覗き見じゃないわよ?3
 


*パラレル*






〜ヴィレッタの観察日記3〜





二人の関係を知ってから数週間たったわ。
相変わらずお互い知らんぷりな態度に心ひそかに笑わせてもらっているけど、
ある時クォヴレーが頬を真っ赤に腫れあがらせて機体を整備していた時は驚いた。

「クォヴレー・・・、その頬・・・」
「・・・な、なんでもないんだ・・・本当だ」

いくら問い詰めてもクォヴレーは「なんでもない」の一言で片付ける。
でも本人も気が付いていないみたいだけど、
見えるのよね・・・・襟元から彼の身体が・・・・・。
そこには引っかき傷やら、縛られた跡やら・・・痛々しいことないわ。
・・・多分・・・いえ、絶対イングラムでしょうけど・・・、
彼は確かに残酷な部分があるけど、SMの趣味はなかったはず・・・。
そうすると考えられるのは・・・『折檻』だけ。
でも折檻する理由も見当たらないし・・・・。

私が怪訝な目をしていたからか・・・、
クォヴレーは少しだけ話してくれる気になったようで、小さな声で話し始める。

「・・・まさか本当に分かるとは思わなかったんだ」
「・・・・??」
「・・・ちょっとした悪戯のつもりで・・・自分で・・・。
 でもあの人はそれが気に食わなかったみたい・・・、
 というか勘違いしたみたいで・・・・」


悪戯??
自分???
勘違い??




一体何のことか分からないけど、傷をつけたのはイングラムで間違いないみたいね。
ただの痴話げんかならいいけど・・・・・。
クォヴレーはシュンと肩を落とし格納庫を出て行った。
そして入れ替わりにリュウセイが私のところへやっていた。

「・・・はぁ・・・まいった!今日の教官は機嫌が悪かった〜」

と、へたへたと座り込んだ。
イングラムの機嫌が悪かった??
やっぱり喧嘩???
いえ、例え喧嘩だとしても年上であるあの人が手を上げるのは良くないわよね。
でもあの人、あれで頑固なところあるし・・・・心配だわ。

「隊長〜??」
「リュウセイ、30分で戻るわ。先に整備していて頂戴」
「へ?・・そりゃかまわないけど・・・隊長???」




人の恋路にちょっかい出すのはナンセンスだけれど、
あの二人の場合仕方ないわよね。
イングラムに少し助言するだけ・・・それだけよ。







イングラムの部屋の前についた。
だけどドアをノックするけれど返事はない。
不審に思って少しだけドアを開けたら・・・・・。




・・・・言葉もなかったわ。





「あっあっあっ・・あっ・・・」


ソファーのもたれる部分に隠れていてよくは見えなかったけど、
銀糸がユラユラ揺れているのは見えたわ。
上ずった声とともにユラユラと揺れている。
そして一際甲高い声が上がったかと思えば、
銀糸はフワリと揺れ、青い髪もゆらりと揺れた。
・・・・上下が逆になったみたいね。
クォヴレーはイングラムの胸に頬を預けていたのか髪しか見えなかったけど、
イングラムはクォヴレーの表情を見たいのか圧し掛かりながら満足そうな笑みを浮かべている。
そして時折イングラムの顔もソファーに隠れる。
そのたびに上ずった声がくぐもったものに変わるからキスをしているみたいだけど。

・・・それにしても私、一体何しにきたのだったかしら??
忘れてしまうくらい二人は激しく・・・その・・・・。


その時、また目の前で信じられない光景を目にした。
イングラムがクォヴレーの手を取り、
縛られた後のついた手首に唇を寄せた。
・・・・気障ね!
だけどイングラムの言葉にさらに唖然としてしまう。

「・・・すまなかった・・・クォヴレー」

・・・!!?イングラムが・・・謝った???
そしてそれ以上に驚いたのは・・・・、

「あぁ、ぅ!!・・・ん、・・・いい、から・・も、いいから・・・もっと・・」

・・・驚いたのはねだるクォヴレーの声だった。

「もっと・・こすってくれ・・・」
「こう、か・・?」
「あっ・・・あぁ・・・っ・・」





・・・こ、これ以上は見ていては駄目だわ!!!




私は静かに扉を閉めそそくさと格納へ戻った。



・・・・夫婦喧嘩は犬も喰わないというけれど・・・、
あの二人の場合は・・・・・・。











次の日、相変わらず二人はそっけない態度で接している。
けれど私はもうどうにかしようとは思わなくなっていた。
二人が十分すぎるほど仲が良いのは分かったし・・・それに・・・。



時々、視線が合わさった二人が人知れず微笑み合う姿がなんとも微笑ましいから・・。


今度はインヴレでヴィレッタの日記です。 またおまけがあるのでエ□が大丈夫な人は・・・探してください!   戻る