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 「何をするか! やめるのだ!」
 主僕の立場もありませぬ。危機に際して虎之祐は機敏に反応し、細い足で醜い男の顎を蹴り上げ、戸口まで逃れました。
 「武家の子か知らぬが・・・」
 酒に酔った血走った目を男は少年に向けます。蹴られた顎を撫でながら。
 「今や端女以下のおぬしの立場・・・」
 むくむくと体を起こして男は少年に近寄ります。虎之祐は恐怖に縮み上がりましたが、さっと体を回し、戸を開けようとします。
 「逃げられると思うのか」
 恐ろしい力で肩をつかまれ、虎之祐は土間で組み敷かれました。肩口に手がかかり、着物が無惨に引き裂かれて行きます。
 「やめい、やめてくれ・・・やめて!」
 上半身が露わになり、冷たい土間に薄い胸が押しつけられます。さすがの武家の子も涙があふれ出るのを止めることができません。男は喉の奥で笑いながら、彼の着衣を全て引き裂き、そのまま土間に押しつけ、覆い被さりました。体を表に向け、首に手を添え、ひくひくと笑いながら、泣きじゃくる虎之祐を見下ろすのでございます。
 「ぶふ・・・!」
 男は酒臭い口を開き、そのまま虎之祐の口をその唇で塞ぎました。虎之祐は呻き、恐怖と悪寒に震えました。蛞蝓のような男の黒い舌が、虎之祐の顔を這いずり、耳や首筋、胸までも濡らしました。そして左手のざらざらした指が、下半身を撫でさすります。
 「あ、あ・・・」
 少年の肛門の襞を撫でさすっていた指が、柔らかな内奥に無遠慮に食い込んだのでございます。虎之祐には衆道の知識ところか、男女の交わりの知識すらありません。男が何を求め、自分をどうしようとしているのか、わかるはずもなかったのでございます。
 二本の太い指が、体内で不気味に動き回り、一方唇と舌は、酒臭い息を浴びせながら、全身を這い回りました。自分の体が為すすべもなく汚されていく絶望を味わいながら、虎之祐は次第に抵抗する気力が萎えていくのを感じ、このまま消えて無くなりたいとさえ思うようになっていたのでございます。
 「ぶ、ふぅ・・・!」
 虎之祐の小さな口に乱暴に指がねじ込まれております。肛門に巨大な芋虫が這い込んだように感じられ、排泄を何倍もにしたような感覚で、腰骨から体が押し広げられていきます。虎之祐は体がはち切れてしまうような恐怖を感じました。腸内で巨大な芋虫が暴れ、時に頭の中に稲妻が走るような苦痛が襲うのでした。股間にこそばゆいような感覚が生まれ、虎之祐の小さな一物は、むくむくと膨らみを得ていったのでございます。

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