ね?」
酔っ払いながらも、かれんが両の指をゴキゴキと鳴らす。その一瞬、かれんの長い巻き毛がオーラによって逆立ったようにヒッポには見えた。
「は、はいぃ……」
ヒッポは恐怖に顔を引きつらせながらブンブンと首を縦に振る。
「そ。んじゃ、後で男の子の姿で波音の部屋に来てちょうだい。波音、行くわよ〜」
「は〜い」
二人はフラフラと立ち上がると、肩を組みながらパールピアリの階段をヨロヨロ昇っていく。
「ちょっと二人とも。明日は出発なんだから早く寝なさいよ」
『ほ〜い』
振り返りもせずに気の抜けた返事をして手をヒラヒラと振る二人に、にこらは再び頭を抱えた。
「波音さん、かれんさん、来ましたけど〜」
ヒッポのもう一つの姿である、か細い美少年が、遠慮がちに波音の部屋をノックする。
『あいてるわよ〜』
二人の機嫌の良さそうな返事を聞いて、ヒッポはホッと胸を押さえ、ドアノブを回す。と、扉が開くやいないや、ヒッポは腕を掴まれて部屋の中に引きずりこまれた。
「な、なにするんですかお二人と、む〜」
「ちょっと黙ってなさい」
波音が後ろ手に扉を閉めている間に、かれんはどこから取り出したのかタオルでヒッポの口に猿轡をかませてから、ロープでヒッポをぐるぐる巻きにする。
「さあて……始めましょうか」
突然の展開に目に涙を浮かべながらおののくヒッポの前に、悠然と立ち塞がる二人。いつの間にか外出着からライブコスチュームへと変身していた。
「うふ、そんなに怯えなくていいのよ、ヒッポ」
波音がヒッポの両肩に手を置き、年の割に豊かな両胸をヒッポの背中に押し当てる。
「そうよ。こんなイイ女二人が天国に連れて行ってあげようっていうんだから、感謝しなさいよ」
かれんはヒッポの頭をかき抱き、自らの胸の谷間に埋めさせた。
「む、む〜、む〜っ」
呼吸を妨げられジタバタと暴れるヒッポだが、息苦しさからか次第に抵抗が小さくなっていく。乳肉に挟まれたまま上目遣いで見上げると、そこには艶かしい笑みを浮かべたかれんの顔があった。
「フン、なによヒッポ。嫌がってるフリしても、ここはもうこんなになってるわよ」
かれんは右膝をヒッポの股間にねじこみ、膝頭をグリグリと押し付ける。かれんの膝に、小さいながらも精一杯そそり立っている肉棒の感触が布越しに伝わる。
「あ〜。ヒッポ、たまってたんだ〜」
波音がヒッポの背中に円を描くように胸を押し付ける。柔らかな乳肉がコスチュームの中でムニュムニュと形を変える。
「ん? 波音のオッパイ押し付けられて、ますます大きくなったわよコレ。いつもは口うるさいくせに、本当は頭の中エロい事ばっかり考えてんじゃないの」
「そうなのヒッポ。いっつも私たちの事やらしー目で見てたの?」
ヒッポは慌てて首を振る。が、それは見ようによってはかれんの胸に顔を擦りつけているようにも見える。
「あんっ。そんなに胸の間で暴れないでよ。アンタ本当にオッパイ好きなのね」
「そういえばユーリは胸ちっちゃかったもんね。おっきいオッパイが恋しいんだ」
「むーっ!」
かつて愛した水妖・ユーリを引き合いに出され、怒ったように暴れるヒッポ。
「わわっ。ゴメンゴメン。ちっちゃいオッパイもいいよね、うん。ね、かれん」
「なんであたしに聞くの」
「だって漫画版じゃちっちゃかったし」
「……何の話よ。ま、いいわ。これだけ大きくなってれば問題ないでしょ。そろそろ始めるよ、波音」
「おっけー」
波音は背後からヒッポの腰に手を回すと、半ズボンのボタンを外しチャックを下げる。そして前にいたかれんが、パンツごと一気に半ズボンを引き摺り下ろした。
「む〜〜っ!」
羞恥の余りヒッポは目を固く閉じる。しかし、両腕ごと体を縛り上げられている為股間を隠す事はできず、二人の美少女の眼前に細身ではあるがかなりの長さを誇る一物が無防備に晒されてしまった。
「うわっ、ながーいっ」
「へえ。童顔の割にいいモノ持ってるじゃない」
かれんがデコピンの要領で一物を指で軽く弾くと、ヒッポはブルルッと体を震わせた。
「わわっ。触っちゃった」
「ん? 波音、コレ触った事ないの?」
かれんが亀頭にわずかにかかる皮部分を指先でなぞりながら尋ねる。手袋の布地が生み出す柔らかな刺激にピクピクと体をよじるヒッポには目もくれない。
「う、うん」
「うそっ。とっくに海月先生か渚君のモノ咥えこんでると思ってたわ」
「ちょっとっ。人を淫乱みたいに言わないでよっ」
「別にいいじゃない、好きな相手なら。アンタだってそういうこと想像したことあるでしょ」
恥ずかしさで頬を染めている波音とは対称的に、かれんは肉棒を弄びながら事も無げに言う。
「そ、それは……ある、けど……」
「ふうん。ねえ、どんなエロい事妄想してオナッてたの?」
「え? あ、えーっと……私のことはいいのっ!」
「あらら、恥ずかしがっちゃって。そんなんで勝負になるのかしら。ねえ、ヒッポ」
かれんは右手を動かしつづけたままヒッポに視線を向ける。当のヒッポは、不安気な表情を浮かべたままかれんの手によって引き起こされる快楽に耐えていた。
「ああ。そういえばアンタにはまだ説明してなかったわね。あたしたち、どっちが最高のマーメイドプリンセスなのか決着をつけようと思ってさ。でも、歌じゃ決着つかなかったのよね」
「かれんが唄ったら採点機壊れちゃったもんね」
「あれはあの機械が軟弱なのよ。でさ、やっぱあたしたちはプリンセスなわけだから、最高にイイ女ってことじゃない。ということは、オトコをよりメロメロにさせられた方が最強のマーメイドプリンセスってことになるわけよ」
ヒッポはかれんの物言いに大きな違和感を感じていたが、猿轡が邪魔でそれを口にすることもできない。
「あたしたちの回りで中立なオトコってアンタだけじゃない。一番無害っぽいし。だから協力してもらうわよ。アンタからより多く精液を搾り取った方が勝ち。いいわね」
「むーーっ!」
炭酸に酔った影響かとんでもないことを言い出したかれん。ユーリへの操もあり、ヒッポは激しく抗う。が、ただでさえ動きが制限されているのに加え文字通り急所を握られているのである。肉棒を握った手にギリギリと力を込められれば、大人しくするしかなかった。
「さて。ヒッポは協力してくれるってさ。じゃ、最初はどっちからにする?」
「え? わ、私、後でいいよ」
「いいの? 一発目の方が濃いのがいっぱい出てくるわよ。経験のない波音ちゃんには先の方が有利だと思うけど?」
かれんがからかうように言うと、波音は頬をプーッと膨らませた。
「いいのっ! ヒッポなんか私の魅力で一発KOなんだから、後で十分よ」
「あらそう。じゃ、お手本見せてあげるわ。いくわよ、ヒッポ」
かれんはヒッポを横たえると、肉棒を握った右手を軽く上下させながらその顔を覗き込む。
「ねえヒッポ。アンタ、マーメイドプリンセスの従者なんでしょ。それなのに、そのプリンセスに手コキされてこんなにチンポビンビンにしてるって、いったいどういうこと?」
かれんはヒッポを言葉でなじりながらも、手の動きを休めることはない。
「あれ、アンタなじられてるのにますますチンポおっきくなってきたわよ。いったい何考えてんの」
「むう〜」
ヒッポは湧き上がる快楽をなんとか抑えこもうとしたが、かれんの巧みな手の動き、そして全てを見透かすような瞳に心を射抜かれ、それも容易ではない。
「うわ、亀頭からドプドプエロい液が出てきたわ。あたしの手袋がヌチャヌチャ汚されちゃう。アクアレジーナ様から戴いた大事なコスチュームにエロいシミができちゃったらどうしよう」
口ではそう言うものの、表情には笑顔すら浮かべ、むしろその先走りを手のひらにまぶしていくようにこねくる。次々に溢れてくる先走りで肉棒全体、そして右手のひらをネトネトに汚した後、かれんは肉棒から手を離した。
「ああ、あたしの白い手袋がこんなにベッチョリ。やらしい匂いがプンプン漂ってくるわ」
ヒッポを見下ろしながら、かれんは大きく舌を出し手首から指先まで、手袋の上をネロリとゆっくり舐め上げる。
「んふああ……すごいわ……ヒッポの臭い先走りのせいであたしの頭の中までエロくされちゃいそう」
その淫靡に過ぎる様に当事者のヒッポだけでなく横で見ていた波音も思わず息を飲む。そんな波音の視線に気付いたか、かれんは人差し指でヒッポの亀頭の縦筋をなぞり、粘り気のある透明な液をたっぷりつけてからその人差し指を波音に向けた。
「ねえ波音。そんなに熱心に見つめてどうしたの。アンタも舐めたいの」
「わ、私はっ……そんな……」
「いいわよ、ほら。これは波音の分。あたしの指ごとしゃぶっちゃって」
「で、でも……」
「遠慮なんかしないで。ほら」
かれんは濡れた人差し指を波音の上唇に静かに乗せる。朱色の肉の上に淫靡な液体がヌチャリと広がり、立ち昇った匂いは波音の鼻腔を抜けた。
「ん、ふああ……はむ……」
鼻から進入した淫靡な匂いに脳裏を刺激されたか、意識せぬまま開かれた波音の唇は差し出された細い指先をパクリと咥えこむ。
「ん、んむ……ムチュ、チュ……チュル……」
指先に乗った分だけでなく、白い布に染み込んだ液体さえも舐めつくさんとばかりに、波音は指先をヌチュヌチュ吸いたてる。しばし目を閉じ指先に伝わる波音の舌の蠢く感触を堪能していたかれんだが、目を開くと、今度は指一本で波音の口を凌辱し始める。
「ふふ。やらしい舌。とろけそうに柔らかくてあったかい。こんなエロいお肉にチンポ咥えられたら、あっという間に爆発しちゃうわね」
「ふぶう……んむ、んは……はう、クチュ、ヌチョ……」
波音の口を淫らに褒めながら、かれんの指先は波音の口内をほじくり回す。舌を引っ掻き、内頬肉をこそぎ、歯茎や歯を撫でまわす。舌の裏側を指の腹で擽った後、かれんの指先は波音の口から抜き取られる。離したくないというかのように、波音の唇は抜かれた指を追ってキスを求めるかのように突き出されていた。
「あ〜あ。波音のえっちな涎のせいで、ますますネチョネチョになっちゃった」
かれんは波音の唾液によって濡れそぼった指先を鼻先に持っていきスンスンと匂いを嗅ぐと、口を開いてパクリと咥えこんだ。
「ああっ。な、舐めちゃった……」
「ううん……波音の唾、甘くて美味しい……はむ、ジュル……」
躊躇なしに自らの唾液がこってりとまぶされた指先を咥えて美味しそうに舐めしゃぶるかれんを、波音は熱い吐息を漏らしながら見つめる。初めて覚える不思議な興奮に、目元は朱に染まっていた。
「んふふ……」
かれんは咥えていた指先を引き抜くと、しばし放置されていたヒッポの肉棒の鈴口にそっとあてる。そしてそのまま裏筋を這わせるように、根元に向かってツツツと撫で下ろした。
「ん、む、んむんんんっ!」
弱点をじっくりといたぶるかれんの責めに、ヒッポは仰け反って悶える。
「どう? ヒッポ。あたしと波音の唾でエロチンポを虐められるのは。嬉しい?」
いったん根元を通り過ぎ玉袋の間まで下った指先は、今度は逆に鈴口へとゆっくり這い登ってゆく。唾液で湿った事によりわずかに固くなった指先の手袋の縫い目が、敏感な裏筋をくじいていく。
「む、むん……」
抗う事により訪れるであろうさらなる責めを恐れ、ヒッポはガクガクと首を縦に振る。その様子に満足したように、かれんは笑みを浮かべた。
「あら、素直じゃない。じゃあ、素直なヒッポにはご褒美を上げるわ。ユーリじゃ絶対にできないこと、してあげる」
かれんは肉棒から指を離すと、右手を胸元に持っていきコスチュームを掴むと一気に下へずり下げた。
「わっ」
波音が思わず驚きの声を上げる。解放された事を喜ぶかのように、まろび出た乳房はブルンブルンと揺れる。揺れが収まってもその形は崩れる事はなく、持ち主の性格を表すかのように大きな乳房は悠然と前にせりだしていた。
「すご……ロケットみたい」
乳房だけでなくプックリ膨らんだ乳輪も、ツンと尖った乳首までも前へ前へと突き出ている。重力などは気にもとめないその圧倒的な存在感に、ヒッポも波音も目が釘付けになる。
「どう。いい形でしょ。このオッパイでヒッポのエロいチンポ、シゴいてあげる」
乳房を下から持ち上げグニグニと揉みながら、かれんがヒッポの目を見下ろし宣言する。心に誓った人がありながらも、圧倒的なエロスを前に思わずヒッポは息を飲んだ。
かれんはヒッポを軽々と抱え上げ波音のベッドの淵に座らせると足を開かせ、自らは膝立ちになり掬い上げた胸でそそり立つ肉棒を挟みこんだ。
「んむぅっ」
その弾力に富んだ熱い肉の狭間に敏感な肉棒を埋められ、ヒッポは思わずうめく。
「んふふ……どう、あたしのお乳の感触は」
かれんが両手を軽く揺すると、その上に乗せられたたわわな乳肉がプルンプルンと揺れる。振動は肉棒にも伝わり、鈴口から先走りがピュルピュルと飛び散り、かれんの白い肌を汚す。
「さあて……天国に連れて行ってあげるわ」
かれんは口中で舌をモゴモゴと動かして唾液を作ると、亀頭の上でゆっくり口を開く。朱唇を伝い透明な液体がトロトロと垂らされ、すでに先走りに塗れていた肉棒をさらにいやらしく濡れ光らせる。
「ほら見て波音。汁塗れのグチュグチュチンポ。すごくエロいと思わない」
「う、うん……」
波音は鼓動が早くなっている胸を押さえながら、乳肉の間から顔を覗かせるテカッた亀頭を見つめる。まるで視線に晒されているのを喜ぶかのように、時折ピクンピクンと跳ねて見せた。
「滑りも良くなったし、このエロチンポこねくりまわしてあげるわ」
かれんは乳房を掬っていた手を一旦離し今度は両脇からギュッと押さえつける。両手を不規則に横から回すように動かすと、乳肉のうねりに巻き込まれ亀頭が乳房の間から見え隠れした。
グニッ、ムニモニッ、グニュグニュッ……。
「ん、むうう、んむむうーっ」
中味がみっちりと詰まったかれんの乳房は弾力に富んでいて、肉棒をあらゆる角度からギュムギュムと圧迫する。敏感な部位に受けるには大きすぎる、わずかに痛みすら混じる快楽にヒッポはたまらず声を上げた。
快楽に咽ぶヒッポの上気した顔を上目遣いに見上げながら、かれんはなおも乳房ごと肉棒をこねくりまわす。ぬめりがとれないように頃合いを見ては唾液を垂らす為、胸の谷間からヌチャヌチャと淫靡な音が漏れ聞こえる。
「ふふん、あたしの胸の気持ちよさはたっぷり堪能したかしら、ヒッポ」
勝ち誇ったように言うかれんに、ヒッポはたまらず何度も首を縦に振る。
「そうね。チンポもこんなにビキビキで、早くザーメンビュルビュル出したいって泣いてるもの。もうイキたくてたまらないんでしょ」
なおも首を振るヒッポ。圧倒的な快楽の前に捧げた操はどこかへ吹き飛び、今はただ射精する事しか考えられない。
「いいわ。イカせてあげる。エロチンポからくさぁいザーメン、いっぱいブチ撒けなさい。あたしの顔、ドロッドロに汚すのよ」
不規則に動いていた両腕は、いつの間にか下から上へずり上げるような規則正しいリズムを繰り返す。根元から肉幹、カリ首、そして亀頭の先と何度も柔肉に擦り上げられ、爆発寸前の真っ赤になった肉棒は幾本も血管が浮きビクビクと震えている。
「ほら、もう出るんでしょっ。プリンセスの従者のくせに、そのプリンセスをドロドロの臭い汁塗れにしたいんでしょうっ。さあ、ビンビンのグチュグチュエロチンポ、爆発させちゃいなっ!」
体全体を大きく動かしながら、何度も何度も乳房で肉棒を根元から先端までシゴキ立てる。ヒッポは上半身をベッドに倒し、腰を突き上げるようにして乳房による責めを肉棒全体で味わい尽くす。やがて、肉棒がブルルと最後のわななきを見せると、かれんは乳房の中で舞い踊る肉棒から目を離し波音の目を見つめる。
呼吸すら忘れて肉の躍動に目を奪われていた波音は、かれんの視線に絡め取られると、誘われるかのように自分でも意識せぬままおずおずと肉棒に手を伸ばす。伸ばされた指先が亀頭の先でパクパクと口を開く鈴口をくじいた瞬間、ヒッポの快楽が爆発した。
「んむうううーーっ!!」
「きゃっ」
細い肉棒から物凄い勢いで宙に向かって精液がドプンッドプンッと射ち出される。ヒッポはブリッジの態勢に体を仰け反らせ、下半身をカクカクと揺すりながら細い体のどこにそれほど溜め込んでいたのか次々に精液を噴出する。
「いや〜ん、なにこれ〜」
「あははっ、すごいわヒッポっ。くっさいネバネバがあたしの全身をドロドロに汚していくわっ」
突如始まった噴出に一瞬呆気に取られた波音は、大量の精液にドロドロに染め抜かれた右手を慌てて引っ込め、いまだ噴出をやめない肉棒を呆然と見つめている。波音の手に降り注いだ分以外の大部分の精液は、かれんの髪や胸、剥き出しになった胸にボタボタと降り注ぐ。嫌がる素振りも見せずに、かれんは楽しそうに笑いながら精液の雨を浴び続けた。
長い射精が終わると、かれんは肉棒を胸に挟んだまま目を閉じ、精液の匂いを堪能するようにゆっくりと鼻から息を吸い込んだ。
「ああ、オスの臭い匂いが体やコスチュームに染み付いちゃうわ。今度ミケルのみつかい達の前で変身したら、ザーメン臭い女だって思われるかも」
かれんがあまりにうっとりと心地よさそうな表情を浮かべている為、波音もつい精液に塗れた己の手の匂いを嗅いでしまうが、そのむせ返るようなオス臭に思わず咳込んでしまった。しかしそれは決して嫌な匂いではなく、鼻の奥にジンと甘い痺れが残る。
かれんはしばし立ち込めるオス臭を堪能すると、右手で体に付着した精液を掬い取っては、口元に運び始めた。
「あむっ……んふあ……すごい味」
「か、かれん……汚くないの」
平気な顔で精液を口にし続けるかれんに、波音が恐る恐る尋ねる。
「汚くなんかないわよ。オスがあたしという最高の女に欲情した証だもの。波音も飲んでみれば」
指で掬うのが煩わしくなったのか、右手で皿を作ると精液をかき集め、ズズズと音を立てて飲み干す。波音に見せつけるように、わざと口を開いてクチャクチャといやらしい咀嚼音を響かせながら精液を味わう。
五月蝿いほど心臓がドキドキと脈打つ中、波音は淫らに精を食すかれんと白濁にべったりと染め抜かれた右手を交互に見比べ、引き寄せられるように指を口に咥えてしまった。
「うええ……何よこれ。変な味……」
口いっぱいに広がるネチャネチャした食感と生臭い味に思わず眉をひそめるが、なぜか口を離せずにチュウチュウと指を吸いたてる波音。
「ん〜、んぐっ、ぷはっ……やるじゃないヒッポ。一発目とはいえこんなに沢山出るなんて思わなかったわ」
体に付着した精液はあらかた胃に収め、名残惜しむかのように様々な液体が染み込んでグチュグチュになっている右手の手袋をベロベロと舐め上げながら、かれんが話し掛ける。当のヒッポは脱力しきったように、窓の外をぼんやりと見つめながら荒い息を繰り返していた。
「さ、あたしの番はこれで終了。次はアンタの番よ、波音」
わずかに小さくなった肉棒を胸の谷間から解放して右手で握りなおすと、かれんは波音に向き直る。
「わ、私もやるのっ?」
「当たり前じゃない。勝負するんでしょ。あたしの不戦勝でいいならそれでも構わないけど。最高のマーメイドプリンセスはこのあたしってことね」
「ま、待ちなさいよっ。なによ、やってやるわよこのくらいっ」
勝ち誇ったようなかれんの顔にプライドを刺激されたのか、売り言葉に買い言葉、波音は肉棒に手を伸ばそうとする。が、その瞬間。
「もう……いい加減にしてくださーいっ!」
ヒッポの体が金色の光に包まれ、光が膨れ上がる。拘束していた布や縄はいずこかへ消え去り、光が収まるとそこには翼の生えた白馬が現れた。それこそがペンギン・美少年に次ぐヒッポのもう一つの姿、神獣ヒポカンポスである。その水棲生物のような尻尾の形状が、ただの馬でない事を表している。
「うわっ」
「デカッ!」
だが二人が驚いたのは、ヒッポが変身して脱出した事よりもその股間で隆々とそそり立つ人間の腕ほどもある剛直にだった。
「うう、マーメイドプリンセスともあろうお方が、酔った勢いとはいえこんな破廉恥な行為に及ぶなんて……私のユーリさんに誓った操をどうしてくれるんですか」
「うわ〜、ありえない大きさだよコレ」
「ふん、搾りがいがありそうじゃない」
「話を聞いてくださーいっ」
ヒッポの話など気にも留めず目の前にぶら下がる長大な剛直に心を奪われる二人。
「もういいですっ! ユーリさあ〜んっ」
泣きながら波音の部屋を飛び出そうとしたヒッポだが。
「ちょ、ちょっとヒッポ。私の部屋壊さないでよっ」
慌てて叫んだ波音の声に急停止し、ご丁寧に前足でベランダの窓を開けてから
「うう、ユーリさあーんっ!」
改めて窓の外へ翼をはためかせて飛び出していった。
「……いっちゃった」
「うん」
ヒッポの去ったベランダから涼しくなり始めた夏の終わりの風がゆるやかに流れ込んでくる。それは淫靡な雰囲気をも運び去ってしまったのか、毒気の抜かれた顔でかれんが呟いた。
「あーあ、なんか調子狂っちゃったわ。体はベトベトで気持ち悪いし、シャワー浴びて寝ちゃおう」
一つ伸びをして部屋を出ていこうとするかれん。その腕を波音は慌てて掴んだ。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよかれんっ。勝ち逃げする気?」
「そんなこと言ったって、勝負しようにもヒッポには逃げられたし方法がないじゃない」
「でもっ」
刺激的な光景を散々見せつけられて、このまま捨て置かれたのでは波音はこの夜をどう過ごして良いのかわからなかった。ガッチリと腕を掴む手に手を重ね、ニヤリと笑みを浮かべながらかれんが言う。
「なあに波音。アンタ、もう我慢できなくなっちゃってるわけ」
「っ!? ち、ちがうわよっ。ただ、このまま勝ち逃げされるのは……納得いかないのっ」
心の中を見透かされ、うろたえる波音。かれんは笑いを噛み殺しながら、波音の手を解く。
「いいわ、しっかり決着つけてあげる。ちょっと待ってな」
かれんが部屋を後にすると、波音はベッドに腰掛け、ぼんやりと湿った手袋に包まれた己の右手を見つめた。なぜあの時わざわざ引き止めたのか、かれんがこのまま戻ってこなかったらどうしようか、なんだかとても長い時間そんなことを考えていたような気がする。そんな波音の期待とも不安とも言えない思考の交錯を打ち破ったのは、ガチャリというドアの開く音だった。
「お待たせ。さあ波音、決着つけようじゃない」
かれんは右手で摘まんだ小さな巻貝を耳元で揺らして見せながら、ニヤリと微笑んだ。
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