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EVA・きっと沢山の冴えたやり方

・第七話 見知らぬ、天井・巣を育む小鳥達   by saiki 20021110



あの人がハンドルにうつ伏して泣いている・・・きっと心が痛いのね・・・

私は、あの人の記憶を知っている・・・碇君のために、あのLCLの海の中で
何度も必要な記憶を探して彷徨ったから・・・ほとんどの魂が無関心、無気力、
過剰な幸せの為に個を失い、つかみ所の無いジェリーのように蕩けていた・・・

記憶も個を失った時点で、指の間から流れ落ちる砂のように繋がりを失っていく・・・
アスカはそのもろい心を鎧いに包んで、かろうじてサルベージ出来るほどの個を維持していた・・・
それに彼女は碇君を心のどこか奥底で求めていたから、私と一緒にサルベージ出来たの・・・
でも他の人たちは針の先ほどの精神的苦痛で、あっさりとどこかへ逃げ去ってしまう・・・

私達はLCLの海の中で、少しでも真相を知ってる人を探したわ・・・
碇司令とユイさんは、どこを探しても髪の毛ほどの気配も無かった・・・
渚カヲル君は、どこに行っても気配だけは感じるのだけど、一度も巡り会えなかったわ・・・
副司令と伊吹二尉は、私達の気配を感じると怯えてすぐ居なくなるの・・・
赤木博士は、どこか心が歪んでいて自分の興味が在る事だけには饒舌だったわ・・・

そして、葛城三佐の心は辛うじて個を維持出来る大きさの破片だった・・・
そして私達を見つけると、自分の方から近づいてきて、壊れた録音の様に何度も何度も問いかけるの・・・
加持君をどこかで見なかったって・・・そして知らないって答えると、どこかへ行ってしまう・・・
きっとあの彼女は、彷徨う先で出会う全ての人の心の扉をたたいて、同じ事を聞いていたのだと思うわ・・・

そして、いま、ここにいる彼女もLCLの中の彼女と同じ・・・
8年前に自分で捨て去ってしまった半身を求めて、心が痛むのね・・・

でも、私も碇君もあの人の半身じゃ無いの・・・いま、貴方の半身はドイツに居るわ・・・
だから私達には何も出来ない・・・思わず私は碇君の手を両手で痛いほど握り締める・・・
碇君が私を慰めるようにぎゅっと胸に抱きしめて、優しく頭を撫ぜてくれる・・・
葛城一尉も早くあの人に、抱きしめてもらえれば良いのに・・・

「ごめんなさい、なんだか取り乱しちゃったようね・・・後は、家まで送って行けば良いの?」
「はい、お願いしますミサトさん」
「・・・お手数をおかけします・・・」

葛城一尉がやっと泣きやんでくれたので、私も碇君もホッとした、
だって彼女の痛みを感じて、私達の心も同じように痛かったから・・・

彼女は家まで私達を送ってくれた上に、荷物を運ぶのも手伝ってくれた・・・
碇君は良いって言ったんだけど・・・子供は大人に甘えなさいって言って・・・

重い荷物を全部一人で持って部屋まで運んでくれた・・・葛城一尉、ほんとは優しい人なのね・・・
でも、使徒が絡むと人が変わったように、どんな犠牲を払っても殲滅しようとする・・・
碇君が言っていた・・・彼女が失語症の治療を受けていた時、ゼーレに何らかの 条件付け(マインドコントロール)
受けたのかもしれないって・・・何があったの・・・いまの貴方が、ほんとの貴方なの・・・
それとも、使徒を目の前にして心の中で血を求めるのが真の貴方なの・・・葛城一尉・・・

私達の家に着いて、ふらふらする体でなおも掃除を手伝おうとする彼女を、碇君は丁重に断った・・・
葛城一尉は徹夜だって言ってた・・・少しでも休んでくれれば良いのだけど・・・

体を引きずるように彼女が自分の部屋へ向かった後、ドアが締まり鍵が自動的に掛る・・・
私と碇君は自然に向き合い、お互いの目を見詰め合った・・・

「ただいま、碇君・・・」
「ただいま、綾波・・・」

始めて自分達の家へ入る時はこう言うって二人で決めていたの、
碇君は葛城一尉に教えられたって言ってたわ・・・

私はもう我慢できずに、碇君の首にむしゃぶりつく・・・
碇君も私の腰に手を回して、痛いほど抱きしめてくれた・・・
そして、私達はどちらかとも無く舌を絡めあい、お互いの唇にむしゃぶりつく・・・
私と碇君のセカンドキス・・・求め合い貪りあっていた私達は、息苦しくなってからやっと唇を離した・・・
甘い吐息が私の口から漏れる・・・

「・・・碇君・・・私、碇君がほしい・・・」
「僕もだよ綾波・・・でも、早く掃除しないと荷物が届いちゃうよ・・・続きは今夜・・・ベッドでね」

私が少し拗ねて頬を膨らませる・・・碇君はそんな私の眼に、とっておきの笑顔をご馳走してくれた・・・

「そうして拗ねた綾波も可愛いよ・・・思わず押し倒したくなっちゃう・・・」

碇君の意地悪・・・私は押し倒してほしいのに・・・
私は自分の思いに気づき、耳まで顔を赤くしたまま、頭の中が白く弾けた・・・

碇君がてきぱきと部屋を掃除して行く・・・
さっき持ち帰った服や食材は、とりあえず使わない部屋へと押し込んだ・・・
碇君はすごい、葛城一尉と、アスカの家事不能者二人に鍛えられたせいなのかしら・・・
私も、掃除の仕方を知らなかったので、彼の指示に従って軽作業を受け持つ・・・

とりあえず三部屋とリビング、キッチンを掃除する、それが終わる頃に荷物が届どいた・・・
碇君が段取りを決め配達の人がてきぱきと動き回る、あっという間に床に絨毯が引かれ、
ベッド、たんす、机、テレビ、洗濯機、パソコン、食卓、椅子と搬入され組み立てられ配線されて行く・・・

始めて見る私には、ガランとして寂しかった部屋が見ている間に、
人の住む部屋へと変わって行くのがまるで魔法のようだった・・・

私は碇君に言われて人数分の洗ったコップに、
お茶をボトルから入れて荷物を納品してくれた人達に振舞う・・・
微笑んで渡すと、渡した人が短いお礼と共に微笑み返してくれる・・・私の心が、なんとなく温かくなる・・・

碇君はまだカーテンを付けたり、食材を冷蔵庫に入れたり忙しく動き回っていた。
お茶を飲み終わり、荷物を納品してくれた人達が梱包財を持って帰っていく・・・

「どうも、ありがとうございました」
「・・・ありがとうございました・・・」

碇君が明るく微笑んで彼らを送り出す、
わたしも精一杯笑顔で・・でもちょっと小さい声でお礼の言葉を呟く・・・
その分深く深くお辞儀したから、私の感謝を少しでも知ってくれたら良いなと思う・・・

「・・・どうしたの碇君?・・・」

みんなが帰ると、碇君はちょっと表情を険しくして部屋を見て回り始めた・・・

「うん、綾波、盗聴器の気配がするんだ」

”盗聴器の気配”?、私は碇君の言葉にびっくりする・・・機械でも気配が在るの?
私は碇君の指示で、副司令に携帯を入れる・・・
副司令は、私が早速この番号を使ったので、ちょっと驚いたようだ・・・

『冬月だが・・・』
「・・・お忙しいところ申し訳在りません・・・綾波です・・・」
『レイ君か・・・何か問題でも?」
「・・・碇君が・・・盗聴器の気配がするそうです・・・」
『盗聴器?・・・おかしいな、保安部には監視活動を止める様に言ってあるはずだが?」

私は碇君の方を振り向いた、碇君は適当な空箱に小さな物を取外して放り込んでいく・・・

「・・・かなり数があるようです・・・」
『・・・分かった、すぐ秘書を行かせる、今朝君達が司令室の前であった彼だ、
あれに持たせてくれれば、技術部にどこから出た物か調べさせる』
「・・・はい・・・分かりました・・・」
『うむ、レイ君・・・てまを掛けさせて申し訳ない』
「・・・いえ、問題ありません、お待ちしています・・・」

私は携帯を切って碇君の方を振りかえる、
碇君は頭を掻きながら、ボール紙の空箱をジャラジャラゆすっていた。

「・・・碇君、秘書の人が取りに来るって・・・そんなにあったの?・・・」
「うん、カメラにマイク・・・なんか呆れるぐらいあるよ・・・」

こんな事が続くようだと、私も碇君に見つけ方を教えてもらった方が良いかもしれない・・・
私が思案にふけっていると、碇君はエプロンを付けて調理器具と食材を並べて調理の準備を始める・・・
そして並べられた食材の量は、私が見ても尋常な量ではない・・・

「・・・碇君、私お肉食べられない・・・それに量・・・食べ切れないような気がする・・・」
「ああ、引っ越し祝いにミサトさんにご馳走しようと思って、
それと、良い機会だからお父さん達にもおすそ分けしようと思うんだ」

碇君が微笑む、私も心が温かくなってつられて笑みを浮かべる・・・

「それと、綾波も肉料理を、少しでも良いから食べられるようになった方が良いよ」

私の微笑が凍りつく・・・碇君・・・意地悪・・・・私は、心の中で滝のように涙を流す・・・

しばらくして心を落着けた私は、お風呂用品を風呂場に入れた後、碇君のベッドを夜の為に整える・・・
マットを載せ、敷布団を敷くとそれをシーツで覆う・・・その上には枕を二つ・・・
今晩、私と碇君はこの上で身も心も一つになるの・・・
くすくすくす・・・私の心は、まだ未体験のそれを思って踊る・・・

「綾波、ありったけのタッパーを出して洗ってくれない?」

私はベッドの上でごろごろ悶えるのをやめて、手早くシーツのしわを伸ばすと荷物をかき分ける。
両手いっぱいタッパーを抱えた私がキッチンへ入ると、とても良い香りが部屋の中へ渦巻いていた・・・
3つのガスコンロ、電子レンジ、オープン全てがフル稼働していた、
そして、それら全てから美味しそうな匂いが流れ出す・・・

思わす子犬のように香りをかいでいると、碇君に見つめられた、なんだかちょっと恥ずかしい・・・何故・・・
気を取り直して私はタッパーを洗って、ペーパータオルで拭っていく・・・
それに碇君が次々料理を詰める・・・
私がタッパーを洗い終わったとき、ちょうど玄関でベルが鳴った・・・

「綾波、出てくれる、一応ドアは外を確認してから空けてね」
「・・・うん、碇君・・・」

私はぺたぺたと素足で玄関に向かう、インターホンのスクリーンには、
今朝方あった秘書の人が息を切らして写っていた。

『副司令からお話があったと思いますが・・・伊勢ともうします』
「・・・ここで・・・待ってください・・・」

私は敬礼する伊勢と名乗る人を玄関に入れると、タオルとお茶をコップ一杯、手にして取って返す。

「・・・どうぞ・・・」
「ありがとうございます・・・」

私が差し出したタオルとお茶に、伊勢さんのちょっといかつい顔がほころぶ・・・
・・・釣られて私も微笑を浮かべる・・・碇君の言うとおりだ・・・
ちょっとした気遣いで、私の周りの世界はこんなにも明るく優しくなる・・・心が暖かい・・・

「お待たせしました・・・伊勢さん」
「いえこちらこそ、引越しで忙しいところへ申し訳在りません」

碇君が盗聴器の入った箱と、紐で束ねられたタッパーを伊勢さんへ差し出す。

「こちらが盗聴器、それと風呂敷が無いので剥き出し悪いんですが、
こっちのタッパーはお父さんと副司令、それと皆さんで食べてくださいね」

伊勢さんは、まず盗聴器の量、それから美味しそうな料理の数々に驚きながら、
きっちりと敬礼をしてから足早に帰って行った・・・
伊勢さんの後ろでドアが締まった後、碇君が私を後ろから抱きしめて頭を撫ぜてくれる・・・

「どう、綾波?・・・自分から相手に歩み寄ったら、気持ちよかった?・・・」
「・・・うん、人が微笑んでくれると・・・私も暖かくなるの・・・」

碇君に頭を撫ぜてもらうととても気持ちよいので、思わす彼の胸に枝垂れかかってしまう・・・

「まあ、いつも微笑んでくれるとは限らないけどね・・・」
「・・・そうなの?・・・」

私は、碇君の胸の中でピクリと振るえる・・・碇君はそんな私をぎゅっと抱きしめてくれた・・・

「たとえば、ほらサードインパクトの前のアスカなんかとか・・・」
「・・・うん、なぜあの頃のアスカはああだったの・・・碇君?・・・」
「アスカはきっと、自分に素直じゃなかったんだろうね・・・僕もだったかもしれないけど・・・」

碇君の声がとても寂しそう・・・私は体の向きを変えると彼の肩に顔を埋めて、碇君を抱きしめる・・・
碇君、寂しがらないで私がここに居るから・・・私はこれからもずっと自分の心に素直でいようと思った・・・
ぴくりと、私が抱きしめた碇君の肩の筋肉が突然動く・・・私はびっくりして碇君の顔を覗き込んだ・・・

「綾波・・・ミサトさんが起きた様だよ・・・」
「・・・どうしてわかるの?・・・」

葛城一尉の家は二階上の階のはずなのに・・・碇君は私に微笑み種明かしをしてくれた。

「ここには、僕達とミサトさんしか住んでないから特にわかりやすいよ・・・
綾波・・・個を保つためのATフィールドをちょっとだけ弱めるんだ・・・漠然とだけど気配が感じられるよ」
「・・・そう・・・確かに・・・私も葛城一尉を感じられるわ・・・ビールを飲んでる・・・」

碇君がくすくすと笑う・・・葛城一尉と、ビール・・・切っても切れないのね・・・

「ミサトさんがビールで出来上がらないうちに、行こうか、綾波・・・」
「・・・ええ・・・」

   ・
   ・
   ・

私達は火の確認と戸締りをしてエレベーターに乗った、
二階上がって葛城一尉の家のインターホンを鳴らす。

『だぁ〜れ、へんねここに押し売りとか新聞の勧誘とかはこれないはずなのに・・・』
「碇です、引越しの挨拶に来ました・・・」

エアの抜ける音と共にドアが開き、寝起きの葛城一尉が顔を出した・・・ビール缶を持ってるわ・・・

「あら、シンジ君・・・レイちゃんも一緒なの?」
「引越しの挨拶を兼ねて、一緒に晩飯でもどうかと思って・・・」

葛城一尉とても嬉しそう・・・そう、貴方も碇君の料理が食べたいのね・・・

「ありがとうシンジ君・・・ちょっち、散らかってるけど・・・ごめんね」
「お邪魔します」
「・・・お邪魔します・・・」

私達は葛城一尉の家へ入る・・・前もって碇君から、一尉の家のいま現在の状態を聞いてたから・・・
私が驚く必要は・・・葛城一尉の家の状態は、私が予想していた以上だった・・・
碇君の顔も引きつっている・・・碇君、ひょっとして前の時より部屋の状態が悪いの?・・・

「ミ・・・ミサトさん、僕達がここを片付けますから、ちょっとお風呂に入って命を洗濯しててくれませんか」
「えっ、シンジ君達に・・・そんなこと頼めないわよ・・・」

葛城一尉、この状態で食事を・・・私はそれを想像し顔が青くなった・・・碇君がんばって・・・

「大丈夫、ちょっとした魔法であっという間にきれいにしますよ・・・
それより、一緒に片付けると大変なので重要な書類とかは別にしておいて下さいね」
「大丈夫、そういうのは自分の部屋から出さないから」

やや引きつった顔で、葛城一尉が碇君に笑い掛ける・・・

「では、問題ありませんね・・・お風呂行ってて下さい」
「で・・・でも・・・」
「ミサトさんは、僕が綾波のいる前で不埒な振る舞いをするとでも?」
「そ・・・そうね、レイちゃんいるし・・・」

葛城一尉が自室に戻りごそごそ音を立てる、碇君が不埒なまね・・・意味がわからないわ・・・
碇君はとりあえず、床のゴミに捨ててはいけない物が無いかどうかざっと確認しているようだ。
やがて、葛城一尉が片手にバスタオルと服を持って自室から出てきた。

「じゃあシンジ君、レイちゃん頼んだわよ」
「ミサトさん、ゆっくり漬かって下さい、百以上数えるまで出ちゃだめですよ」
「・・・はい、頼まれました、葛城一尉・・・」

葛城一尉は手を振りながら脱衣所に消え・・・
碇君は彼女が風呂場へ入りシャワーを使い始めるのを確かめてから、
私の方を振り向いてにこりと笑う・・・

「さてと、綾波、面白い物を見せて上げるよ」

碇君は最小レベルのATフィールドを床ぎりぎりに広く張ると、
食卓の上にあったゴミもまとめて床へ落とす。
そして、フィールドの四辺を持ち上げ器用に箱状に変形させる、
その後、あぶれたゴミをいくつか箱状のフィールド内に投げ込んだ。

「・・・碇君、なせこのATフィールドは8角形にならないの?・・・」
「あれ・・・綾波、その辺の記憶が 来る途中(逆行時) 抜け落ちたの?
それとも記憶を編集したとき自分で削っちゃったのかな?
簡単に説明すると、ATフィールドが8角形になると言うのが思い込みだからだよ、
たぶん本能に近い所で発生させると8角形になるんだろうけど、良く考えてみて綾波、
固体生命の形を保ってるのもATフィールドだよね、8角形の生き物がいるかな」

確かに碇君の言うとおり、現実にそんな生き物いない・・・
じゃあ、なぜ私やカヲル君のフィールドも8角形だったの・・・

「たぶん思い込みだよ、良く考えるとサキエルの槍、シャムシェルの鞭、ラミエルの加粒子砲、
ちょっと考えるだけでも、これだけATフィールドの使い方が在るんだ、
慣れればいろいろな使い方が出来るはずだよ」
「・・・そう言えば、ATフィールドの展開実験の前に碇君の 第三使徒(サキエル) 戦の録画を研究したわ・・・」

私は、納得がいってうなずいた・・・やっぱり碇君はすごい・・・

「アスカも、おそらくカヲル君も録画を見たんだろうね・・・」
「・・・で、これからどうするの碇君?・・・」
「こうするんだ」

碇君はフィールドの口を閉じると、小さく圧縮して行く・・・
そして、碇君は1センチ角のサイコロに状になったそれをティッシュに包んでゴミ箱に入れる・・・
とても便利そう・・・今度、碇君に教えてもらいたい・・・

「はい、終わり・・・後は・・・食卓を拭くから、綾波、お皿並べてくれる?」
「・・・わかったわ・・・」

私は碇君が拭き終わった所へお皿を並べていく・・・
しばらくして、気持ちよさそうに葛城一尉が風呂から出てきて、
食卓に並んだ料理に驚きながら、さっそくビールを一抱え取り出して椅子に座る。

そして部屋がいつの間にか綺麗になってるのにも驚いて、どうやったか碇君に尋ねる・・・
碇君はちょっとした魔法ですよと言ってごまかす、
種明かしを迫る一尉を笑ってかわしながら彼も席に着いた。

葛城一尉は私達にお祝いだからとコップに三分の一、ビールを無理やり注ぐ・・・
碇君は一尉とグラスを合わせて乾杯と言う、そして、私のグラスとも合わせて再び・・・
そして一気に飲み干す・・・
こんな物が美味しいのだろうか?・・・
私も一口飲んで見る、ちょっと苦いけどあんがい美味しい・・・でも二口目はすごく不味かった・・・

葛城一尉が碇君の料理をうまいうまいと連呼しながら口に押し込んで行く、私もそれに負けないように、
肉料理を避けながら、前回食べてから千年振りの碇君の料理に舌包みを打つ・・・
碇君はそんな私達を笑って見つめながら、
食べ物と一緒に、幸せを噛締めるようにゆっくりと食べ物を口に運ぶ・・・

碇君、私は幸せです・・・ごめんなさい、アスカ・・・私はいつまでも、碇君とこうしていたい・・・


後日、たまたま休憩室ではちあわせた伊勢さんが教えてくれた・・・

本当はネルフのトップに、食べ物なんか持ってってはいけないらしい、
でもあの時、持ち込まれた差し入れにまずは、BCチェックとか掛けようとしたらしいけど、
お義父様が碇君から伊勢さんに直接手渡された事を確認して、”息子の差し入れで死ぬなら本望だ”と言って、
副司令も”碇に独り占めさせるわけにはいかない”と二人して箸を付け一口食べた所、
ぴたりと二人とも止まって、周りが何か毒でもと騒ぎ始めた頃、二人がきれいに揃って”うまい”と呟くと
猛然と食べ始めたそうなの、最後は涙を流していたって伊勢さんが笑っていたわ・・・

私が伊勢さんに、美味しかったですかって聞いたら美味しかったけど、少ししか食べられなかったって・・・

そういえば、あのあと、
お義父様達から見事な重箱が2つ届いて、碇君が照れ笑いを浮かべていたのを私は思い出した・・・



To Be Continued...



-後書-


BCチェック = バイオ・ケミカルのテロ予防のためのチェック

何度か引っ越した事が在りますが、あれはほんとに大変ですね敷金礼金とかもですが
それ以外にも、引越し先で生活できるようにするだけで数十万は軽くかかると思います。
初夜まで辿り着けませんでした・・・無念、次ぎこそは・・・しかし、この章超ロングランになっている(汗)


ご注意!:新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAXの作品です。


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