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EVA・きっと沢山の冴えたやり方
・第八話 見知らぬ、天井・初夜T 《全年齢版》
by saiki 20030624
葛城一尉がテーブルにうつぶせになって潰れている・・・
なせ潰れると言うのか、私にはわからないけど・・・碇君がこの表現で問題ないと教えてくれた・・・
ビールを二ダースも飲めばこんな物だ、と・・・碇君は当然のように私に説明してくれる・・・
私と碇君で何とか彼女をベッドへ運ぶ・・・葛城一尉はとても重い・・・
それにアルコール臭がひどい・・・匂いだけで私も酔ってしまいそうだ・・・
私がタオルケットを掛けようとすると、突然一尉に抱きつかれてしまった・・・
碇君にならどんなにきつく抱かれても
良
いのに・・・ビールで出来てる葛城一尉に抱かれるのは、いや・・・
私はじたばた暴れるけど、彼女の手はますますしっかりと抱き付いてくる・・・
「加持君・・・行かないで・・・」
葛城一尉の口から小さな呟きが漏れる・・・それを聞いた時、私はぴたりと、もがくのを止めた・・・
何故だか、そのままもがき続けるといけない様な気がしたから・・・
硬く閉じられた一尉の目から涙がこぼれる・・・
私は、傍で興味深げに見入ってる碇君を、ジト目で見上げる・・・早く帰って碇君と一つになりたいの・・・
「・・・碇君・・・助けて・・・」
碇君が私の頭を撫で安心させてくれる・・・
私の心の中は、このまま朝を迎える羽目になるのではないか・・・その不安で一杯だったのだ・・・
碇君が葛城一尉の耳元で小さく囁く・・・
それを見て私の胸がちくりと痛んだ・・・なぜ、私の胸が痛むの・・・
やがて一尉の手が緩んだので私はホッとした、
ゆっくり、彼女を刺激しないように体をビールの匂いから引き剥がす・・・
今度は、座布団を丸めた物を一尉の腕に抱かせた後タオルケットを掛けた・・・
私達は葛城一尉を起こさないように部屋を出て、後ろ手にふすまを閉める・・・
私は胸に澱むアルコールの匂いを追い払うように深呼吸した・・・
碇君が笑いながらまた頭を撫でてくれる・・・
碇君に頭を撫でられるのはとても心地よい・・・いつまでも、この瞬間が続いてくれたら
良
いのに・・・
私達はリビングに戻り、残った料理をタッパーに詰め冷蔵庫にしまう・・・
碇君が短いメモを書き目立つところに残した・・・
ドアを開け外に出ると夜の風が心地よい・・・
ドアが締まるが待ちきれず、私は碇君の左手を胸に押し付ける様にしがみ付く・・・
私の胸がどきどきする・・・
碇君、碇君、碇君、碇君・・・彼の名を心の中で呼ぶたびに、私の胸が温かさで満たされていく・・・
我慢していた彼への思いが、私の心の中から溢れて行くような気がする・・・
胸が熱い・・・私は腕を彼の左手に絡めたまま・・・
振るえる指でブラウスのボタンを一つ二つと外して行く、
夜風がわずかな隙間から私の紅く染まる胸を冷やす・・・
足がよろける、倒れ掛かった私は碇君にすがりつく・・・
彼の後ろでエレベーターのドアが開き、私達は転げ込むように中へ入る・・・
「綾波、大丈夫?」
「・・・碇君、ふらふらするの・・・」
彼は尻餅を付き、私は顔を彼の胸に埋める・・・ちょっと汗臭いけど碇君の香りが私を包み込む・・・
碇君はひくい位置にあるボタンを押し込み、ドアが閉じる、短く、体が浮き上がる感覚・・・
気が付くと、碇君が私を抱えるように抱き起こそうとしていた・・・
「・・・綾波、少し酔ったの?」
「・・・わからない・・・」
なんだか心臓がどきどきして体に力が入らない・・・
碇君・・・私、期待しすぎで、心がどうかなってしまいそう・・・
碇君がカードで私達の家のドアを開ける・・・
私は靴を脱がされ、抱えるようにしてお風呂に連れ込まれる・・・
「・・・綾波、少しシャワー浴びる・・・」
「・・・うん・・・」
湯船にお湯を張る間に、私は碇君に手伝ってもらって服を脱ぐ・・・ブラウスを脱ぎ捨てブラを外す・・・
私の抜けるように白い両の乳房の間に、薄紫色の接吻の後が残る・・・
これは最初の日、碇君からもらった契約の印・・・
ゆっくりとこの印は消えていく・・・でもいいの・・・碇君にもう一度付けてもらう楽しみがあるから・・・
チャックを開いてスカートを床に落とし、方膝を付いた碇君の手が、私のショーツにかかる・・・
私は少し腰を浮かして彼がショーツを脱がすのを助ける、
屈み込む碇君の目に私の下腹部があらわになっていく・・・
消化器官が未発達なせいで折れそうなほど細い腰のくびれ・・・
少し膨らみが足りないけど形の
良
いお尻・・・
そしてなだらかに膨らむ股間、それを飾る髪と同じ直毛の蒼い彩り・・・
そこへ碇君の視線を感じて、私の体が火照る・・・
「綺麗だよ、綾波・・・」
「・・・碇君・・・はすかしい・・・」
私は思わす両の手で、自分の胸と股間を覆う・・・はすかしい・・・それは私にとって始めての衝動・・・
いままで誰に肌をさらしても・・・
そんな事を思った事はなかったのに・・・私のどこかで羞恥のスイッチが入った・・・
裸のままバスルームから出て碇君に肌をさらす私、シュミレーションプラグに裸でエントリーする私、
ダミープラグの製造装置に裸で浮かぶ私、碇司令と一緒に裸でドグマへ降りる私・・・
記憶の中の私を意識する・・・
碇君の顔がまともに見れない・・・私は、私は、私はどうしてしまったの・・・助けて碇君・・・
でも私の赤い瞳は、無意識に碇君を避ける・・・
私の心は碇君を求めてるのに、何故彼をまともに見れないの・・・
碇君の掌が私の顎を優しく包み込む・・・私はぴくりと振るえ眼を閉じた・・・
私は碇君のなすままに、眼を閉じたまま横に向かされる・・・
彼の唇が私のそれに重なる・・・優しい、触れるだけの接吻・・・
「恥ずかしい、と言う意味がわかるようになったんだね・・・
僕は外に出るから・・・一人でシャワー使えるね、綾波」
「・・・いや・・・いや、一緒にいて、碇君・・・」
碇君が出て行く、碇君がいなくなる、碇君が私を見てくれない・・・
そう、私は碇君に見てほしいのかもしれない・・・
たとえ私が消え入りそうに、恥ずかしくても、碇君なら我慢できる・・・
いえ、碇君に全てを見てもらいたいの・・・
私は碇君にむしゃぶりついて湯船の中へ倒れ込む、お湯が跳ね湯船から盛大に溢れる・・・
「綾波・・・おぼれちゃうよ・・・」
「・・・碇君・・・」
私は碇君を押さえ込むようにまたがって、積極的に奪うように唇をむさぼる・・・
私のむき出しの胸に碇君の濡れたシャツが擦れ、乳首が硬くしこるのを感じ・・・
思わす彼のズボンに腰を擦り付ける・・・そう、私は発情してるのね・・・
「・・・綾波・・・ここで、したいの?」
「・・・我慢できないの・・・だめなの?・・・」
せっかくベットを用意したのだけど、私、もう我慢できない・・・
私達のアスカに、いくらでも笑われても
良
い・・・
いま、すぐ、したいの・・・お願い・・・碇君・・・
私の頬を涙が伝い、お湯に落ちて波紋を広げる・・・
「おいで・・・綾波・・・」
「・・・碇君・・・」
碇君と私はお互いを求め合い、ついに一つになった・・・
私は、彼に抱かれる、めまいにも似た充実感に包まれ、快楽の内に意識を飛ばす・・・
しばらくして気が付くと、私は荒い息で碇君にもたれ掛かっていた・・・
「・・・碇君・・・ありがとう・・・」
「綾波・・・」
碇君がへんだ・・・私はこんなにも満足してるのに・・・
碇君、何故私と一緒に喜んでくれないの・・・私とじゃ嫌だったの?・・・
「・・・碇君?・・・」
「綾波は・・・僕と一緒に帰ってきてほんとに良かったの?・・・」
私は満足してるわ・・・何故碇君は、そんなに悲しそうな目で私を見るの・・・
「・・・碇君、どうして寂しそうな目をするの・・・私じゃだめなの・・・」
「そんな事無いよ・・・僕は綾波が好きだ、愛してるよ・・・
でもこのままじゃ・・・子供は出来ないよ、それでも
良
いの綾波?」
アダムとリリス、使徒モードの私達、たしかに愛しあっても子供は出来ない・・・でも・・・
碇君は私と体を重ねるだけではいけないの・・・こんなに気持ちが良いのに・・・
「・・・私は・・・私にはわからないわ・・・でも私達の心はともかく、体は14歳なの・・・
私には、碇君がすごく焦っているように見える・・・なぜなの?・・・」
「たぶん先の事が少しでも見えるからじゃないかな・・・
綾波は、16歳になった自分を想像できるかい・・・」
碇君は私に寂しい視線を向ける・・・何故、今の事だけ考えちゃいけないの・・・
私を愛するのに・・・碇君は私が子供を産める事が必要なの・・・
「・・・わからないわ・・・でも、私は碇君とこうして一つになっても
サードインパクトが起こらないだけで、私は満足なの・・・
これ以上、私は何を望んだら良いの・・・」
「そうだね綾波、僕が考えすぎなのかもしれない・・・
でも、綾波はもっと多くの事を望んでも良いような気がするよ・・・」
碇君は私の体を軽く抱きしめると、湯船から上がりバスルームを出る・・・
私は一人湯船に残され、暖かい湯の中で私は震えながら一人静かに泣いた・・・
なぜ・・・碇君と一つになれたのに、こんなに寂しいの・・・
「・・・碇君・・・」
碇君の名前を呼んでも、いつものように心が温かくならない・・・
仕方なく私はバスタオルで体を拭いながら、ぺたぺたと力無い足音を響かせ、碇君の部屋へ向かう・・・
ベッドを見ると、あのまま碇君は寝入ってしまったようだ・・・
上半身のタオルケットをはだけた、全裸の碇君の寝顔が見える・・・
私もそっと全裸のまま碇君のベッドに登ると、はだけてしまったタオルケットを碇君にかけ、
少しでもぬくもりを得ようと彼の腕の中にもぐりこむ・・・
天井を見やった私の赤い眼に常夜灯が写り込んだ・・・
「・・・これから碇君と一緒に見る・・・私の・・・知らない天井・・・」
私の赤い眼から、一筋の涙がシーツへ滴りシミを作る・・・
「・・・碇君・・・子供を産めない私では、貴方をほんとに幸せには出来ないの?・・・」
私の心が問いかける、切実な疑問に答えてくれる声はどこにも無い・・・
ただカーテンのわずから隙間から、夜の街の光が私と碇君を照らし出していた・・・
To Be Continued...
-後書-
やっと”見知らぬ、天井”編、終了、長かった・・・(嬉涙)
なんか良く考えると”天井”編は夕方に始まり翌日の深夜までですから
後半ほとんどオリジナルだから気が付かないかもしれませんが
すごく短い間の話なんですよね。
暴走して6話構成になるし一時はどうなるかと・・・(汗)
この話ではレイちゃん結ばれてしまいました、それもお風呂で、
でも、世間知らずのレイちゃんには子供関係の事は荷が重いようです(涙)
流れに任せてちょっとせつな系で終わってますが、そのうちレイちゃんも立ち直るでしょう(希望)
今回で”EVA -きっと沢山の冴えたやり方-”はちょっとお休みして
かねてから掲示板で予告した三話構成のX指定いた物、
もう各キャラフアンから石投げられて当たり前の話を短期でやります。
理由はこっちの話が頭の中で暴走して”きっと沢山の”を圧倒しそうだから・・・
ガス抜きですね・・・うう、なんか情けないダークサイドに引き込まれていく(苦笑)
”きっと沢山の”はハッピーエンド目指しますのでお見捨てなく(汗)
アスカフアンの方々ゴメンなさい彼女はこっちで
ちゃんと書いてきっと幸せにするから許してください(滝汗)
では”EVA -全てに滅びをと彼は願った-”(仮題)でまたあいましょう(ゲンドウ笑)
ご注意!:新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAXの作品です。
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