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EVA・きっと沢山の冴えたやり方

・第十四話 レイ、心の向こうに・小鳥達の日常V   by 佐伯kouji 20021201
 注意:このパ−トは少し表現を緩やかにしていますがR指定です、14歳以下の方は全年齢版をお読みください。




私達の朝は、碇君の調理の音で始まる・・・

「・・・おはよう碇君・・・」
「おはよう綾波・・・アイカは?」

私は、眠けまなこで碇君に答える・・・
昨晩は久しぶりに、碇君に一杯可愛がって貰ったから、まだ眠いの・・・

「・・・多分寝てると思う・・・」
「シャワーの後で良いから、起こしてくれる・・・」
「・・・うん・・・」

私は全裸のまま制服と代えの下着を持って、ズルズル足を引きずながら洗面所へ入る、
そして服を置くとバスルームに入り、コックを捻って少し冷めためのシャワーを浴びた・・・

もうろうとした自分の意思が、ゆっくりと覚醒して行く・・・
シャワーを浴びる私の姿が、少し湯気で煙った姿見に写る・・・

白い肌の上を舐める様に、お湯が膜を作り滑って行く・・・
両の形の良い乳房から、お湯を浴びた乳首がちょっと上を向いてとがる・・・
うふふ・・貴方も気持ちが良いのね・・・私は微笑んだ・・・

「・・・はあんっ・・・」

私の手は、ゆっくり体の曲線に沿って、下腹部へとシャワーの水流を滑らせる・・・
お湯はおへそを叩き、あそこの飾毛をそよがせる・・・まだ、昨晩の碇君の感触が少し残ってる・・・

「・・・ん、んんっ・・・」

私は指で、碇君の物を受け入れたそこを念入りに洗う・・・
・・・もうすぐ、アスカが日本へやってくる・・・

「・・・アスカ・・・もうすぐ会えるわ・・・」

彼女が、すぐに私達のアスカを受け入れるかどうか分からない・・・
でも、もうすぐ私が碇君を独占できなくなると思うと・・・ちょっと寂しい・・・
それでも、私達のアスカが居ないのもいや・・・

「・・・ふうっ・・・きっと、私は欲張りなのね・・・」

私はシャワーを止めると、胸の谷間に細い指を這わせる・・・
私の白い肌に、くっきりと残された少し赤みを帯びたキスマーク・・・

「・・・碇君・・・クスクス・・・」

私は昨日の晩、碇君に頼んで、最初の日の様に私の体に印を刻んでもらった・・・
これは私と碇君との契約の印・・・これを見ていると体中が暖かくなる・・・

「・・・アイカ・・・起さないと・・・」

いけないトリップしてて、アイカを忘れていた・・・大急ぎでバスタオルで体を拭って、
新しい下着を穿き制服を身にまとうと、急いでアイカの部屋へ向かう・・・

いまでは、私達三人は一応、別々のベットで寝ている、私もアイカも、
ほとんど悪夢を見なくなった・・・

ただ、おかしいのは、私はアイカになって小学校で遊ぶ夢、
アイカは私になって碇君とデートする夢を見るそうだ・・・
私はドアを開けると、ベッドで寝ているアイカを揺さぶる。

「・・・アイカ・・・起きて・・・」
「・・・あ・・・うっ、レイお姉ちゃん?・・・」

私達はもともと、一つの魂を持ってるから、
何処かで、繋がっているのかも知れない・・・
でも、私が碇君に可愛がられている、夢を見ないと良いのだけど・・・
それは、さすがに、まだアイカには早すぎるから・・・

「・・・早く起きないと・・・お友達が来るわ・・・」
「はぅ、たいへんだっ・・・」

アイカは私と違って目覚めが早い、元気良くパタパタ駆け回って
身支度を整えていく、私は少しの間そんな姿を好ましく見ていた・・・
そして、静かに戸を締めると、碇君の手伝いをする為にキッチンへ帰る・・・

「・・・碇君、お皿並べて良い?・・・」
「うん、頼むよ綾波、トーストもそろそろ焼けるころだから」

可愛い音と共に、トースターからトーストが二枚飛び出す・・・
私はそれを皿に乗せると、もう一枚取り出してトースターに掛ける・・・
焼きたてのトーストの、香ばしい良い匂いが漂う・・・

「・・・碇君・・・ジャムが良い、それともバター?・・・
「綾波、バターで頼めるかな・・・」
「・・・うん、分かった・・・

私は、大の甘い物好きのアイカの為にトーストにジャムを塗った後、
碇君の為にバターをトーストへ塗り残しの無いよう丹念に塗る・・・

「・・・クスクス・・・」
「ご機嫌だね、綾波・・・」

フフッ、今日は碇君の、トーストへバターが綺麗に塗れたのでとても嬉しい・・・
丁度塗り終わると、三枚目のトーストが焼きあがった、これは私のだ・・・
これにも同じ様にバターを塗る・・・碇君が、ベーコンとスクランブルエッグ、
そしてサラダを皿にもり、ポタージュスープを取り分ける・・・

「おはよう〜〜〜お兄ちゃん、レイ姉ちゃん」
「「おはよう、アイカ」」

パタパタと、元気良く服に着替えたアイカが、
碇君と私に朝の挨拶をしながら駆け込んできて、椅子にもぐり込む・・・
碇君も椅子に座ると、私達三人は手を合わせて恒例の”いただきます”の儀式を執り行う・・・

「う〜〜〜ん、お兄ちゃんの料理は、どんなに簡単な物でも美味しい〜〜〜」
「食べながら喋ってると、お行儀悪いし、喉に詰まるよ、アイカ」

碇君に注意されたアイカがちょっと、頬を染める・・・と、突然苦しみだした・・・
私はアイカの背中を平手で軽く叩く・・・そう、喉に詰まったのね・・・

「アイカ、これを飲んで」
「うーっ、うーぐっ・・・お兄ちゃんありがとう・・・お兄ちゃんはアイカの命の恩人だよ、
アイカが大きくなったら、恩返しにお兄ちゃんのお嫁さんにになるから・・・うぐっ」

碇君の差し出した冷たいミルクで、喉の物を胃へ流し込むと、
アイカは頬を赤くそめて、何を思ったのか、碇君へ幼い告白を始める・・・
私は、アイカの背中をちょっと強めに叩いて、妄想モードから現実に戻す・・・
アイカの妄想癖には困った物だ・・・碇君、私達、育て方を間違えたのかしら・・・

「・・・アイカ・・・早く食べて、お友達が来るわ・・・」
「あうぅっ、わかった、レイお姉ちゃん」

碇君は、クスクス笑いながらアイカを見つめる・・・アイカは、猛然と朝食を詰め込み始めた。
私はため息を一つすると、食事を再開する、アイカが碇君を好きになるのは構わないけど
遅刻させるわけには行かない、それに小学校は、私達の中学より少し遠いから早く出ないと駄目なの・・・
いけない・・・玄関で呼び鈴が鳴ってる・・・私は急いで立ち上がり、玄関へ出た・・・

「・・・アイカ、お友達が来たわ・・・お弁当忘れないで・・・」
「はーぃ、レイ姉ちゃん」

外を確かめた上ドアを開ける、外には 洞木(ほらぎ) ヒカリと、ノゾミ、そして 鈴原(すずはら) アキナちゃんが居た。
私はドアを開けると、三人に笑い掛ける・・・私に、つられて彼女達も笑いを浮かべる・・・

「綾波さん、おはよう」
「おはよーっ、レイ姉ちゃん、アイカちゃん早くいこーょ」
「ちわっ!レイ姉ちゃん」

最後の声は、鈴原君の妹さんでアキナちゃんだ、前の時は碇君の最初の戦闘に巻き込まれて、
私は、最後まで姿はおろか名前さえ聞かなかった少女だ・・・
私は、彼女を見るたび嬉しさで心が一杯になる、
彼女の存在自体が、私にとって、この世界が前と違う証のような気がする・・・

「・・・おはよう・・・」

彼女の兄トウジ君は、 第四使徒(シャムシエル) の時のお詫びに一発殴ってくれと言って、碇君に頭を差し出した・・・
ひょっとして、殴ると血液循環が改善されて、彼の頭が良くなるのかしら?
碇君が、彼にやめたほうが善いよって、園芸部の忘れ物のブロックを一撃で粉砕したら、
さすがに青くなったようだ、腰を抜かして座り込んでいらい、何も言ってこない・・私は彼に少し失望した・・・

「・・・洞木さん、時間が有るわ、碇君が何か出すから上がって・・・」
「う、うん、じゃあちょっとだけ・・・」
「あーっ!良いなあお姉は・・・」
「碇お兄と、一緒か・・・うらやましーっ」

洞木さんが頬を赤く染める・・・洞木さん、あなた鈴原君が本命では無いの・・・
私は少し首をかしげ、彼女の反応に疑問を覚えた・・・貴方も、碇君が気になるの?

「ノゾミ!アキナ!おまたせーっ!」
「おー、行こーっアイカ」
「はぅ、アイカのお兄ちゃんのご尊顔が見れなかった・・・」

アイカが、元気良くばたばたと駆けて来て、靴を穿くと私に手を振る・・・

「行ってきまーす、レイお姉ーちゃん」
「・・・行ってらっしゃいアイカ・・・ノゾミちゃんとアキナちゃんも・・・」
「ノゾミ!道草すると間に合わないわよー」

他の二人も手を振り一緒に駆けて行った・・・私はスカートから携帯を取り出す・・・

「・・・洞木さん、先に行ってて・・・」
「うん、綾波さん」

私は、携帯のジョグダイヤルで、保安部の短縮を実行し呼び出す・・・

「・・・妹が出ました、よろしくお願いします・・・」
『綾波さん、お任せください』
「・・・ありがとう・・・」
『・・・では』

たのもしい声と共に、携帯が切れる・・・
私の妹達を、影から守ってくれる彼らに感謝を・・・
彼らとは、前回と違い良好な関係を保てている、時間を割いて合同で訓練したり、
碇君の料理の差し入れとか・・・彼らも一部を除いてほんとに良い人だ、
特に、私の護衛をしていた 山岸(やまぎし) さんとは、今でもよく挨拶する・・・

「・・・・」

そう言えば、彼の娘のマユミさんが、今度、 葛城(かつらぎ) 一尉の移動に伴い、
メインオペレーターに就任するそうだ、何かお祝いをして上げたい、今度、碇君と相談しよう・・・

「綾波、早く食べないと・・・遅れちゃうよ」
「・・・うん・・・」
「そうよ綾波さん、碇君の言うとおり、遅れるわよ」

私は慌ててトーストをスープで流し込む、そんな私を、碇君と洞木さんはクスクスと笑う・・・
あう・・・恥ずかしい・・・私の頬は少し赤くなる・・・
私から目をそらした洞木さんは、私の眼のように赤い紅茶を一口、口に含むと
碇君を見つめる・・・そして時折、私を気遣しげに流し見る・・・

「・・・くすくす・・・」

私は洞木さんに分からない様に、口の中で笑う・・・
洞木さん貴方も、碇君が好きになったの・・・良いのよ、私に遠慮しなくても・・・
彼は貴方にも、愛を分けてくれるわ・・・彼が嫌うのは、殺人鬼や狂信者ぐらいだもの・・・

「・・・くすくす・・・私の顔に何かついてるの、洞木さん・・・」
「あはは、何でも無いわよ、き,気にしないで綾波さん・・・」

私は、慌てる洞木さんに笑顔を向ける・・・
でも、彼を愛するには努力が必要なの・・・どんな女性も、彼の全ての愛を得る事が出来ないから・・・
だから私は、自分の嫉妬と、時折何かに付けて襲う、嫌われるのではと言う不安が怖い・・・
私も、洞木さんと一緒に碇君を見つめる・・・自然と、私の口からため息が出た・・・

「・・・洞木さん、綾波・・・二人とも僕の顔に何かついてる?・・・」

碇君がいぶかしげに、私達に尋ねた・・・私達は思わず、お互い見つめあって・・・
腹を抱えて笑い転げる・・・だって、私達は箸が転げても笑う年頃だから・・・
碇君が私達を見て考え込んでいる・・・ごめんね碇君・・・
こんな普通の時間がもっとほしい・・・きっと、私達には縁の遠い物だから・・・

   ・    ・    ・
夕方、葛城一尉から突然携帯が入った、赤木博士が寄るので夕食の一人前追加の電話、
もちろん、あのがさつな彼女がわざわざ携帯を入れるのは分けがある・・・

「・・・碇君、葛城一尉から、赤木博士が来るそうよ・・・」
「それはまずいかもしれないね・・・綾波」

私達は早速、赤木博士対策に奔走した・・・そして、葛城一尉が我が家の玄関をくぐる・・・

「ごめ〜〜ん、シンジ君、リツコも来ちゃった」
「ごめんなさいねシンジ君、お邪魔しちゃって」
「はは、良いですよリツコさん、一人前ぐらいどうとでも成りますから」

普段と変わらない調子で挨拶する赤木博士、それを素敵な笑顔で受け止める、碇君・・・
赤木博士も流石だけど、碇君の方が一枚上手・・・私もポーカーフェースで挨拶する・・・

「・・・こんばんわ、赤木博士・・・」
「こんばんわ、レイ、貴方もちゃんと挨拶出来る様になったのね・・・」

獲物をいたぶる猫のように笑って、赤木博士が私にいやみを言う・・・
はぅっ、負けないわよ博士・・・私は、ミサトさんばりの作り笑いを浮かべる・・・

「・・・はい、碇君のおかげです・・・」
「・・・・・」

赤木博士の顔が引きつった・・・この勝負は、私の勝ち・・・
後ろで、碇君がクスクス笑いをこらえてる・・・

リビングには葛城一尉、 伊吹(いぶき) 二尉、 日向(ひうが) 一尉、青葉二尉、山岸二尉、赤木博士と
私達・・・碇君とアイカと私が、テーブルを囲んでご馳走を前にしている・・・

「ではミサトさんの栄転と、マコトさんと、マユミさんの昇進を祝して乾杯!」
「「「「「「乾杯!」」」」」」

碇君が音頭を取って乾杯する、
ビールとジュースのコップが打ち合わされ、澄んだ音がリビングに響いた・・・
皆が料理に箸を付け、一口かじった所で止まる・・・そして再始動・・・

「うまい!シンジ君の料理は何時食べても美味しいわね」
「はうっ・・・私、負けてますぅ・・・」
「シンジ君、これなら何時でもお婿さんに成れるよ」
「うまいっす!さいこうす!」
「お父さんには聞いてたけど・・・これほどとは・・・」
「シンジ君、これ、味音痴のミサトには勿体無いわ・・・レストランのシェフに成れるわよ」
「それはどー言う意味よ!リツコ!」
「言ったとおりよ、ミサト!あんたにこれは勿体無い、私が代わりに食べて上げるわ」

あぅ・・・とてもにぎやかなの・・・

「お兄ちゃん、とっても美味しい」
「・・・・・」
「うん、ありがとう・・・」

アイカの声の後、私は、無言で碇君に何度もコクコクうなずく・・・
なぜなら、私の口の中には一杯、碇君の料理が入ってるから・・・・

「マコト、これで俺達、溜め口言えなくなっちまったな・・・」
「すまん、俺だけ昇進しちまって・・・」
「マユミさん、保安部の山岸さんの娘さんなんです・・・綺麗な人ですね先輩」
「そうねマヤ・・・でも、貴方も良い線いってるから、焦らなくてもだいじょぶよ」
「葛城さん、私ちゃんとやってけるでしょうか・・・なんか不安で」
「ククク、だいじょーぶ、マコトが手取り足取り教えてくれるから、ねーマコト」
「葛城さん、酔ってませんか?」
「あたしがこんぐらいで酔うわけ無いでショーが」
「でも20本越えてますよ」

だんだんミサトさんの振る舞いが、怪しくなってきたので、私達三人はキッチンへ避難した・・・

「・・・アイカ、大きくなってもああはなりたく無いね・・・」
「うん、お兄ちゃん・・・」
「・・・碇君、私も・・・」

そして、リビングの狂乱はだんだん静かになって行き・・・
酔い潰れた葛城一尉、日向一尉を残してみんなが帰って行く・・・

「これ、貴方達のセキュリティカード、うっかりして渡しそびれてたから」
「・・・ありがとうございます、赤木博士・・・」

私は、二枚のカードを受け取る・・・カードの碇君の写真を見てると、前の時の事を思い出す・・・
私は、肩へバスタオルを掛け、全裸でバスルームから出る・・・
私は、碇君が碇司令の眼鏡を掛けてるのを見て、急いで奪い取る・・・
私達は、いきおいあまって床へ倒れ込み・・・碇君が私の上へ覆いかぶさる・・・
私は、頭の中で再現された未遂の過去に、思わず頬を染めた・・・・

「レイ・・・良かったわね・・・ひたすら怪しくて、
うろんで、生意気だけど・・・貴方には良い人みたいじゃない・・・」
「・・・はい・・・碇君はとても良い人です赤木博士・・・」

赤木博士が悔しそうに私へと呟く・・・私は、にこりと笑って彼女へ答えた・・・

「私も、そこまで信じられたら良いんだけど・・・まだ、その勇気が無いわ・・・」
「・・・そう・・・ですか・・・」

赤木博士はほんとに悲しそうだ・・・この人も、早く幸せになれば良いのに・・・
私は、彼女へ何も言えない・・・この人は、まだ迷っているのだ・・・

「じゃあね、レイ」
「・・・おやすみなさい、赤木博士・・・」

皆が帰って行く・・・私は、玄関の外でエレベーターに乗るところまで見送った・・・
家へ帰ると、アイカが部屋を片付けて、碇君は、洗浄の為、部屋の中を見回っている・・・
私は、リビングに寝転がる、葛城一尉と日向一尉に声を掛けた・・・

「・・・皆さん帰られました・・・」
「ククク、そう帰ったの・・・さーて、マコト君、仕事よ!」
「イヤー参った、一段と酒豪になりましたね葛城さん」

私の声に、酔い潰れて寝てたはずの二人があっさりと身を起こす・・・
彼らの酔った姿は、擬態だったのね・・・そんな所へ、碇君がため息をつきながら入ってきた・・・

「はーっ・・・リツコさんは、やっぱり油断ならないや・・・
何でも無い振りをして、盗聴器の置き土産をばら撒いて帰るし・・・」
「まあ、リツコだし・・・ごみんね、シンジ君・・・」
「まあ・・・これが、おとなの世界てやつかも知れないね・・・シンジ君」

碇君が机の上の、空いたお皿へ壊した盗聴器をばらばらと落とす・・・
赤木博士、貴方はやはり懲りない人なのね・・・私も、ため息をついた・・・

「レイ姉ちゃん、眠いからそろそろ良い・・・」
「ごめんねアイカちゃん、手伝わせて・・・後は私達がやるから」
「うん、アイカちゃんありがとう」

葛城一尉と日向一尉がアイカにすまなそうに謝る、私は腰を屈めると、アイカと目線を合わせた・・・

「・・・アイカ、お姉ちゃん用事があるけど一人で寝れる・・・」
「うん、大丈夫、アイカ一人で寝れるよ」

ごめんねアイカ、今度埋め合わせはするからね・・・
私と碇君は、大きな包みを持ってエレベーターで下へと下りる・・・
私達の前に黒い車が止まり・・・中からは、お義父様と副司令が降り立つ・・・

「シンジ、すまん、遅くなった、二人は」
「上で待ってるよ、父さん」
「碇、ここで立ち話もなんだ、上がらせ貰ったほうが良いそ」

私と碇君は、護衛の人たちに包みを渡す・・・
中身は大量のサンドイッチと魔法瓶に入ったスープと紙コップだ・・・
黒服の人が、サングラスを外して私の包みを受け取り軽く会釈する・・・

「お気遣いいただき、申し訳在りません」
「こちらこそ、いつもご苦労様です、これからも父さん達をよろしくお願いします」
「・・・ご苦労様です・・・皆さんで食べてくださいね・・・」

私達も、笑顔で会釈を返してからエレベーターに乗った・・・、
お義父様と副司令がちょっとそわそわしている・・・何故だろう・・・

「レイ君、アイカ君はもう寝たのかね?」
「・・・はい、副司令そろそろ眠いといってました・・・」

ああ、お義父様達はアイカに会いたいのだ・・・小学校への入学手続きのために、
ネルフへアイカを連れて行った事があった、その時、以来二人はアイカを可愛がってくれる・・・

「むう、まずいな碇・・・」
「ああ・・・」

エレベーターが止まると早足に家へ向かい、玄関で碇君が追い付いて来るのを苛々と待つ、
碇君は苦笑しながらカードキーでドアを開けた・・・二人は無言で争うように部屋へ上がる・・・

「「こんばんわ、碇司令、副司令」」
「うむ、待たせた、ところで、アイカ君は・・・」

呆れた葛城一尉と日向一尉が、お義父様達二人の後ろを同時に指差す・・・

「こんばんわーっ、おじいちゃん達!」

振り返ったお義父様達へ、小熊の模様の可愛いパジャマを着たアイカが駆け寄る・・・
お義父様はしゃがんでアイカの頭を撫ぜ、アイカはお義父様の服に頬を摺り寄せぐしゃぐしゃにする・・・
私と碇君は、そのほほえましい光景を、笑みを浮かべて眺めていた・・・

「・・・アイカ、そろそろ寝ないと明日も学校が・・・」
「うん、レイお姉ちゃん」
「ああ、お休みアイカ君、これはお土産だ」
「これももって行け、アイカ」
「ありがとう、おじいちゃん達、お休みなさい」

お義父様達が残念そうに見守る中を、アイカは手を振りながら自分の部屋に入る・・・
碇君がちょっと困った表情で見つめる・・・お義父様、今日は別の用事があるはず・・・
葛城一尉と日向一尉が咳払いをする・・・アイカ、良かったわね素敵なおじいちゃん達が出来て・・・

「とりあえず、 JA(ジェットアローン) については、早めに核分裂炉を積んでいる事をリークした、
少なくとも、代替のエネルギー源を開発するまでは、計画は凍結になる予定だ」
「土木作業機械としては使えそうなのだが、開発元が軍事産業にこだわりすぎだな」
「困りましたね・・・出来れば穏便に事を進めたいんですが」

お義父様と副司令、碇君が机をはさんで協議している、
私は、お義父様達にビールとおつまみを配った・・・

「・・・お義父様、晩御飯は食べられましたか?・・・」
「あはは、レイ君、じつを言うと私も碇もまだなんだよ」
「・・・では、サンドイッチとスープをお持ちします・・・」

お義父様達は、私が持ってきたサンドイッチとスープを、美味しそうに食べる・・・
そう言えば、お義父様達、日ごろどんな物を食べてるのかしら?
良く考えると、住んでる所も、何を食べてるのかも私は知らない・・・

「お父さん、ドイツからアスカを呼び寄せる件は、どうなりました?」
「現在、ドイツ支部と交渉中だ、シンジ」
「シンジ君、 第6使徒(ガギエル) の件もあるタイミングが難しいよ」
「シンジ君僕達としては、 第5使徒(ラミエル) の方を先に何とかしたいよ」
「わたしはマコト君に任せたから、口は出さないわよ」

私達の話は、もう少ししたら現れる第5使徒・ラミエルに移った・・・
前は葛城一尉が作戦を指揮したけど、今度は日向一尉が指揮を取る、
彼なら、前回のように無様な初陣の負けは無いだろう・・・

「今回は、シンジ君のおかげで大体の敵の予想がつきました、そこで
葛城さんには悪いのですが、僕はこういう作戦でやろうと思います・・・
マギで検証できませんが、かなりの勝率を出すと思いますよ・・・」

日向一尉は大変優秀で、ネルフの上級職員としては珍しく安定した性格をしている。
彼は私達の情報を口頭で躊躇いも無く受け入れ、それに甘んじる事を選んだ・・・
普通では出来無い事だ・・・彼は計画書のコピーを取り出し各人へ配る・・・
葛城一尉がうなずいてる、碇君とお義父様達もだ、私も読んで納得した・・・

「反対する要素はなにも無い、日向一尉、存分にやりたまえ」
「はっ、了解しました」

お義父様がにやりと笑う・・・日向一尉がピシッと背を伸ばして敬礼した・・・
これで、今日の協議はお開きになった・・・碇君が葛城一尉にペンペンへとお土産を渡している・・・
私は、玄関でお義父様にお願いがある事を思い出した・・・

「・・・お義父様、お願いが在ります・・・」
「うむ、レイ、出来るだけの事をしよう」

碇君は何だろうと首をかしげている・・・私は口を開いた・・・

「・・・零号機を、蒼色に塗り替えてほしいんです・・・お願いできますか?・・・」

お義父様が唸る・・・ごめんなさい無理な事を頼んで・・・

「レイ、シンジのプラグスーツの色か」
「・・・はい・・・」
「綾波、ちょっとそれは・・・」

碇君が、苦笑いしている・・・お義父様達も、ちょっと困り顔・・・
ごめんなさい・・・これは私のわがままなの・・・

「そう言えば、碇、新型のステルス塗料の話が無かったか?」
「そうだな冬月、レイ、青が良いんだな」
「・・・わがままを聞いていただき、ありがとうございます・・・」

私は、お義父様達に深々と頭を下げる・・・だって、これは私のわがままなのだから・・・
かっての、心の無かった私と違い、今の私には怖いと言う事が分かる・・・
だから、テスト用の黄色の塗装は嫌い、あの事故を思い出すから・・・

「綾波、僕は父さん達を下まで送るから・・・」
「・・・うん・・・片付けてるね、碇君・・・」

私は、碇君に力無くうなずく・・・だめ、笑顔でいるって決めたのに・・・

「お邪魔したねレイ君」
「お休み、レイ」
「・・・おやすみなさい・・・」

私は、無理に笑顔を作って、お義父様達におやすみなさいと、小さく手を振る・・・
碇君は、お義父様達を下まで送り・・・私は、ゆっくりと後片付けを始めた・・・

「・・・アスカ・・・寂しいよ・・・ア・・・」

そして、私は・・・気がついてしまった・・・ああ、何故、其処まで私は気が回らないんだろう・・・

「・・・あああぁっ・・・」

自分の、体が振るえる・・・手に持っていたグラスが、
力をなくした、私の手から床へ落ち、飲み残しのビールが飛び散る・・・
私は、がくがくと振るえながら、それを拭取ろうとするけど・・・上手く行かない・・・

「どうしたんだい、綾波?」

私の後ろから、碇君の手が肩へ回される・・・暖かい・・・私は思わず、碇君の胸に飛び込んだ・・・
今なら碇君を独占できるから・・・ごめんねアスカ・・・でもアスカのせいで私は、振るえてるのだから・・・

「・・・アスカなの・・・」

私は振るえながら、碇君に訴える・・・私の目から、涙がこぼれる・・・

「・・・私・・・黄色に塗られた零号機を思いだすだけで、事故の事を思って体が振るえるの・・・
だからお義父様に、色を碇君のプラグスーツと同じに塗替えてってお願いしたの・・・」

碇君は、無言で私の言う事に耳を傾けてくれる・・・

「・・・でも、前の時は黄色の零号機も平気だったわ・・・
多分、あの私は、怖いって事を知らなかったから・・・」

私は、碇君の顔を見上げる・・・

「・・・そして、前の私は、アスカが眼中に無くて、どんなひどい事を言われても聞き流せたわ・・・
でも、今の私は違うの・・・きっと、アスカの言葉は私の心に突き刺さる・・・」

碇君を見上げる、私の頬を涙が伝う・・・私達のアスカじゃ無い、アスカに傷つけられる・・・
そして、自分が無意識に両方のアスカを嫌ってしまうかもしれない・・・と、言う事に気がついて、
私はどうして良いか分からなくなって、途方にくれてしまった・・・助けて碇君・・・

「・・・碇君、私はどうしたら良いの・・・」

碇君が私を片手で抱き締めながら、蒼銀の髪を撫ぜる・・・

「僕には分からない・・・きっと、綾波が自分で解決しなければ、いけない事なんじゃないかな・・・」

その言葉を聞いて、私は、碇君に突き放されたような気がして身を硬くした・・・

「でも、綾波が泣きたい時は何時でもおいで、僕の胸ならいくらでも貸して上げるから・・・」

私は愚かだ・・・何度も、何度も、同じ事を繰り返している・・・
碇君は、私が強くなるのを助けてくれようとしている・・・私は、何時も笑っていられるように・・・
もっと強くなりたい・・・碇君の為に、そして自分の為にも・・・

「・・・碇君・・・ありがとう・・・私、がんばって見るから・・・」

私は、ひと睨みで、無粋な頭上の蛍光灯の管内の放電をATフィールドで遮る・・・
リビングが一瞬で闇と化す・・・
窓のカーテンの隙間から、欠けた月が、その蒼い光で部屋の中を朧に照らす・・・

「・・・私に、勇気を分けてほしいの・・・」

私は、碇君を押し倒すと、貪欲にその唇を求める・・・
彼は、力を抜いて私の好きなように、させてくれた・・・
彼の口の中を、私の舌が蹂躙する・・・私は、ひょっとして、淫乱なのかもしれない・・・
こんなにも、碇君を求めてるから・・・私は、自分のショーツをもどかしげに引き下げる・・・

「綾波・・・」
「・・・碇君・・・お願い・・・私の不安を払うぐらい、目茶目茶に抱いてほしいの・・・」

私は再び、碇君の口を自分の唇で塞ぐ・・・
そして、彼のズボンのベルトを外すとチャックを引き下げた・・・
彼の物が手に当たる・・・嬉しい、私で感じてくれてるのね、碇君・・・

「・・はああぁ・・・碇君・・・」

私は、彼の物を、自分の中へと迎え入れながら、彼のお腹の上で大きく背をそらした・・・
蒼銀の短い髪が激しく揺れ・・・汗がうなじを伝う・・・その時、私は何もかも忘れて、幸せだった・・・

   ・    ・    ・
翌日、私は 第5使徒(ラミエル) 撃滅のため碇君と共にケージへと向かった・・・
そして、自分の昨日の振る舞いを後悔した・・・

「ごめんなさいレイ・・・時間が無かったのよ、使徒が来るとは思わなかったから・・・」
「・・・いいえ赤木博士のせいじゃありません・・・
ごめんなさい零号機・・・私が悪かったの・・・」

それを前にして、膝をがくりと折った私の後ろで、
赤木博士は、こめかみを押さえて唸るように私に謝る・・・

「ちょっと、タイミングが悪かったかもしれないね・・・」
「・・・うん、碇君、私が一番悪いの・・・」

私の目の前には上半身を中途半端に青く塗られた零号機が、
その前衛芸術のような姿を、冷却用LCLに写して・・・
心なしか、恥ずかしそうに拘束具に固定されていた・・・




To Be Continued...



-後書-


ああ平凡な日々・・・書きにくいっ
ちょっとストーリーが退屈になってきたような気が、悟っちゃうと心がフラットですね、(苦笑)
だんだんコメディになってるし(爆笑)と言う事で無理やりちょっと最後は乙女チックに、
波乱を含んで終わらせようとしたんですが・・・やっぱり、笑いを取る衝動に勝てませんでした(涙)
レイ君、君には苦悩が良く似合う(ゲンドウ風ニヤリ)
ああ、早くアスカ出てきてこの話を心地良いぐらいに掻き回してくれーっ(核爆)


ご注意!:新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAXの作品です。


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