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暴力的強制の児童売春は、大概もっと小規模にひそかに行われている。マンションの一室で、ニーズを考慮しても圧倒的にこういうパターンは女児の被害者が多いが、一人から一桁の子どもを監禁、軟禁し、休日や夜間は延々と客と仕事をさせられていたケースが、何度か摘発されている。こういう場合「管理人」もより凶悪な人間であることが多く、本人がまず子どもを暴力的に陵辱して、屈服させるのである。薬物も使われる。足の指を何本か切断され、走れなくされたり、見えづらい内股に火傷を負わされ、恐怖心を植え付けられた哀れな子どものケースもあった。摘発される度に大騒ぎになるが、打ち上げ花火のようにすぐに消え去る祭りだった。人は自分が生きるのに皆精一杯だったのである。
供給源はこの場合も実親が多く、悪質な児童養護施設からの「横流し」、家出少年少女の誘拐、などが続く。
数年に一度、こうしたケースが摘発されると、Zの事実上の支配者(直接的には土地や店を持ち、警察や政治家などとかけひきできる立場の人間)らは憤り、ママさんらは不快感を顕わにし不安に陥る。Zの子ども達も、「かわいそうだね、ひどいね」という反応が多く、自分の立場とは別次元と認識している。
NGOや慈善家や金持ちのWASPや宗教家の一部もしくは大半には、理解力がないか、理解する気がないか、頭から事象を利用する気しかないため、こうした少年の街の大人達の反応を嘲笑・蔑視・攻撃し、子ども達をありがたくも憐れむのである。
話を戻そう。
このように突然拉致監禁されてきたわけでなく、ここ独特のつらさに耐えられなければ街を抜け出す選択肢もある子らは、あらかじめこの街と仕事をある程度理解している。だがチビ玉は異なる。
ジョージはまだ彼の身の上をそう聞いていなかったが、父親と放浪しながら紙芝居などの大道芸をやって食いつないでいたというのだから、当然テレビも新聞も、不良化した中学生も友人も、彼には情報源がなにもない。自称十歳にジョージがかなり驚いたくらいで、体格はそれよりさらに二歳下に見える。第二次性徴など遙か遠く、精神も肉体も女性への性的関心にすら目覚めていまい。
「……男の人とチューとか、すんの?」
「うんまあ……」
安請け合いはまずかったのかもしれないが、いずれ知るしかない、やるしかないことなのだ。だから自分が一緒に行って……。
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