*パラレル*
〜ヴィレッタの観察日記2〜
食堂で本を読んでいるクォヴレー。
外見とはウラハラに大人びている彼だけれど、
今日はなんとなくソワソワしているみたい。
同じことを思ったのか隣に座っていたアラドも首を傾げてクォヴレーを見ていた。
「お前、なんだかソワソワしてるけどなんかあんの??」
「!!?・・・あ、・・いや・・別に・・・ただ・・・」
クォヴレーは席を立ち上がると、
何故か少しだけ頬を赤らめながらしどろもどろに口を開く。
「頼んでいた本が今日入荷されるんだ・・・午後の便で来る」
本好きのクォヴレーがよく図書館に通っていることは私も知っている。
当然アラドもそれを知っているわけで、
クォヴレーの言い分と時計をチラッと見ただけで直ぐに納得したみたい。
「午後の便は3時だもんな!今は・・・2時50分・・・、
てことは今から行けば丁度いいんじゃん?だからソワソワしてたのか〜」
「そうなんだ・・・」
だけどクォヴレーのソワソワはそれだけじゃない気がするのよね・・・。
なんか もっと別の・・・・、
でも素直なアラドはクォヴレーの言葉を信じたようで、
自分のことはいいから、とクォヴレーを食堂から送り出し、
自分は再びおやつを食べ出したわ。
見送られたクォヴレーは相変わらずソワソワとしながら食堂を出て行った。
・・・・そんなに楽しみな本なのかしら?
そんなわけはないわ・・・。
じゃあ、一体??
ここであれこれ考えるより私も図書館へ言ったほうが早いわよね。
・・・・私はクォヴレーが出て行った数分後、図書館へ急いだ。
図書館へつくと予想に反し誰もいなかった。
いるはずのクォヴレーの姿も見ない。
おかいわね・・・司書の姿すらないなんて・・・・。
図書館を一周し、その奥の倉庫にたどり着いた時奇妙なことに気が付いた。
普段は鍵がかけてあるその部屋のドアが1センチほど開いていたの。
そして中からボソボソと話し声が・・・。
「・・・俺・・・・・飲めば・・・・」
「・・・・っ!」
どうやら二人いるみたいだけど声が小さ過ぎて何を話しているかまでは分からなかった。
何処かの二人が密会しているなら邪魔をするのは無粋だけれど、
またイングラムがクォヴレーをからかって遊んでいるのかもしれないし・・・、
私は僅かな隙間から中の様子をのぞいてきた。
「(!!??・・・まさか・・・)」
中にある古びたソファーの上にイングラムはえらそうな態度で座っていた。
けれどいつもと違うのはその表情が少しだけ余裕のないような顔で、
眉を寄せ、口端を少しゆがめながら何事かしゃべっていたわ。
そしてその足元には・・・・・。
「(・・クォヴレー???え??でもどうしてイングラムの足元に??)」
どうして?なんてかんがえるまでもなく、「そう」なんでしょうけど、
二人は仲が悪いのではなかったの???
・・・あ、バレないようにわぞとよそよそしかったとか??
そう考えれば全ての謎は解けるわけだけど・・・。
『俺はクォヴレーを嫌ってない』
あの言葉も真実なわけで・・・・だけど・・・、
ああ・・・!だめだわ、混乱している。
そんなこんなで私が混乱していると、
急に鼻に独特の臭いが漂ってきた。
クォヴレーの口からは白濁したものがあふれ出てきていて、
(あんなモノ、飲ませたわけ???)
イングラムはそんなクォヴレーを抱き上げると、
何のためらいもなく古びたソファーに組み敷き、クォヴレーの服を暴いていった。
・・・さすがにこれ以上は無粋よね??
私は偲び足でその場を離れた。
・・・・そして図書館の入り口の掲示板を見ると、
『15時〜16時、イングラム少佐使用予定、立ち入り禁止』
と、かかれているのを見つけた。
・・・ソワソワしていたクォヴレー。
あらかじめ予約されていた図書館・・・。
・・・私が心配するまでもなく、あの二人はうまいことやっていたみたいだった。
・・・・でもなんだか・・・気に食わない感じがするのはなぜかしら?
次へ 戻る
|