〜スペクトラの観察日記 2〜
バルシェムたちが使う救急箱の在庫をチェックしていた時だった。
何の前触れもなく泣きそうな顔のアインが私の元へやってきた。
そして首を押さえながら、
「テープくれ!」
と悲痛に訴えてきた。
「テープ??」
セロハンテープかしら??
でもここにはセロハンテープはないのよね・・・、
と、言ったら今度は真っ赤な顔で怒りだしたっけ。
「違う!!あんな透明なものでは隠せないだろ!!」
「は?」
・・・隠す??
・・・一体何を???
私は改めてアインの姿を凝視してみた。
上気した頬・・・これは走ってきたからかしら?
潤んだ目・・・・これはどうして???
少しだけ乱れた衣服・・・いつもはしっかり着ているのに変ね・・、
分からなくて首を傾げていればアインはもう一度訴えてきたわ。
「セロハンテープではなくてバンドエイドだ!カットバン!バンソーコー!!」
アインは思いつく限りソレの沢山ある名称を叫んだ。
私は「ああ」と納得すると何枚かそれを手渡した。
差し出されたそれをすばやく受け取ると
アインはお礼もそこそこにすばやく何処かへ行ってしまった。
・・・変な子ね。
分け分からずもう一度首をかしげていると、
今度は頭をポリポリかいたキャリコが入ってきたわ。
「すまん・・・消毒液あるか?」
「・・・消毒液?怪我でもした?」
キャリコがケガだなんて珍しいわね。
まぁ、そういうこともあるわよね、たまには。
私は深く考えず消毒液を渡そうとしたらキャリコがボソッと何かを呟いた。
「・・・夢中になってくれているのは嬉しいが、
背中やら腕やら爪をたててきて困る」
「え?」
一体何を言っているのかしら??
けど消毒液を受け取るとキャリコも直ぐに立ち去ってしまった。
キャリコといいアインといい変な人たちね・・・。
・・・・あら?そういえばキャリコも珍しく衣服が乱れていたわね。
ズボンなんかファスナーもフロントホックも止めてなかったような・・・?
・・・???
・・・・!!
・・・私、今とんでもないこと想像しちゃった・・・。
ま、まさか、ね・・・・。
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